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野党再編⑤ 受け皿新党の経済財政政策 [政治・社会]

  反自民受け皿新党が、過半数の国民の支持を得るために、重要な経済財政政策について考えてみよう。

 

1.アベノミクスの評価と対応

アベノミクスは、2012年の第2次安倍内閣において、経済成長を狙った政策で、下表の通り、「三本の矢」からなるとされた。その後、2013年に消費税引き上げに関する第四の矢が追加された。

アベノミクスの評価と、新党としてどう対応するか、経済財政政策を考えてみよう。

 

 


アベノミクス四本の矢

アベノミクスの評価

受け皿新党の代案

1.大胆な金融政策

2%のインフレ目標、無制限の量的緩和、円高是正、日銀法改正。

5年経過しても、2%のインフレ目標は達成されていない。

円安誘導には成功し、株価が上昇したのは成果であるが、他の矢の政策とベクトルが合わず、デフレ脱却に至っていない。

異次元金融緩和政策は当分継続する。

量的緩和を終了する、いわゆる出口戦略の実施時期には細心の注意を払う。

2.機動的な財政政策

大規模な公共投資(国土強靭化)、  日銀引き受け建設国債発行。

財政健全化の声に押されて、公共投資を大幅削減したため、せっかくのデフレ脱却の芽が摘まれてしまった。

日銀引き受け国債は倍以上増えて400兆円に達したが、民間投資は沈滞したままである。

道路や橋梁などの老朽化は待ったなしの状況である。国土強靭化を目指して、計画的に公共投資を実施する。

生産性向上に資する投資もして日本経済の長期低迷を脱しよう。

3.民間投資を喚起する成長戦略

投資の促進、経済のグローバル化、人材の活躍強化、新たな市場の創造

 

有効求人倍率1.52倍、失業率3.1%、だが賃金は上がらない。

実質経済成長率は1.3%(2016年)と低迷している。

法人税は23.4%に引き下げた(2016年)が、企業の設備投資は増えない。

若者・女性の活躍、電力、農業、医療分野の改革は道半ば。

TPPはアメリカの離脱でとん挫、新市場創造は成果なし。

日本のような人口減少社会では、一人当たりの生産性を向上する以外に生きる道はない。 

 国土強靭化、人材開発、技術開発のため、公共投資を先行させ、民間投資を喚起すれば、年5%程度の経済成長は夢ではない。

 AIなど先端技術を駆使し、生産年齢人口の減少を逆手にとって、産業革命を起こそう。

4.消費税引き上げによる財政健全化

経済成長と財政健全化の両立。

財政健全化を目指して、20144月に消費税率を8%に引き上げたが、財政の赤字体質は全く改善されていない。

201910月予定の消費税10%への増税は、急ぐべきではない。延期すべきである。


2.まとめ  受け皿新党の経済財政政策

異次元金融緩和政策は継続するが、終了時期は注視する。

②生産年齢人口の減少をチャンスととらえ、一人当たりの生産性向上に役立つ投資をする。安易に移民に頼ることはしない。

③国土強靭化、人材開発、技術開発投資により、年5%程度、経済成長できる社会にする。

④消費税10%への増税は、当面、延期する。

 

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野党再編⑥ 受け皿新党の経済政策 [政治・社会]

 反自民受け皿新党が、過半数の国民の支持を得るために、重要な経済政策について考えてみよう。

 

1デフレ脱却が最優先課題

 

デフレは継続的に物価が下落し、企業収益減少、賃金引き下げ、所得減少、需要縮小、物価下落の悪循環が起こり、日本が発展途上国に戻る現象である。

2016年の消費者物価指数は前年比-1.3%(コアCPI)、2017年は0.5%程度に持ち直している。また、実質成長率は20161.3%で、2014年の-0.5%から見れば持ち直している。

この流れを維持しながら、消費者物価上昇2.0%、実質経済成長(GDP3%程度が定着するまで、景気対策の手を緩めないのが肝心である。

 

2.期待されるデフレ対策

 

政府は1991年のバブル崩壊から今日まで、20数年にわたってデフレと戦ってきたが、少し良くなると、財政再建の声に押されて、デフレ対策の手を緩めてしまい、デフレに逆戻りする政策の失敗を繰り返してきた。

 今後は、国債発行によって、一人当たり生産性向上のための大胆な戦略的投資を行って、需要不足を解消し、経済成長を遂げる日本を取り戻したい。投資対象は、民間投資も含めると、設備投資、人材開発投資、技術開発投資、公共投資の4分野である。

 生産年齢人口が減少する日本では、デフレ期に戦略的投資を行って、数%、経済成長できる体質を創るのが必須である。経済成長の結果、2%程度の物価上昇が認められたら、経済成長の果実(税収増)を財政再建に回すことができる。

