習近平主席に告ぐ⑦ 民主化への道 Ⅲ [平和外交]
習近平国家主席に対し、貴国の民主化への道程について、提言の続きを述べます。
4.法治主義と三権分立を確立してください
貴国には憲法も、法律もありますが、適切な機能を果たしていない憾みがあります。
2017年3月開催の全人代において、最高人民法院の周強院長は、習近平主席が提唱する「依法治国」(法に基づく統治)の成果をアピールしたが、内容は下記の通り、法治主義や三権分立とは程遠いものでした。民主派の知識人から批判を浴びたのは当然であると思います。
●2015年に人権派弁護士を一斉拘束し、一部、国家政権転覆罪で有罪とし、これによって、「国の長期の安定と人民の安寧を保障した」と自賛しました。「人権派の活動を法によって厳しく罰し、断乎として政権の安全を守った」とも述べました。
●「司法の独立など、西側の誤った思想は断固拒否する」とし、「中国の特色ある社会主義的司法制度の優越性を守り、西側の司法とは別の道を歩む」とも述べました。
日本の最高裁長官に相当する人の発言としては看過できません。
① 法治主義の確立
法治主義は、独裁者の支配を否定し、国家権力の行使は議会が定めた法律によって行われなければならないとする政治システムで、三権分立がその核心となります。
習近平国家主席は「党の核心」と呼ばれるようになりましたが、核心と言うなら、それは習近平氏ではなく、法治主義の方であると思います。
<<「すべての人のまなざしに耐えうる」法と司法のシステムを作ってください>>
② 三権分立の導入
議会で法律を作る立法権、政府が法律に基づいて政治を行う行政権、裁判所が法律に基づいて裁判を行う司法権の三つが、均衡を保つことにより、権力の暴走を防ぐ仕組みが三権分立であります。
<<立法、司法、行政の責任と権限を明確にし、共産党中央による独裁的支配を是正してください>>
コラム カントの共和的体制と法治主義
カントは、個人の自由と平等が守られていて、共通の法に従う国家の状態を共和的体制と称した。
法は公開されることで、「すべての人のまなざしに耐えうる」ものとなる。特定の人たちだけを、特別扱いする法は「すべての人のまなざしに耐える」ことができない。
独裁国家は公平性と公開性が不十分で、カントの永遠平和の原理に反している。人口が14億人いても、人のまなざしを組み込んだシステムの力を使えば、統治は可能であり、国民の自由と平等を保障し、世界に平和をもたらす政治はできるはずである。
2016年9月の当ブログ「カントの永遠平和のために③ 法治のシステム」参照
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