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アジアの平和 ③日韓関係の不都合な現状 [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか考えてみよう。南シナ海、北朝鮮の次は韓国である。まず、日韓関係の不都合な現状を見てみよう。

 

1.慰安婦問題

朴槿恵政権の201512月、日本と韓国の外相会談で「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明した。そして、20167月、日本が10億円を支出して、「和解、癒やし財団」が設立された。また、ソウル在韓日本大使館前の慰安婦像を撤去するよう韓国側が努力すると表明され、一件落着したように見えた。

 ところが、文在寅大統領は20189月、「和解、癒やし財団」の解散を表明、15年末の合意を破棄する可能性があると報道された。

 

2.徴用工問題

 201810月、韓国の大法院(日本の最高裁に相当)は、新日鉄住金の上告を退け、元徴用工4人に4000万円の支払いを命じた。

本件賠償請求訴訟は、2005年から始まり、1,2審は原告が敗訴したが、大法院が「個人請求権は消滅していない」との判断を示した結果、2013年、2審の再審で原告勝訴となった。大法院で5年間たなざらしの後、文在寅政権の催促を受けて、本年になって頭書の判決となった。

文大統領は、昨年、「個人請求権は消滅していない」という司法判断を尊重すると述べることで、大法院の判決に影響を与えた可能性がある。

今回の判決を受け、これから訴訟が乱発される恐れがある。

 

3.竹島領有権問題

 2012年8月、李明博大統領が竹島に上陸し、一時間半滞在した後、島を後にした。日本の歴史問題への不信感に加え、自身の金銭がらみの不祥事をぼかす狙いがあったと言われている。

201811月、韓国の国会議員ら20人余りが、日本政府の抗議を無視して竹島に上陸し、警備隊員を激励したという。それに先立つ10月にも、国会議員ら13人が上陸しており、1か月の間に2回も上陸を敢行したことになる。

 

4.朝鮮半島統一の最悪のシナリオ

 最悪のシナリオは、北朝鮮が核を保有したまま、南北が統一を果たし、朝鮮半島に核保有国家が出現することである。文在寅大統領の前のめりの外交姿勢を見ると、その可能性はあると思う。

 日本は、核弾頭搭載のミサイル攻撃におびえて、「日本核保有論」が沸き起こり、東アジアが核兵器のるつぼにならないか心配である。

 

5.まとめ(筆者コメント)

 

①韓国人は、もともと自民族中心主義者で、「朝鮮民族」のアイデンティティで固まっている。

②韓国人は、日本の植民地支配に対し、「恨」の精神で、恨みを晴らすことを悲願としている。

③日本たたきを画策、実行し、快哉を叫ぶ韓国人が多数を占める事態は、絶対に避けねばならない。

④日本人は、平和を愛する民族に生まれ変わったことを、辛抱強く発信し、ともに未来を創るパートナーになれるよう、努力をしよう。

 

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アジアの平和 ④未来志向の対韓国外交 [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回の「日韓関係の不都合な現状」に続いて、未来志向の対韓国外交を考えてみよう。

 

1.日韓歴史問題への外交姿勢

 日韓は隣国同士であるがために、歴史問題で多くの困難を抱えている。恨みの気持ちを癒すには、大変な努力が必要である。

 慰安婦問題で「合意は1ミリも動かさない」(菅官房長官)とか、徴用工判決は「暴挙だ」(河野外相)と必要以上に激しい言葉をぶつけたのでは、関係はこじれるばかりだ。韓国にもいる良識ある人々が、ものを言えなくなる事態は避けたい。

 一般に、歴史問題については、どこの国民も、事実や当時の状況を知らされていないことが多い。事実は事実として、しっかり広報することは大事である。その上で、言うべき立場の人は、必要最小限のコメントを出し、あとは、静かに待つのが良策である。

 

2.民間外交のすすめ

文在寅大統領は、会合で「過去の問題が未来志向的な日韓関係の足を引っ張るのは望ましくない」と述べた。未来志向的な関係を築くために、日韓は相手をもっと「識る」ことから始めよう。

 

①歴史の共同研究

日本の学校では現代史を習う機会が少なく、韓国では若者が被害の歴史を熱心に教えられ、恨の精神を植え付けられていると聞く。そこで、日韓の有識者間で、日韓と東アジアの歴史を共同研究すべきである。一致できない箇所は両論併記でよい。研究成果は各国の教科書に載せて、正しい歴史認識を持った未来志向のアジア人を育てたい。

