世界共同体⑦ 経済連携② [平和外交]
世界共同体の創設を目指すにあたって、日本が外交的に主導権を発揮するには、国力の増強が必要である。そこで、前回は、日本の国力の現状はどうなっているか概観した。
今回は、国力増強策を検討してみよう。
1.アベノミクスの問題点
アベノミクスは、2012年の第2次安倍内閣において、経済成長を狙った政策で、下表の通り、「三本の矢」からなるとされたが結果は思わしくない。
三本の矢 |
不満足な成果 |
大胆な 金融政策 |
5年経過しても、2%のインフレ目標は達成されていない。円安誘導には成功し、株価が上昇したのは成果であるが、他の矢の政策とベクトルが合わず、デフレ脱却に至っていない。 |
機動的な 財政政策 |
財政健全化の声に押されて、公共投資を大幅削減したため、せっかくのデフレ脱却の芽が摘まれてしまった。 日銀引き受けの国債は倍以上増えて400兆円に達したが、民間投資は沈滞したままである。 |
民間投資を喚起する 成長戦略 |
有効求人倍率は高いが、実質賃金は上がらない。実質経済成長率も低迷している。法人税は23.4%に引き下げた(2016年)が、企業の設備投資は増えない。 |
結局は、財政破綻論や、PB黒字化目標に足を取られて、消費税増税などの緊縮政策にはまり、デフレ脱却と国力増強のチャンスをつぶしてきた。
平成の30年間、デフレ期の財政政策を誤らなければ、今頃、実質GDPは2.5倍、1,250兆円(30年間、年3%成長の場合)になっていたはずである。
2.国力増強の処方箋
安倍内閣は、いまからでも、下表のとおり正しい経済財政政策を実行し、一流の平和大国として、世界に向かって指導力を発揮できる国にしてほしい。
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政策・施策 |
実行計画 |
期待成果 |
政
府 |
・財政拡大 (初年度50兆円) ・PB黒字化目標封印 ・消費税増税凍結 ・過度のグローバル化政策の見直し ・民間活力誘発 |
・公共投資によるインフラ整備 ・国土強靭化投資による防災対策 ・投資効率のチェック体制整備 |
●デフレを脱却し、物価上昇2%、経済成長3~5%を継続的に実現 ●災害に備え、国民の生命財産を保護する ●少子高齢化を乗り越え、移民に依存せずに労働力を確保する |
民
間 |
・積極経営で、経営革新を図る ・安い外国人労働者に依存せず、適正な賃金を払う経営をする |
・設備投資増強 ・技術開発投資により、IOT,AI,ビッグデータなどを活用する ・人材開発投資により、高度人材を増やす |
●一人当たり労働生産性を向上し、実質賃金を上げて、労働分配率を高める ●少子化問題を解決する ●GAFAに匹敵するプラットフォーム企業を生み出す |
3.日本を売り渡す構造改革に反対(後述)
4.まとめ(筆者コメント)
①日本は一人当たり労働生産性が先進国の中で最低である。労働生産性向上が日本浮揚の鍵である。
②国土強靭化、人材開発、技術開発投資により、日本は、年5%程度、経済成長できる力がある。
③消費税10%への増税は延期する。むしろ5%に戻すくらいの大胆さが欲しい。
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