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脱グローバリズム② 脱・グローバリズムの動き [脱グローバリズム]

1.グローバリズムの弊害の極致

 前回の当ブログで述べたように、現在は、1980年代に始まった第二次グローバル化が、2008年のリーマンショックをピークに転換期を迎えている。

 図は、1997年を100とした、日本企業の売上高等の指数の推移(2017年まで)である。

①配当金は5.73倍に急騰。国際金融資本の圧力を受けて、従業員の給与を削って捻出した利益を優先的に株主配当にまわすという、グローバル化の帰結。

②経常利益は3.06倍。日本の将来はそっちのけで、設備投資はせず、目先の利益を増やして配当へ。

③役員給与1.3倍。アメリカの経営者ほどではないが、役員給与は手前勝手に増やしている。

④、売上高1.03倍、売上高は横ばい。世界で唯一経済成長をしない国。

⑤従業員給与0.93倍、設備投資0.64倍。人件費をケチり、生産性向上の投資はバッサリ。

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2.脱・グローバリズムの動き

 貿易は必要ではあるが、移民の増加などのグローバル化の行き過ぎで、国民の間に分断が生じ、「米国第一」のトランプ大統領出現、英国EU離脱、フランスの黄色いベスト運動などの反・グローバリズムの動きが起きている。

日本では、「令和ピボット」のような運動が始まった。経世済民の精神を放棄し、緊縮財政と「小さな政府」に固執し、日本を長期低迷に導いた現政権に対し、「反・緊縮」、「反・グローバリズム」、「反・構造改革」へと政策の転換(ピボット)を促す国民運動である。

図は、「令和政策ピボット」が作成したもので、縦軸にグローバル化と反・グローバル化、横軸に左(革新)と右(保守)を配置したマトリックスで、各政党の立ち位置をプロットした。多くの既成政党は、与党も野党もグローバル化を信奉し、規制改革、構造改革、緊縮財政政策を採用して、日本の衰退に加担している。

れいわ新選組だけが、グローバル化の行き過ぎを自覚し、反・緊縮など国民の方を向いた政策を掲げている。(なぜか日本共産党も)

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3.日本を売り渡す、構造改革に反対し、日本を取り戻そう

 行き過ぎたグローバリズムは、国民の命を守るべき「国民国家」の働きを損なってしまうものである。現に、移民法、種子法、水道法、IR推進法、漁業法など、安倍政権は、ろくな審議もせずに法改正を行った。米国などからの圧力に屈したとはいえ、国際金融資本に日本を売り払ったに等しい。

法改正の内容をもう一度見直して、過当競争を回避し、適正な賃金を払い、国民を大切にする日本を取り戻そう。

 

4.まとめ(筆者の意見)

 

①「現代貨幣理論(MMT)はデフレに苦しむ日本にとって良い解毒剤になる」と説明を受けた安倍首相は、「ふぐ料理は良い調理師でないと危険」と返したという。MMTの良さを理解していないようだ。

 

②最近の国会を見ていると、国民を代表するはずの立法府(議会)が行政府のしもべとなっている。悲惨なことだ。



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脱グローバリズム③ グローバリズムの連関図 [脱グローバリズム]

 グローバリズムが蔓延する世界の動きを述べてきたが、ここで、グローバリズムの因果関係を連関図のかたちで再確認しておこう。(下図「グローバリズムの連関図」参照

 

1.1980年代の社会経済状況

 1980年代は、米国は双子の赤字(財政赤字と貿易赤字)を抱え、英国はスタッグフレーション(インフレと不況の同居)に悩み、日本はバブルと円高圧力から、構造改革を求める声があふれていた。

 1985年のプラザ合意で、円ドルレートが1ドル360円から240円になり、一気に円高が進んだ。

 

2.グローバリズムのトリニティ

 新自由主義・市場原理主義に導かれて、自由貿易、規制緩和、緊縮財政という、グローバリズムのトリニティ(三位一体)が進行し、グローバリズムのデメリットが容認できないほど大きくなってきた。

 

3.グローバル資本主義、株主資本主義の弊害

 通貨危機やリーマンショックが発生し、デフレは深刻になった。過当競争から人々の経済格差が拡大した。短期利益を追求する株主資本主義が行き着くところまで行って、「今だけ金だけ自分だけ」という世の中になってしまった。世直しの動きが出るのは必然である。

 

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4.まとめ(筆者の意見)

 

①人はなぜ「改革という言葉」に騙されるのか。改革でコストを減らし、儲けを外国の業者に差し出すのが良いはずがない。コストは、本来、国内の「国民の所得」になるはずのものである。

 

②聖域なき構造改革とは何か。行政改革、公務員制度改革、規制改革などなど、改革の氾濫である。中身は、人員削減、予算削減、公共サービスの民営化などで、緊縮政策と新自由主義政策ばかり。 

 

③公務員たたきが激しい。地方公務員も含めて過剰で無駄だという。本当だろうか?公務員比率中国45%、米国27%、ドイツ21%、日本11%。災害時には国民の命を守る存在を邪見にすべきではない。

 

④大企業のトップが、政府の諮問会議の委員になって、規制緩和を叫び民営化を果たして、自社の利益を増やすのは紛れもなくレントシ―カ―(利益誘導)である。

 

⑤安倍首相はかつて「国境にこだわる時代は終わった」と発言された。グローバリズム信奉者の発言であり、すぐに考え方を改める必要がある。



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脱グローバリズム④ 脱・グローバリズムの連関図 [脱グローバリズム]

