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地球環境⑭ 地球温暖化の検証 [環境問題]

 地球温暖化を科学的に検証するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)発表のデータを基に確認してみよう。

 

1.世界の平均気温の推移

 図は、地表付近の気温と海面水温の毎年の平均(赤点)をプロットしたもので、1981年-2010年の平均温度をゼロとして、それからの差を現している。

青い線は移動平均線、赤い直線は傾向線であり、100年あたり0.74℃の割合で上昇していることが読み取れる。特に1995年以降の上昇が目立つ。

 

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2.世界平均海面水位の変化

 図は、世界の平均海面水位(複数測定個所)が、100年間に約17センチメートル上昇した推移を示している。

海面水位上昇の原因は、海水温上昇による熱膨張や、氷河の融解などによると言われている。

 ちなみに、グリーンランドの氷が全部融けると6m上昇するが、数千年かかる話なので、今心配することはない。

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3.二酸化炭素(CO2)の濃度

 二酸化炭素は熱を保持する性質があり、地球温暖化ガスの一つと言われている。

図は、大気中の二酸化炭素濃度の推移である。赤線は北半球で、青線は南極で測定した濃度を示す。

50年間で25%近く増えていることがわかる。

 ただし、温暖化の原因は他にも太陽光、宇宙線、雲、火山噴火、都市化など多岐にわたっており、特定は難しいとされている。

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4.世界の気温上昇の将来予測

IPCC の推定によると、2100年には地球の平均気温は、工業化前と比較して、対応の仕方によっては最悪で4.8℃上昇すると予想されている。すでに、0.74℃上昇しているので、IPCCは温暖化の弊害を考慮して、2050年まで1.5℃未満に抑える目標を掲げている。

 

5.まとめ(筆者コメント)

 

①日本の平均気温は、100年間で1℃上昇したというデータがある。自然要因より、都市化などによる人為的要因が働いていると思われる。

 

②温暖化対策を考える際には、予防原則が大事である。科学的証明が得られない場合も、取り返しがつかない事態を避けるための対策は打つべきで、後悔先に立たず。

 

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地球環境⑮ 地球温暖化の論点 [環境問題]

1.地球温暖化の否定・肯定論

 地球温暖化は複雑な事象なので、すっきりした科学的証明が難しいことは事実である。環境対策コストや、経済成長阻害の恐れなどが引き金になって、環境対策を拒否したり、先延ばししたりしようとする勢力が少なからずいる。

日本では、丸山茂徳、武田邦彦、藤井厳喜・・・、世界では、トランプ大統領などが代表である。彼らが主張する否定論と、それに対する反論をまとめて見た。

 

論点

地球温暖化否定論

地球温暖化肯定論

地球は温暖化しているか?

・温暖化しているか疑問

・地球の温度は、ほぼ30年ごとに上下しており、20002030年は寒冷期に当たる

 

・工業化前から0.7℃上昇は科学的に証明されている

工業化前と比較して2100年には、対応の仕方によっては最悪で4.8℃上昇すると予想されている

CO2は温暖化の犯人か?

19401980CO2が急上昇したが、気温は下がった。

・大気中のCO2濃度は0.038%で影響は小さい

CO2の保温効果は科学的に証明済み

CO2の他に量は少ないが強力な温暖化ガスがあり、油断は禁物

地球温暖化は良いことが多い

・温暖化の方が生物にはよい

・高緯度地帯の住環境が良くなり、熱帯地帯から移住できる

・海洋性気候の日本は温暖化の影響を受けにくい

・蚊やダニが繁殖して感染症が増える

・洪水などの自然災害が多発する

・日本だけ良ければよいのか?

地球は寒冷化に向かう

1万年前から寒冷化しており、今は間氷期である

・現在の間氷期はお終わりつつあり、これから寒冷化に向かう

2030年からミニ氷河期に入るという説もある。

氷河期の周期は5万年で、あと4万年は今の間氷期というのが正解とされている。

不確かな寒冷化説で、温暖化対策逃れは許されない。

 

2.地球温暖化に関わる事象

 地球温暖化は、人為的、自然的要因により様々な影響を受ける。主な要因は下記。

 

①地球温暖化ガス:温室効果ガスの種類別構成比は、二酸化炭素76.0%、メタン15.8%、一酸化二窒素6.2%、フロンその他2.0%となっている。

温暖化ガスが増えると、北極などの氷が融けて、温暖化の原因となる。

宇宙線:宇宙線は雲を作り温暖化の原因になる。ただし、宇宙線はここ140年間減少しており、雲が減少して温度を下げ方向に働いている

太陽の黒点:11年周期で増減していると言われている。黒点が増えると太陽放射光が増える一方で、宇宙線を吹き飛ばし、地球に到達する宇宙線を減らす。

④火山噴火:例えば、1993年ピナツボ火山が噴火し、雲が増えて、温暖化の原因となった

 

3.まとめ(筆者コメント)

 

武田邦彦氏は、地球温暖化に関わる科学者のうち、寒冷化を主張20%、温暖化を主張10%、分からないと答える科学者は70%と推測しているが、筆者は、温暖化を心配する学者はもっと多いと思う。

 

