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脱グローバリズム⑦ 米国アグリビジネスの脅威 [脱グローバリズム]

1.米国アグリビジネス開発の経緯

 1970年代の石油危機の際に、米国の穀物商6社が大儲けした。これに味をしめ、キッシンジャー元国務長官の支援を得て、米国の農業をアグリビジネスにするプロジェクトを立ち上げた。

 米国では、1996年から、遺伝子組み変え種子の商業利用が始まり、大豆・綿花・トウモロコシの9割以上が遺伝子組み替え種子に置き換わってしまった。

 

2.遺伝子組み換え種子の脅威

 業界最大手のバイオ企業・米モンサント社(独バイエル社が買収)は、除草剤・「グリホサート」(商品名ラウンドアップ)を開発した。さらに、自社の農薬(ラウンドアップ)だけに耐性を持つ遺伝子組み換え種子を開発し、種子と農薬をセットで販売して大儲けをしている。

 他社の農薬を使用すると苗が枯れてしまうので、農家はモンサントの種子と農薬をセットで購入するほかに選択肢を持たない。

年々、雑草が耐性を持ち、ますます強い農薬を使う羽目になり、特許使用料を延々と払わされることになる。そして、悪循環の末農地が荒廃し、農民はタダ同然で農地を手放し、期せずして農地の大規模化が進むことになる。

 

3.残留農薬による薬害

 グリホサートの蓄積は、がん、白血病、肝臓病、アレルギー、奇形の発生などの健康リスクがあるとする報告もある。2016年、欧州委員会はラウンドアップの使用延長をしないと決定した。そんな中で、日本政府はアメリカ産輸入大豆のグリホサート残留基準を5倍に引き上げた。

 

4.世界の失敗事例

 米国アグリビジネスの巧妙な手法によって、インド、イラク、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、オーストラリアなどの農業がバイオ企業の軍門に下った。自然災害に付け込まれて、「復興支援」の名のもとに遺伝子組み換え作物に転換させられた国もあった。

 大規模農場で、最新農機具やドローンなどを使えば、農薬散布などに人間の労働力は要らなくなる。農民は土地を失い経済難民となって、都市のスラムに流れていくことになる。

 

5.日本農業の行く末

手の内を知られて苦戦しているバイオ企業が、日本に狙いを定めてきた。日本の農家は、遺伝子組み換え種子と、それとセットになった農薬の購入を毎年強いられ、いずれ大量の農薬に汚染された国土を前に立ち尽くすことになりかねない。

 ほくそ笑むのは、おいしいところを攫ってゆくグローバル多国籍企業で、新自由主義に基づくグローバリズムの行き着く先である。

 良い動きもある。新潟県、兵庫県、埼玉県、北海道、長野県のように、独自の種子条例を作って、廃止された種子法を元に戻そうと活動している自治体があるという。心強いことだ。

 

6.まとめ(筆者の意見)

 

①トランプ大統領は、TPP(環太平洋経済連携協定)から離脱した。まもなく、日米FTA交渉が始まるが、農業分野でもTPPを超えた厳しい要求をしてくのは間違いない。安易な妥協をしてはならない。

 

②「遺伝子組み換え食品」の表示については、「食品表示法」により、表示が義務付けられている。日本は、「非遺伝子組み換え食品」が意図せずに混入した場合、5%以下なら表示義務がない。EUでは、表示義務免除は0.9%以下となっていて厳しい。

 

③遺伝子組み換えの餌を食べて育った家畜の肉、卵、牛乳などの畜産品には表示義務がない。また、遺伝子組み換え大豆から作る味噌にはあるが醤油にはない。これで大丈夫だろうか。

 

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