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アジアの平和 ①南シナ海を平和の海に [平和外交]

 前回まで、「新冷戦の脅威」シリーズで、米中新冷戦の現状を見てきた。新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか考えてみよう。

手始めは、アジアの軍縮である。アジアを軍縮の先進地域にしようではないか。

 

1.南シナ海は誰のものか

中国は南シナ海について、遠い昔の漢王朝の記録を根拠に、九段線を勝手に引いて領有権を主張しおり、7つの岩礁を埋め立てて、滑走路やミサイル基地を建設し、軍事基地化を進めている。

もともとこの海域は、何十年も前から、ベトナムや、フィリッピン等が領有権を主張し実効支配しており、その他の海域は公海であって、周辺各国にとって重要なシーレーン(海上交通路)である。

フィリッピンの訴えを受けて、20167月、常設仲裁裁判所が、中国のいわゆる「九段線」に基づく過剰な歴史的権利を否定する判決を出した。力による現状変更は国際法に照らしても認められない。

 

2.南シナ海は新冷戦の震源地

米国は、中国と貿易戦争を戦っているが、もっと深刻なのは、南シナ海問題である。南シナ海の軍事拠点化と「一帯一路」を、中国の覇権奪取のための軍事戦略と見定めて、米国は、あらゆる対抗措置をとると宣言している。

 

3.南シナ海を平和の海に

南シナ海問題を根本的に解決するために、筆者は次の通り提案する。

 

①南シナ海協力機構の立ち上げ

 東南アジア諸国連合(ASESN)、中国、日本が参加して、南シナ海協力機構を立ち上げよう。

南シナ海をアジアのグローバル・コモンズと位置付け、周辺諸国の共有地として、資源や便益を共用するのである。

 最近、中国は、フィリッピンとの間で、資源の共同開発を進めようとしているが、これを東南アジア全体に広げるのが良いと思う。

中国は、「みんなの物は自分のもの、自分のものは自分のもの」と主張し、威嚇と札束で他国を従わせようとする癖がある。正義を大事にするよう真心を込めて説得すれば、わかってくれる人はいると思う。

 この構想は、上海協力機構(コラム参照)の海洋版である。日本は、米中の調停者になったつもりで、海域の平和増進のため機構の立ち上げに邁進したい。

 

②南シナ海行動規範の策定

東南アジア諸国連合(ASESN)と中国は、南シナ海の紛争予防のための仕組みとして、南シナ海行動規範(COC)の策定を進めている。李克強首相は、行動規範を3年以内に策定するとのべたが、法的起拘束力を持った、実効性と透明性のある規範を早急にまとめてもらいたい。

 行動規範は、将来、前項の協力機構の協定の一部に統合されることになると思われる。

 

4. まとめ(筆者コメント)

①南シナ海の軍事基地化は、習近平政権になって急激に進んだと思う。習氏は、中国の夢・中華民族の偉大な復興のために、国家の富強、民族の振興、人民の幸福を実現するという。中華ナショナリズムとどう付き合うか、それは、戦略的互恵関係の構築しかない。

 

②米中貿易戦争は、近々、中国の妥協で終息するが、覇権戦争の方は長く続くと思う。間を取り持つ、日本の外交力が問われる。

 

③東南アジア諸国連合(ASESN10か国も一枚岩ではない。ラオス、カンボジアは中国の子分、フィリッピンは半分子分であるが、ベトナム、マレーシアには骨がある。特に高齢のマハティール首相は、中国の札束支配を押し返そうとしている。

 

コラム 上海協力機構   中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタンの8か国からなる多国間協力の枠組み。2001年に発足。政治、経済、文化面の協力のほか、軍事同盟の色合いも強い。

 

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