SSブログ

日本再生⑰ 報道の自由 [平和外交]

 前回は、過去に「言論・表現の自由」がどのように守られた来たか、主な判例をカテゴリー別に分類し、検討した。今回は、報道の自由について考えてみよう。

 

1.報道の自由の意義

 国民の知る権利は、主に、報道機関の報道によって充たされる。したがって、思想の表明の自由と並んで、報道の自由は、表現の自由を規定した憲法21条で保障された国民の重要な権利である。 

 報道機関の報道は、民主主義社会に不可欠で、政権選択の重要な判断資料となり、国民の知る権利に奉仕するものである。

報道の自由をめぐっては下記の論点が考えられる。

 

①「取材の自由」と制約

 報道資料が裁判所から証拠として提出命令を受けることがある。報道資料が報道目的外に使われると、以後、取材活動の制約となりかねないので、注意を要する。また、法廷内の写真撮影は禁止されているが、取材の自由の観点から一考の余地があると思われる。

 

②取材源秘匿

 報道の正確性を担保するため、取材源の明示が原則であるが、重大事故が予想される場合は、例外であると言われている。

 

③報道による権力の監視

 政府情報については、情報公開を原則とするが、国家機密には制約が課されてもやむを得ない場合がある。ただし、2014年の「特定秘密保護法」成立以来、福島原発や日米関係などの重要なテーマについて、タブーが増えていると言う。報道は国民からの受託の意味があるので、運用面を含めて十分な議論が必要である。

 

2.報道の自由度ランキング2019

「国境なき記者団」の報道の自由度ランキング(2019)によると、180か国地域のうち、日本は67位で、「顕著な問題を抱えている」ランク3と評価されている。日本は、民主党政権時の2010年には11位であったので、安倍政権になって大幅に悪化したことになる。

ちなみに、北欧諸国が上位を占め、中国は177位、北朝鮮は179位であった。

 

3.「報道の自由」に関わる事例(敗訴が多いのが気になる)

 

事例

内容

TBSテープ押収事件

1990年、TBSテレビは暴力団に密着したドキュメンタリーを放送し、組長による債権取り立て場面の映像が警視庁に押収された。さらに、取材スタッフは、暴力を見ながら撮影を続けたとして、責任を問われた。TBS敗訴

サンケイ新聞事件

1973年、サンケイ新聞は自民党から広告料を得て、共産党の政策を批判する同党の意見広告を掲載した。共産党は、同紙に反論権(アクセス権)を主張、「反論文の無料掲載」を求めたが、共産党の全面敗訴となった。

博多駅フィルム事件

1968年に空母寄港阻止デモに参加した全学連学生が、博多駅で機動隊から暴行を受けた事件の裁判があった。地元のテレビ4社は現場のフィルムの提出を求められたが報道の自由を理由に拒否した。テレビ4社敗訴。

 

4.まとめ(筆者コメント)

 

①大手マスコミは、消費税廃止を訴える「れいわ新選組」・山本太郎代表の報道を、意図的にやっていない。官邸、財務省、大企業に忖度した結果だ。「忖度マスコミ」には正義がない。

 

「かんぽ生命保険の不適切販売問題」を取り上げたNHKの番組が、お上の圧力で、放映中止に追い込まれた。個別の番組編成にお上が関与してはいけない。放送法で禁じられている。

 

③荻生田文科相の初仕事が、「あいちトリエンナーレ」の補助金の取りやめとは。あの人ならやりそう、あきれてものが言えない。ちなみに、補助金は7800万円、うち表現の不自由展は400万円という。

 

IMG_20190921_1 (2).jpg


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本再生⑱ まとめ(日本経済の再生) [平和外交]

 前回まで、経済、社会、政治の各課題について、日本再生を果たすにはどうしたらよいか検討してきた。ここで、「まとめ」をしておこう。

 

1.日本経済の再生 

 政府と財務省の誤った緊縮財政政策のおかげで、日本は失われた30年とも言われる長期低迷に陥っている。デフレ期の緊縮財政は毒薬である。改元を契機に、デフレ脱却のための正しい政策を実行し、実質GDP3%程度の成長を達成して、国力を増強し、国民を豊かにしたい。

名目GDPの推移.png

 図は名目GDPの推移である。1996年~2015年までの20年間、米国は2.5倍、中国は10倍以上になったが、日本はマイナス成長である。もしも日本が米国並みの成長を遂げていれば、現在の名目GDPは、円換算で1000兆円を優に超え、社会保障の財源問題などは生じなかった。