 

②訪問客の誘致

 2017年、訪日韓国人は714万人に急増、訪韓日本人は230万人に減少している。両国国民の相互理解を促進するため、観光客やビジネス客をもっと増やす施策が必要である。

 

③民間交流の促進

A:日韓親善協会中央会は1976年に設立され、初代会長は椎名悦三郎氏、現会長は河村建夫氏。韓国側にも同様の組織があり相互交流を行っている。本年10月には、日韓パートナーシップ宣言20周年記念行事が開催された。青少年交流事業は今年で30回目になる。

B:NPO法人・日韓文化交流会は、2004年に設立され、文化交流とボランティア活動を通じて、ワンアジアの理念を目指す文化共同体で、日韓両国の友情と和合を目指している。年間10件以上のイベントを開催し、事務局は札幌と東京にある。

C:公益財団法人・日韓文化交流基金は、1983年に設立され、日韓両国民の相互理解と信頼関係構築のため、人的交流と学術・文化交流を実施している。特に青少年交流事業は活発で、毎年100名単位の相互訪問を実施している。

 

3.東アジア非核兵器地帯構想のすすめ

アジアを非核兵器地帯にする構想については、後述する。

 

4.東アジア共同体の理念共有

 アジアの平和は共同体の創設によってもたらされる。まず、韓国とその理念を共有し、中国を誘い込む手はずを整えよう。詳細は後述する。

 

5. まとめ(筆者コメント)

①文在寅大統領が未来志向を言いながら、言行不一致なのは残念である。

 

②徴用工問題の推移を見ると、「日韓併合は違法」論が根底にあるようだ。併合時代に日本は良いこともたくさんしたが、違法と言われても仕方ないところもあった。

 

③日韓の氷を解かすには、国際世論を味方につけ、民間外交も使って粘り強く説得するしかない。

 

④東アジアを非核兵器地帯にする構想や、東アジア共同体の推進については、後続の当ブログで、考えてみよう。

 

 

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アジアの平和 ⑤北東アジアを非核兵器地帯に [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回の「未来志向の対韓国外交」に続いて、北東アジア非核兵器地帯構想について述べよう。

 

1.非核兵器地帯の現状

安全保障を核兵器に依存しないと条約で決めた地域を非核兵器地帯と呼んでいる。現在までに、世界で署名された非核兵器地帯条約の締約国は下記の通り、6地域、116か国となっている。

1969年中南米33か国、1986年南太平洋(13か国地域)、

1997年東南アジア(10か国)、2000年モンゴル(1か国)

2009年中央アジア(5か国)、2009年アフリカ諸国(53か国)。

 条約には、核保有国が、非核兵器地帯への核攻撃や威嚇を禁止する内容も含んでいる。ただし核保有国の署名と批准が条件で、いわゆる「消極的な安全の保証」である。

非核兵器地帯とその締約国が増えてくれば、国連の場で、核兵器による攻撃・威嚇の禁止を勝ち取り、核兵器の抑止力神話をなくすことができると思う。核廃絶の視野が開けて来よう。

 

2.北東アジア非核兵器地帯構想

米朝協議が、一時の期待をよそに停滞している。北朝鮮は、非核化の段階に応じた代償を求めており、一気に進展する見込みはない。北朝鮮の非核化を望まない中国が、裏で糸を引いているという説もある。

こんな時こそ、日本の外交が試される時である。北朝鮮と日韓の三国が集まって、北東アジア非核兵器地帯の協議の場を作ってはどうか。

北朝鮮の非核化、在韓米軍の核撤去、日本の非核三原則堅持(コラム参照)を議題にして合意を目指すのである。米朝協議を待たずに、北東アジアを非核兵器地帯にできれば、前進である。

 

3.中国の非核化(後述)

 

4.インド、パキスタンの非核化(後述)

 

5. まとめ(筆者コメント)

 

①北東アジア非核兵器地帯の実現など、出来る筈がないと言う声が聞こえてきそうだ。だが、はなから諦めてしまうのは敗北主義である。

 

②非核兵器地帯の条約がないのは、米、ロ、EU、中東、アジア(東南アジアを除く)である。最後まで抵抗しそうな米ロに、みんなで圧力をかける体制を早く作ろう。

 