②温暖化対策を考える際には、予防原則が大事である。科学的証明が得られない場合も、取り返しがつかない事態を避けるための対策は打つべきで、「後悔先に立たず」である。

 

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地球環境⑯ 日本の温暖化と望ましい対策 [環境問題]

1.日本の温暖化の現状

 日本の平均気温は、気象庁の発表によると、図の通り100年間で1.21℃上昇した。特に1990年代以降、上昇基調が続いている。

 

 日本の気温2020-02-03 (1).png

 

2.温暖化の原因と、その緩和と適応(下図参照)

①温暖化の原因は、人為的要因としては温室効果ガスの排出増である。自然的要因には、宇宙線、太陽の黒点、火山噴火などがあるが、これらは人の手には負えないものである。

温暖化の緩和策として人類が関与できることは、温暖化ガスの排出を抑制し、神聖にして二つとない貴重な大気を汚さないことである。

③温暖化への適応策としては、防ぎきれない温度上昇による災害を回避することである。多発する森林火災を最小限に抑える消防組織の整備、水資源管理、食料備蓄、感染症対策など多岐にわたる。

 

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3.まとめ(筆者コメント)

①日本の一人当たりプラごみ排出量は、米国に次いで2番目に多い。リサイクル率は3割以下で、残りは焼却されたり、海に流出したりしている。プラスチックの減量と再生が急務だ

 

②スペインの会社で、漁師が海から回収した漁網などのプラごみを衣料や靴などに再生して注目を浴びている。プラごみは、世界で年800万トン流出しているので、同様の取り組みが望まれる。

 

③昨年のオゾンホールの面積は、1990年以降で最小になったという。フロンの規制の成果で、やればできることの証明になった。

 

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脱グローバリズム① 売国と廃国を許すな [脱グローバリズム]

1.グローバリズムの構造

 

経済のグローバル化は、「モノ」「サービス」「ヒト」「カネ」が国境を越えて自由に移動する自由貿易を指向する。政府による産業保護、経済活動の規制が非効率の源泉であるとして、構造改革、規制緩和を推進し、「小さい政府」が最良と称している。

規制緩和は産業保護をはぎ取って、過当競争を生み、国内産業を疲弊させ、勝者と敗者の経済格差を拡大させる。最後の勝者は国際金融資本だけという事態を招く。現に、アメリカなどの帝国主義国家が、軍産複合体や多国籍企業を操って、世界の富を吸い上げる戦略を実行している。売国の由縁である。

「小さい政府」は緊縮財政と親和性が高く、緊縮財政はデフレを招き、所得の中間層を減少させ、貧困層の大量発生につながっている。経済の均衡を目指すべき政府が、財政の均衡にとらわれて、デフレ期に必要な財政支出を渋り、政府の店じまいをして、廃国に向かっている。

 

グローバリズムのトリニティ(三位一体)と言われる構造をまとめると図のようになる。

 

三要素

各要素がもたらすもの

自由貿易

人、もの、カネ、サービスの自由化。新自由主義の無反省の信仰

規制緩和

構造改革、産業保護廃止、市場開放、TPPFTA締結、競争激化、売国

緊縮財政(注)

小さい政府、政府の店じまい(廃国)、格差拡大、国民の貧困化

(注)特に、デフレ時の緊縮財政政策は、経済が長期低迷し最悪の結果になる

 

2.グローバリズムの長短

下記の通り、グローバリズムにはメリットがあるが、それ以上にデメリットが容認できないほど大きくなっている。

メリット

自由貿易、国際分業による生産コスト低下、生産性の向上、

技術や文化の発展

デメリット

産業の空洞化、企業の海外移転、

雇用の喪失(日本は生産年齢人口減で、幸い人手不足)、

所得格差拡大、国民の分断、文化の衝突(地方衰退、伝統の消滅)

 

3.日本の新自由主義と構造改革の経緯

新自由主義は、競争志向の市場原理主義に基づいた、グローバルな資本主義経済体制で、小さな政府を指向する。米のレーガン大統領が採用したレーガノミックスが始まりで、日本では中曽根康弘、小泉純一郎が追随した。

 小泉純一郎元首相が「構造改革」の名のもとに、「小さな政府」、「官から民へ」、「中央から地方へ」などのキャッチフレーズを唱え、既得権の排除や規制緩和により、道路公団や郵政の民営化を断行し、経済再生を目指したが、結果は惨憺たるものになっている。

 「構造改革」の弊害として、国民生活の格差拡大、行き過ぎた市場・競争原理による拝金主義の台頭、社会保障での弱者切り捨てなどが起きた。今、「構造改革」への批判が高まり、見直しの動きが出ている。

 

4.まとめ(筆者の意見)

 

①グローバル化がピークを過ぎて、欧米ではポスト・グローバル化の動きが顕著になっているが、日本は逆行している。愚かなことだ。

 

②アベノミクスも、結局は、国民はそっちのけで、新自由主義の罠にはめられて、米国金融資本の支配に屈している。

 

コラム グローバル化歴史

 1914年をピークとする第一次グローバル化の後、現在は、1980年代に始まった第二次グローバル化が2008年のリーマンショックをピークに転換期を迎えている。(図参照) 

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