30年間何をしてきたのか?橋本内閣以降、デフレにもかかわらず、財政再建一辺倒。リーマンショックや消費財増税でマイナス成長になると、小出しの財政出動を繰り返してきた。デフレ時に、正しく積極財政を採用していれば、GDPで中国に抜かれず、世界2位を維持できたはず。まさに失われた30年である。

 

2.緊縮財政政策の罪の証明

図は、OECD加盟33か国における、年平均財政支出伸び率と、年平均GDP成長率の相関図である。財政支出伸び率とGDP成長率はほぼ比例しており、相関関係は非常に高い。

日本の「緊縮財政・ゼロ成長」が大変に痛々しい。原因は、少子高齢化ではなく、政府の緊縮財政政策と構造改革路線の誤りである。

 

GDP成長率と財政支出伸び率の相関.png

 

3.日本経済再生の処方箋:「長期投資計画」を

 政府は、2020年から10年間、年15.2兆円、20年間で総額219兆円の投資計画を発表しよう。そして、物価2%上昇、GDP実質3%成長を実現しよう。

投資対象は、国土強靭化、インフラ、基礎的技術の開発などの分野である。

政府が緊縮政策の呪縛を脱して、10年以上の長期にわたる投資態度を鮮明にすると、民間企業は安心して、自社の設備投資、技術開発投資、人材開発投資を実施できる。これによって、日本は完全にデフレを脱却し、企業は一人当たりの生産性向上を実現して、経済成長体質を取り戻すことができると思う。

 

4.まとめ(筆者の意見)

 

①「老後資金2000万円不足」問題にしても、緊縮政策という大間違いを是正せずに、衰退した日本を前提に、国会で揚げ足取りの議論をするのは壮大な無駄である。

 

②政府が適切な財政出動をし、実質賃金の上昇を誘導することで、2~3%の物価上昇(適度なインフレ)、3~5%の経済成長を5年続ければ、日本は復活する。

 

IMG_20190921_2 (2).jpg


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本再生⑲ まとめ(日本社会の再生) [平和外交]

 1.「100年安心福祉国家」の財源確保

①抜け穴をふさいで、大企業の法人税10.5兆円増

 日本の名目法人税率は23.4%であるが、「研究開発費減税」や「外国子会社配当金の益金不参入」などの巨大な抜け穴があって、大企業の実効税率は12.5%(2017年度)となっている。これを是正すれば10兆円程度の財源が生まれる(下表の法人税収増参照)。

 

年度

経常利益

実効税率

法人税額

23.4%の税額

税収増

2015

80.9兆円

13.3 %

10.8兆円

18.9兆円

8.1兆円

2017

96.3

12.5

12.0

22.5

10.5

 

②反・緊縮の「長期投資計画」によるの税収増

 10年間、年15.2兆円、20年間で総額219兆円の投資計画を、大胆に実行すれば、経済成長5%、物価上昇2%の成長経済を実現し、20年後、GDPは一千兆円に届く。

また、下表で20年間の税収累計は1658兆円で、緊縮継続の場合に比べて、累計540兆円の税収増になる。さらに、富裕層優遇を見直し、所得税、法人税の増税をすれば、社会保障の財源問題はない。

 

年度(20年間)

2019

2024

2029

2034

2039

備考

実質GDP(兆円)

554.8

553.5

567.9

582.7

594.3

IMF推計の日本のGDP

3%成長の実質GDP

554.8

643.0

746.0

864.0

1002.0

投資増から筆者推計

3%成長の税収見込

59.9

69.0

81.0

93.0

108.0

GDP10.8%を適用  

 

.少子化対策と人材育成

 

①若者が結婚できる社会を取り戻そう

日本の企業は、450兆もの内部留保を蓄えているにもかかわらず、労働者の実質賃金を、下図のようにピーク時から20%も下げてしまった。

少子化の原因の一つは、貧困化により結婚できない若者が増えているからである。最低賃金を大胆に、全国一律1500円に引き上げるなどで、若者世代の実質賃金を上げて、若者が未来に希望を持ち、結婚できる社会を取り戻そう

 

2019-06-24 (37).png

 

②手厚い子育て支援を実行しよう

調査によると、現在待機児童は7894人もいるという。20年度末待機児童ゼロの政府目標は達成できそうもない。保育の無償化が10月から実施されたのは朗報であるが、この際、待機児童を出さないよう保育施設の拡充が真っ先に必要である。保育士の待遇改善も急務である。

 
③移民受け入れ政策の見直しと東京一極集中の是正

 移民は低賃金労働の温床であり、実質賃金を押し下げ国民を貧困化させる元凶である。人手不足は、投資による一人当たりの生産性向上で解決すべきものである。また、東京一極集中を是正し、「地方」と「人」の創生が大事である。