 

 国債という借金による財政破綻が喧伝されているが、心配は杞憂である。次回の当ブログで、受け皿新党の金融政策について述べる。

 

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野党再編⑦ 受け皿新党の金融政策 [政治・社会]

 日本は1000兆円、一人当たり800万円の借金を抱えており、財政破たんの可能性があると、まことしやかに語られている。これは国民の納税意識を高め、増税を受け入れさせるための、財務省のプロパガンダである。財務省の本音は、豊富な財源を持って、歳出権を行使することで、大きな顔をして天下りしたいだけである。

借金は、国でも、国民でもなく、政府の負債であり、国民は債権者である。公表されている最新の公表データは2015年度(2016/3/31現在)である。これを使って、本当の負債を算出してみよう。

 

1.政府の負債を資産と対比して見る(下図参照)
負債残高は1,193兆円、資産残高672兆円を差し引くと、純負債は521兆円である。

資産のうち、一部、換金が難しい資産もあるが、破たんに直面すれば、奥に手は出せる。

負債残高1,193兆円(うち国債918兆円)

資産残高672兆円(換金容易365兆円)

純負債521兆円

 

2.政府と独立行政法人等の子会社の連結決算

 負債残高は1,424兆円、資産残高959兆円を差し引くと、純負債は465兆円である。

負債残高1,424兆円(うち国債780兆円)

資産残高959兆円

純負債465兆円

 

3.日本銀行の単独決算(2015年度末現在)

下記の当座預金は市中金融機関の準備金や国債売却高。3兆円は純資産で資本金等。

負債402兆円(うち日銀券発行高95兆円、当座預金275兆円)

3兆円

資産405兆円(うち日銀保有国債349兆円)

 

4.政府と日本銀行の連結決算

 政府は日本銀行に5割以上出資しており、子会社として監督権限を持っている。政府と日銀を合わせて統合政府と呼んでおり、欧米でも使われている考え方である。

日銀保有国債349兆円は、政府の純負債と相殺が可能である。相殺すると、政府純負債は116兆円となる。これは国内総生産(GDP)の22%に過ぎず、大問題ではない。

 

純負債465兆円―日銀保有国債349兆円=政府純負債116兆円

 (日銀の負債である日銀券や当座預金は、無利子で償還期限もなく、純粋の負債ではない。)

 

5.まとめ 政府が財政破綻しない三つの理由

  1. 国債の金利が世界一低い(0.018%)

  2. 国債の最終的な債権者は日本国民

  3. 国債は円建てで、円通貨を発行する日銀を子会社に持つ

以上、三つの理由から、日本政府が発行する国債で、財政破綻を起こす可能性はゼロである。

 

コラム 異次元緩和で国債市場に閑古鳥

 日銀の国債保有残高は、173月末現在430兆円で、発行残高の40%を占める。日銀の買い占めで国債の価額は上がり、長期金利は下がった。一部の国債はマイナス金利になっている。商売にならないとして、三菱東京UFJは国債取引の資格を返上した。異次元緩和から4年で、民間銀行の国債保有率は7%に半減し、取引部署には閑古鳥が鳴いている。

アベノミクス第一の矢で、「2年程度で物価上昇率2%」としたが、達成期限は6度も先送りされた。第三の矢である成長戦略が十分に機能しないこと、消費増税でマッチポンプをやったことが、誤算の原因である。ノーベル賞受賞者が多い日本は、10年もすると中国に抜かれそうである。技術開発投資の重点的投入と、一人当たりの生産性向上のための、思い切った投資が待たれる。

 

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野党再編⑧ グローバル化への対応 [政治・社会]

  冷戦終結後、経済面で、貿易、直接投資、労働力移動を通じて、国際的交流が活発になった。これが経済のグローバル化で、多国籍企業が中核となって、世界経済をけん引している。

 経済のグローバル化にはメリットとデメリットがあるが、いまさら、グローバル化を止めるのは現実的ではないので、ここでは、大きなデメリットを取り上げて、その緩和策を考えてみよう。受け皿新党の目玉政策になると思う。

 

テーマ

問題点

受け皿新党の政策

1.
所得

格差対策

厚労省の2015年の調査によると非正規労働者は、1980万人 で、全体の37.4%であった。

 正社員の平均月給32万円に対し、非正規社員21万円で、37%低い。(大企業に限ると、43%低い)