 前回は、グローバリズムが世界に蔓延する道筋を述べた。ここで、脱・グローバリズムの動きと処方箋について連関図のかたちで再確認しておこう。(下図「脱・グローバリズムの連関図」参照


1.グローバル資本主義、株主資本主義の弊害


 通貨危機やリーマンショックが発生し、デフレは深刻になった。過当競争から人々の経済格差が拡大した。短期利益を追求する株主資本主義が行き着くところまで行って、「今だけ金だけ自分だけ」という世の中になってしまった。世直しの動きが出るのは必然である。


2.脱・グローバリズムの動き


 貿易は必要ではあるが、移民の増加などのグローバル化の行き過ぎで、国民の間に分断が生じ、「米国第一」のトランプ大統領出現、英国EU離脱、フランスの黄色いベスト運動などの反・グローバリズムの動きが起きている。日本では、「令和ピボット」のような運動が始まった。


3.日本を売り渡す、構造改革に反対し、日本を取り戻そう


 行き過ぎたグローバリズムは、国民の命を守るべき「国民国家」の働きを損なってしまうものである。現に、移民法、種子法、水道法、IR推進法、漁業法など、安倍政権は、ろくな審議もせずに法改正を行った。米国などからの圧力に屈したとはいえ、国際金融資本に日本を売り払ったに等しい。


法改正の内容をもう一度見直して、過当競争を回避し、適正な賃金を払い、国民を大切にする健全な国民国家を取り戻そう。


4.多国間連携の再構築


 健全な国民国家が取り戻せたら、その先は新しい「多国間連携」である。米国のような覇権国家が、「米国第一」を唱えながら、恣意的、利己的に世界を仕切るのはいただけない。地域連合と世界政府が正しく機能する、新しい統治機構を構想する時期が来ている。(当ブログ「世界政府」参照)


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5.まとめ(筆者の意見)


①多国籍巨大企業が、国家の上にのしかかってきて、国家が、国民よりも「市場の力」に主権を奪われるのは納得できない。


②エリート層の劣化で、統治能力が危機に瀕している。節度ある、健全な民主主義を取り戻そう。


③日本は昔、貿易立国と言われていたが、現在、輸出、輸入ともGDP17%程度で、貿易依存度は決して高くはない。もっと内需を活性化し、経済成長をする余地がある。


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脱グローバリズム⑤ 水道民営化に反対しよう [脱グローバリズム]

 前回まで、脱・グローバリズムの動きとその対応策について考えてみた。総論を終えて、個別の施策を取り上げてみよう。堤未果著「日本が売られる」を参考にした。

 

1.世界的な水道民営化の経緯

 水道民営化は、1980年代、「新自由主義の父」と呼ばれたシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授から始まった。教授の愛弟子であったサッチャー元首相がイギリスに水道民営化を導入した。

 1990年代には、世界銀行やIMF(国際通貨基金)などの国際金融機関が、水道民営化を債務国への融資条件にしたことから、先進国と途上国の両方に拡大し、本格化していった。

2005年頃をピークに減少に転じたが、かなしいかな、周回遅れで追随したのが日本である。

 

2.水道民営化のスローガン

「民間企業のノウハウを活かし、効率の良い運営と安価な水道料金」という、聞こえの良いスローガンが掲げられた。

 

3.水道民営化の問題点

 ①民間企業の競争による効率向上と言っても、それは入札時のみ。あとは一地域一社独占の運営で、巨額な経営者報酬や株主配当のための利益優先の経営が続く。

 ②公営から企業運営になった途端に、水は「値札の付いた商品」になり、料金の値上げが始まった。代表的な事例として、イギリスは25年間で水道料金が3倍になった。

 

4.水道民営化の失敗事例

 ①水道料金高騰や、サービス・水質低下などの理由で、2000年以降、世界37か国235都市が、一度民営化した水道事業を再公営化に戻した。

 ②再公営化の際、莫大な違約金を請求され、納税者につけが回された。

 

5.周回遅れの日本の水道民営化

 日本は、周回遅れで欧米に追随し、下表のように水道民営化を推進した。国際金融資本の恫喝に屈したとはいえ、誠に拙劣な選択をしてしまった。いま、見直しを迫られている。

 

推進人(戦犯)

水道民営化の内容

竹中平蔵

経産大臣

(当時)

小泉政権で最初に民営化を唱えた立役者で、公共インフラの運営権を民間企業に売却(コンセッション方式)。

自治体には施設所有権を残し、老朽化や災害時の復旧を義務付け。

麻生太郎

副総理

2013年、米シンクタンクの会合で、水道の民営化・バーゲンセールを約束する演説を行った

橋下徹

大阪市長

(当時)

2014年、橋本大阪市長(当時)は、水道事業の運営権を民間企業に売却する方針を発表。市議会議員の反対にあい、地方議会の承認権を剥奪した。

浜松市長

(当時)

2017年、日本で初めて下水道運営権を仏ヴェオリア社に売却(20年契約)。熊本県合志市、栃木県小山市が続く。

安倍晋三

首相

2018年、2日の審議を経て「水道法改正案」衆院で強行採決。条文を「公正妥当な料金」から「健全経営のための公正な料金」に変更したが、マスコミも国民も気づかず。30兆円の価値を持つ日本の水道資産が外資に売られた。

 

6.まとめ(筆者の意見)

 

①日本のような災害大国では、国民の命にかかわる水道事業の民営化はやってはいけない。



②グローバリズムの対極は国民国家主義である。ゆるやかな規制(保護)と連帯による、横のナショナリズムが機能する国民国家が、平和で住み良い国家である思う。


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