③北東アジア非核兵器地帯の協議の場が持てれば、拉致問題の解決にも、つながると思う。

 

コラム 非核三原則

 

非核三原則とは、日本が核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という3つの原則のこと。1967年当時の佐藤栄作総理が沖縄返還交渉時に言及し、翌年の施政方針演説で順守を表明、1972年、沖縄は「核抜き・本土並み」で返還された。これが評価されて、佐藤元総理は1974年にノーベル平和賞を受賞した。以後、非核三原則は日本の基本政策となった。

 しかし実態は、日米安保で、核持ち込み時には事前協議する規定があったが、米国は守らず、日本も黙認してきた。非核三原則の問題点は「持ち込ませず」が形骸化していることである。

 

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アジアの平和 ⑥中国の非核化 [平和外交]

 新冷戦の脅威を踏まえつつ、アジアひいては世界に平和をもたらすために、日本は何をしたらよいか。前回の、「北東アジア非核兵器地帯構想」に続いて、中国の非核化ついて述べよう。

 

1.中国の核保有の経緯は次の通り

 1955年中ソ原子力協力協定締結、

  1957年ソ連が原子爆弾のサンプルとデータ提供、

1959年中ソ対立で原子力協定破棄・ソ連の専門家が帰国、

1960年中国が原子力自主開発開始、1964年初の核実験実施、

19652度目の核実験実施、

1966年核ミサイル発射実験成功、 1967年水爆実験に成功。

 

 核兵器数は2017年初めの時点で、米6800個、ロ7000個、中国270個、世界合計14,935個。

 

2.核軍縮へ、中国の取り組み

①核兵器先制不使用

1964年、中国は非核保有国及び非核兵器地帯に対し、核兵器の先制使用をしないと公約した。公約し、それを守っている唯一の核保有国であると主張している。

 1994年、中国は核兵器の先制不使用に関する、多国間条約の草案を提出し、核保有国に協議を呼び掛けているが、合意はされていない。

 

②非核兵器地帯の設置

 中国は、非核兵器地帯条約の締約を支持し、議定書に積極的に調印してきた。また、朝鮮半島、南アジア、中東などの非核地帯の設置をも支持している。

 

③核兵器不拡散条約

1984年、国際原子力機関(IAEA)に加盟し、1992年、「核兵器不拡散条約」に正式加盟した。

1998年、核物質の輸出管理を強化するため、「核両用物質及び、関連技術輸出規制条例」を公布した。

 

④核軍縮

中国は、核大国が、核脅威政策を放棄し、膨大な核兵器を保有する国が、大幅にその核兵器を削減することを主張した。また、核保有国が他国の領土に核兵器を配備することに反対し、その配備した核兵器をすべて自国に撤去することを主張している。

 

⑤核軍縮、核全廃への中国の貢献

 前記4項目はどれも核軍縮、核全廃につながる施策である。中国の取り組みは国際的に評価できるものである。

 

3.中国を非核兵器地帯にする戦略

前回の当ブログで、北朝鮮と日韓の三国が集まって、北東アジア非核兵器地帯の協議の場を作る提案をした。北朝鮮の非核化、在韓米軍の核撤去、日本の非核三原則堅持を実現して、北東アジアを非核兵器地帯にする構想である。

 

この北東アジア非核兵器地帯の協議の土俵に中国を乗せよう。米ロを除いた段階で、中国と合意形成は難しいが、協議開始に意味がある。安倍首相を本気にさせるのは困難だが不可能ではないと思う。

さらにその先、インド、パキスタンを巻き込んで、アジアの非核兵器地帯化が見えてくれば、国連が放ってはおかない。米ロも安閑としてはおられまい。

 

5. まとめ(筆者コメント)

①中国にも、強権体質の人、温厚な人など様々な人がいて、一色ではない。中国の脅威をとなえ、敵に仕立て上げる対応は間違っている。

 

②中国の覇権的な振る舞いを緩和するには、日本は米国から距離を置き、アジアの一員として戦略的互恵を目指して知恵を出し合う必要がある。対米従属一辺倒ではいけない。

 

③安倍首相様、米国の「核の傘」から出る勇気を持ってみましょう。別の世界が見えてくる筈です。

 

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