世界共同体③ 地域連合の在り方 [平和外交]
新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回、世界統治機構の頂点に立つ「世界政府」の在り方について述べた。
各論の第二は、地域連合の創設である。
1.地域連合こそ世界平和への処方箋
第一次世界大戦後、地政学的見地から世界を四つの地域連合(総合地域と呼称)に分けて政治の安定を図る提案があった。「遠い親戚より近くの他人」の諺のとおり、近隣諸国の共存共栄をベースにした地域連合の構築こそ平和の要である。
地域連合のモデルである欧州連合(EU)に亀裂が生じているが、修復は可能であり、その優れた理念が悪いわけではない。
2.地域連合の構成
筆者が提案する地域連合は、米州連合、アジア連合、欧州連合(EU) の三つであり、構成国は前々回のブログに記載した概念図のとおりである。各地域連合は、世界政府の傘下に入って、緩やかに統合されることになる。
各地域連合は世界政府の小型版であるが、三つの地域連合は、それぞれの地域の環境に合わせて、先を急がず、段階を踏んで進化・発展を目指すのが良い。
地域連合(共同体)の発展段階についてはコラム参照
3.まとめ(筆者コメント)
①地域連合のモデルである欧州連合(EU)に亀裂が生じている。先を急ぎすぎた感がある。経済財政について、構成国が、国民国家としての自主性を取り戻せるよう是正が必要。
②2015年に発足した東南アジア諸国連合は、地域連合(共同体)の好例である。10か国が一体となって、アジア連合に参加するのが良いと思う。
コラム 地域連合(共同体)の発展段階(バラッサの経済統合論による)
NO |
発展段階 |
説明 |
課題 |
1 |
自由貿易 |
参加国相互間の域内関税を撤廃し、貿易を自由化する。 |
やむを得ず関税を残す品目があれば、各国間で誠実に交渉し、協定を締結する。粗悪品の流入には要注意。 |
2 |
関税同盟 |
上記に、非加盟国からの輸入品に共通関税をかける。 域外各国と個別の関税交渉ができなくなる。 |
グローバリゼーションの時代に、非加盟国に対し、排他的な関税政策をとると、軋轢を生む。米国が黙ってはいない。 |
3 |
共同市場 |
上記に、労働力、資本などの生産要素の域内自由移動を保障する。マクロ経済政策を統一して実行する機能も持つ。 |
人の自由移動で、難民流入が増え、円で元を支えるリスクなどの不都合が起こり得る。 マクロ経済政策の統一で、各国の主権が侵される。 |
4 |
経済同盟 |
上記に、構成国間の経済政策の調整が、ある程度実施される。通貨の統一もテーマになる。 |
構成国の実力がそろわず、無理を押し付けると軋轢を生む。 経済財政政策の自由度が減る。 |
5 |
完全な 地域統合 |
経済、財政、金融、通貨が統合されて、一つの国のようになる。 |
このような地域統合は、まだ存在していない。 |
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