 

 

4.まとめ(筆者の意見)

 

①安倍首相は国会で「富裕層の税金を上げるなんて馬鹿げた政策だ」と発言。馬鹿も休み休み言え。

 

北欧の福祉国家、スエーデンは、移民に依存して犯罪大国になった。日本はスエーデンの轍を踏まず、投資と生産性向上で、人口減少に立ち向かい、東の平和福祉大国になろう。


IMG_20190921_2.jpg

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

日本再生⑳ まとめ(日本政治の再生) [平和外交]

 1.アジアの安全保障環境の現状

 

安倍政権は中国を仮想敵国とみなした抑止政策に熱心である。日米同盟強化一辺倒の外交で、アジアの安全保障の緊張を逆に高めている。

 

一方、中国は南シナ海に軍事施設を作り、ミサイルを配備するなど、海洋進出を強化している。

 

中国は、日米同盟を仮想敵と定め、自国を防衛するため、最前線を前に構築したつもりであろう。東アジアは軍拡競争の場になったと言わざるを得ない。

 

 

2 .地域連合創設による安心供与の外交

 

 安全保障は抑止と安心供与が車の両輪である。人は、向こう三軒両隣と仲良くして、居心地の良い地域環境を作ることが生活の知恵というものである。遠隔地の知人に縋りつかないと安心できないような生活設計は間違っている。

 

日本は近隣諸国の懐に飛び込んで、地域のことは地域で解決するための、地域連合(共同体)の創設という大きな目標に向かって外交力を結集すべきである。

 

 

3.アジア連合のための対中国のアプローチ

 

アジア連合の交渉において、難物は中国である。中国と交渉開始の合意ができれば、8割がた、スタートアップは完了である。日本は、中国を仮想敵とせず、交渉の本気度を態度で伝えるべきである。  

 

いま、中国崩壊論や崩壊待望論がにぎやかである。しかし、「社会主義現代化強国」を目指すという中国は、帝国主義的ではあるが、世界を相手に取引をし、需要を創造する力がある。

 

財政均衡論に縛られて低迷する、下手な民主主義国家よりも、野性的、戦略的で、米中覇権戦争もうまくやり過ごすに違いない。

 

 

4.アジア連合に向けた日中連携の段取り

 

 

(1)安倍首相は南京慰霊訪問しよう

 

南京虐殺30万人説は信じないが、南京攻略で亡くなった方はいる。慰霊訪問すれば、安倍首相と日本への見方ががらりと変わる。慰霊訪問は虐殺を認めることになるという心配は、小心者の杞憂である。

 

(2)中国の「一帯一路」構想に参加を表明する

 

日米で進める「自由で開かれたインド太平洋」に「一帯一路」を統合する、大きい絵を描こう。

 

(3)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への関与を強める

 

東アジア地域包括的経済連携が年内妥結を目指して交渉中である。参加国がアジア連合対象国とほぼ同じであり、中国も前向きである。日本は、早期妥結に向け指導力を発揮してもらいたい。

 

(4)アジア地域連合(共同体)のキックオフを宣言する

 

 日中パートナーシップが進捗すれば、韓国はしぶしぶでもついてくると思う。

 

 

5.日米同盟の見直しを表明しよう

 

日本は、過去70年間、何回かあった日米同盟見直しのチャンスを逃してきた。安倍政権は、日米同盟に縋りついているが、同盟が完全に機能する保証はない。

 

この辺で、戦略を練り、勇気を振り絞って、日米同盟見直しの働きかけをすべきである。近隣諸国の、日本を見る目ががらりと変わる。日本が生まれ代わって「自主独立」を果たす契機になると思う。

 

ただし、アメリカと敵対するのではない。困難に直面する米中関係の仲立ちをすると宣言し、アジアにより強くコミットする日本を認めさせるのである。

 

 

.まとめ(筆者コメント)

 

 

①中国崩壊論が良く聞かれる。中国崩壊待望論というべきかもしれないが、品性が透けて見える。ここは、向こう三軒両隣の精神で、おせっかいを焼くべきではないか。虎穴に入って、大きな虎児を調教するくらいの気概を持とう。要は、戦略的互恵関係の構築である。

 

 

②新冷戦の勃発で、中国は日本に秋波を送っている。今がアジアを一つにするチャンスである。間違っても、「米日」対「中露」が敵対する、一触即発の大冷戦の構図を作ってはいけない。地球が壊れる。

 

IMG_20190921_3 (2).jpg

 


nice!(1)  コメント(5) 
共通テーマ:日記・雑感