自民党改憲4項目の論点 ⑤ 合区解消 [政治・社会]
自民党は、憲法改正のテーマを、自衛隊明記、緊急事態条項、教育無償化、合区解消の4つに絞り、2020年までに改憲を実現するという。合区解消の論点を整理し、是非を考えてみよう。
1.参議院選挙区の現状
参議院の定数は、選挙区146、比例代表96となっており、3年ごと半数が改選される。
参議院選挙の一票の格差を是正するため、2015年に公職選挙法が改正され、鳥取県と島根県、および徳島県と高知県がそれぞれ一つの選挙区となり、参院議員定数が4議席減少した。同時に実施された、東京都など他の選挙区の増減を合わせると、10増10減となった。
2013年の参院選において、最高裁で違憲状態とされた4.77倍が、この改正の結果、2016年の参院選では、一票の格差が2.97倍に縮まった。
2.衆議院選挙区の現状
衆議院の定数は、区割り改定法により、小選挙区289(0増6減)、比例代表176(0増4減)、合計465(0増10減)となっている。
衆議院選挙の一票の格差を是正するため、2015年の公職選挙法改正で、市区町村を二つの選挙区に分割する改正があった。289選挙区にうち、97選挙区で分割されることになった。
3.自民党・選挙区変更案とその問題点
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自民党・選挙区変更案 |
自民党案の問題点 |
参院 合区 解消 |
最高裁の違憲判決を受けて、合区したが、過疎地の声が国政に届きにくくなったとして、「各県一人以上選出」(合区解消)を憲法に載せる。 地域の一体感醸成に役立つ |
合区の選挙区は自民党が強い選挙区であり、合区解消により、自民党議員が増える確率が高い。 参議院議員のいない県でも、衆院議員は最低でも二人いる。姑息な手段で、党利党略を許すのは問題。 最高裁の違憲判断を封じるための改憲だ。 |
衆院 区割り分割 解消 |
衆院選の区割りに際し、市町村を分割しない規定を改憲案に盛り込んだ |
衆院の一票の格差是正より、議員の地盤看板を優先したもので、格差を2倍以内に収めることが困難になる。 これも最高裁の違憲判断を封じる改憲だ。 |
4.まとめ(筆者コメント)
①自民党の合区解消改憲は、憲法14条の「一票の価値の平等」を蔑ろにする改悪案で、地盤看板を守り抜きたい既得権益層の横車である。
②43条に「両議員は全国民を代表する」と規定している。特定地域の利益代表と位置付けると、憲法の基本原理に反する。参議院は、役割、議席数、選出方法、を大幅に変えて、良識の府にすべきである。
③他の改憲項目と違って、世論調査で賛成が反対を上回っていが、改悪の案に変わりはない。
コラム 自民党・(合区解消)憲法改正、条文案
47条 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。
前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
92条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。(2月16日に了承)
合区解消が目玉になっているのは知っていますが
まったくよくわかっていません。
地盤・看板を守りたいという趣旨なんですね
地方が過疎化するのはとても悲しいので、悩むところですが
今日のところはわからないのが本音です。
また困ったときはこちらにお邪魔します
by majyo (2018-05-11 19:15)