非正規社員を無期雇用に切りかえる企業が最近増えてはいる。

不本意非正規労働者については、正社員に転換する仕組の採用を企業に課すべきである。

超富裕層向け、累進所得課税、資産課税を、国連に提起。

2.子どもの貧困対策

2012年の子どもの相対的貧困率(注1)は16.3%で、1985年の12.0%より高くなっている。

保健サービスの無償化のほか、貧困家庭に一定額の現金を支給。

 教育格差是正のため、幼児教育の無償化、高等教育給付型奨学金を拡充。

3.法人税引き下げの国際的競争の防止

企業誘致を狙って、多国籍企業に対する法人税引き下げ競争が激しく、各国とも財政悪化に苦しんでいる。

国連に問題提起して、法人税の下限を規制するなど、地球規模の問題解決をはかる。

4.租税

回避の防止

多国籍企業が税逃れを狙って、軽課税国に資産や事業を移す動きが絶えない。

最近もパナマ文書が漏洩して、租税回避や、資金洗浄の不正摘発が続いている。

消費者や地域社会の利害を代弁するPKO /NGOによるボイコット運動を、日本が主導して展開。

日本ではタックスヘイブン対策税制として、外国子会社合算税制があるが、もう一段徹底する。

5.構造

改革の推進 

国内産業の衰退を食い止め、競争力を強化するため、規制緩和による構造改革が必要。

農業分野については、担い手の育成や株式会社化などが有効。

旅行産業などはグローバル化と相性が良い。着地型観光や民泊の促進策が望まれる。



(注1) 国民の平均的な可処分所得の半分を下回る家庭で育てられている、18歳未満の子供の割合である。可処分所得の半分は、年122万円。(厚労省の調査)


 

コラム 経済のグローバル化について



経済のグローバル化は、国境を越えてモノ、労働力・資本・知識技術が移動することで、多国籍企業が中核となって進めてきた。


 社会主義圏の崩壊、新自由主義の勃興、情報革命や技術の急激な進歩で、輸送、通信などのコストが大幅に低下したことが、後押しした。

  

グローバル化のメリット:


  1.生産性向上、国際分業、比較優位、生産コスト低減、雇用環境変化


   2.技術や文化の発展、交流増による新しい価値の創造

   3.国際化による、金融、環境問題の地球規模化

 


 グローバル化のデメリット:


  1.産業の空洞化(国内産業衰退、富の移動、所得格差拡大法人税収減


   2.雇用の喪失(失業者増、雇用保険増、子供の貧困化


   3.文化の衝突(地方衰退、伝統の消滅)


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野党共闘① 共産党との選挙協力 [政治・社会]

  自由民主党の安倍首相は、928日の臨時国会開会の冒頭に、衆議院を解散した。1010日公示、1022日投開票という。「国難突破解散」と称して、とってつけたような解散理由を述べたが、「モリカケ疑惑隠し」と「民進党つぶし」が本音であろう。

 925日に、小池百合子都知事が、日本ファーストの会をリセットして、「希望の党」を立ち上げ、自ら代表に就任すると発表した。全国に候補者を擁立し、国政政党になるという。

一方、民進党は91日に党首選があり、前原誠司氏が党首に就任した。山尾志桜里氏の不倫騒動のほか、離党者続出で、新党首は厳しい船出を迎えている。

 いま、安倍一強政権の暴走が、目に余る段階にきている現在、自民党に代わり受け皿となる野党が待望されている。

 

1.野党4党の共闘(選挙協力)

 民進党を中核とした、社民党、自由党、共産党の共闘である。ここでは、共産党との共闘について考えてみよう。(希望の党との共闘は次回に述べる)

 共闘において大事なことは政策の一致であり、一致できる政策を確かめ合い、安倍政権打倒を目指して、小選挙区に統一候補を立て、選挙協力することになる。

 

2.共産党との共闘の政策的枠組み

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3.まとめ 野党4党の選挙協力

①憲法九条を守り、安保法に反対する政策の一致があれば、共闘はできる。国民の声をよく聞こう。

②共産党は日米安保条約反対、自衛隊違憲が持論だが、封印すれば、閣外協力はできる。

③北朝鮮の核ミサイルへの脅威をあおって、日本を重武装の国にするのは反対。

対話を大事にする国に、ミサイルを打ち込む国はない。日本は、対話に向け米国を説得しよう。


コラム 日本共産党綱領の概要

 日本が、いま、必要としている変革は、社会主義革命ではなく、対米従属と大企業・財界支配を打破する、民主主義革命である。日本国民の利益を代表する勢力に国の権力を移すことである。主権者たる国民による変革を実現するため、「市民と野党の共闘」を実現し、安倍政治を打倒するとしている。

将来は、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義に向けて、生産手段を社会化し、市場経済の機能を残しながら、搾取も抑圧もない共同社会を実現すると書いている。この将来構想は、結党当時の思想の残滓であり、今となっては、まじめに取り合う必要はないと思う。

 

追伸927日、民進党が「希望の党」と「事実上合流」することになり、本稿は少し古くなってしまった。当ブログ(818日、野党再編③ 参照)で述べたとおりの動きになっている。

 

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