世界共同体⑭ まとめ(経済の課題) [平和外交]
1.日米同盟の見直しを表明する
日本は、過去70年間、何回かあった日米同盟見直しのチャンスを逃してきた。安倍政権は、日米同盟に縋りついているが、同盟が完全に機能する保証はない。
この辺で、戦略を練り、勇気を振り絞って、日米同盟見直しの働きかけをすべきである。近隣諸国の、日本を見る目ががらりと変わる。日本が生まれ変わる契機になると思う。
ただし、アメリカと敵対するのではない。困難に直面する米中関係の仲立ちをすると宣言し、アジアにより強くコミットする日本を認めさせるのである。
2.日中経済連携戦略の考え方
(1)向こう三軒両隣の精神を取り戻そう
「遠い親戚より近くの他人」は真理。近いゆえに紛争の種が多く、友好には、何倍も努力が必要だが、努力の甲斐はある。民族の欠点をあげつらっても、得るものはない。
中国にも強権的な人ばかりではなく、多様な、優れた人材が多い。味方を敵に変えるのは愚の骨頂である。ヘイトスピーチはやめて、違いを認め、尊重し合うための対話をすべきである。
(2)嫌中という小児病を克服しよう
学者や言論人にも、嫌中派は多い。下に見ていた中国が、強大になり、蔑視と羨望の感情に揺れる気持ちはわかるが、克服する大人の対応が望まれる。人を変えるには、まず、自分が変わることだ。
(3)日中経済連携は戦争を防ぐ
安全保障にとっては、抑止と安心供与が車の両輪である。抑止力(軍備強化)偏重は金食い虫で、非効率である。経済連携は安心供与の優れた手段で、互いに儲けながら戦争を防ぐことができる。
利益を分かち合う心さえあれば、ウィンウィンの関係、すなわち戦略的互恵関係を構築できると思う。
3.日中経済連携の具体策
(1)安倍首相は南京慰霊訪問しよう。南京虐殺30万人説は信じないが、慰霊訪問すれば、安倍首相と日本への見方ががらりと変わる。
(2)中国主導の「一帯一路」構想と、AIIB(中国主導のアジアインフラ投資銀行)に参加を表明する。
(3)日米が主導する「自由で開かれたインド太平洋」戦略は、中国をけん制する意図が込められている。この際、この戦略と中国主導の「一帯一路」を統合するという、大きい絵を描こう。
(4)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への関与を強め、締結に向かってリーダーシップを発揮しよう。
(5)アジア地域連合(共同体)のキックオフを中国に向かって宣言する。
ここまでくれば、アジア地域連合(共同体)の創設は、半ば達成である。
5.まとめ(筆者コメント)
①中国崩壊論が良く聞かれる。中国崩壊待望論というべきかもしれないが、品性が透けて見える。ここは、向こう三軒両隣の精神で、おせっかいを焼くべきではないか。虎穴に入って、大きな虎児を調教するくらいの気概を持とう。
②新冷戦の勃発で、中国は日本に秋波を送っている。今がアジアを一つにするチャンスである。間違っても、米日対中露が敵対する、一触即発の大冷戦の構図を作ってはいけない。
③「中国はすぐに崩壊する」、「日本は属国にされてしまう」、「政治体制が異なる国同士は交われない」、などの小児病的な俗論がはびこっているが、全くナンセンスである。
④日本は一人当たり労働生産性が先進国の中で最低であり、労働生産性向上が日本浮揚の鍵である。間違った緊縮財政政策をやめ、国土強靭化、人材開発、技術開発などの投資を大胆にやれば、日本は、年5%程度、経済成長できる力がある。経済力は外交力に欠かせない。
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