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自民党改憲4項目の論点 ① 自衛隊明記 [平和外交]

 自民党は、憲法改正のテーマを、自衛隊明記、緊急事態条項、教育無償化、合区解消の4つに絞り、2020年までに改憲を実現するという。各項目の論点を整理し、是非を考えてみよう。

 

1.自衛隊明記改正案の内容

 自民党の憲法改正推進本部は、9条改正について7つの条文案を掲げた。そのうち、安倍首相が提案した912項を残し自衛隊を明記する下記が最有力案である。

 

92 我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つため法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する

②自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

特徴:①9条とは別条の、92を立てること。②「必要最小限度の実力組織」の文言を削除。

 

2.自衛隊明記の賛成論と反対論

賛否の論点

自衛隊明記に賛成(狙い)

自衛隊明記に反対

隊員の士気

多くの憲法学者が違憲という自衛隊の隊員に頑張れとはいえない。自衛隊明記で、士気向上。

たとえ国民投票で否決されても、自衛隊の合憲性は変わらない

自衛権は国際的に認められており、自衛隊は合憲で、国民に愛されている。

逆に、自衛隊の役割変更で、入隊者の減少や、徴兵制復活が心配。

力を誇示し、敵を作って支配したい安倍首相のもとでは、反対

加憲の効果

912項を残し、自衛隊を明記する加憲は、公明党にも、国民にも受け入れられやすい。

(狙い)安保法制を合法化し、集団的自衛権行使の道が開ける

9条改憲で、集団的自衛権行使が現実になる。近隣諸国から痛くもない腹を探られ、緊張を高め、戦争の種をまくことになる。明記で任務や権限が変わらないなら、明記の必要はない

条文の評価

自衛隊を明記してもその任務や権限は変わらない。9条の政府解釈は1ミリも動かさない。

文民統制を、十分に条文に盛り込んだ

当初あった、「必要最小限度の実力組織」の文言は削除された。集団的自衛権が大手を振って行使され、海外でも戦争ができる軍隊になる恐れがある。

条文に文民統制や国会承認の条件を付記しても、いまの安倍政権の国会運営を見ていると、信用はできない。

 

4.まとめ(筆者コメント)

①憲法は権力を縛るだけでなく、その国が大事にする基本的価値を内外に表明し、理想を語るものだ。成行きの現実に合わせて、簡単に理想を捨てるのは情けない。

②自衛隊を明記すると、「戦力保持」の宣言となり、現行92項の「戦力不保持」が空文化し、日本は平和憲法の国ではなくなってしまう。

 ③軍隊の制御に失敗し、戦争で辛酸をなめた日本人は、「戦争はダメ」、「わずかでも戦争に近ずく政策はダメ」という思いが強い。


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majyo

素晴らしいまとめですね。
自分では出来ないから、この表に感謝です。
いつも思うのですが、憲法勉強会にこれはテキストになります
もちろん私は自衛隊明記に反対です。

by majyo (2018-04-13 19:46) 

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