地球環境① 日本の環境問題 [環境問題]
1.環境問題を取り上げる理由
国連の気候変動サミットで、スエーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、温暖化対策に及び腰の先進国首脳に対して、怒りをあらわにする演説を行った。
一方、トランプ大統領や日本の保守派論客は、案の定、「洗脳された子供の発言」などと貶める発言をしている。任期中、痛みを伴う政策は後回しにするつもりのようだ。
台風の凶暴化、高潮、山林火災の多発など、気候変動対策は待ったなしである。当ブログでは、ローカルやグローバルの環境問題を、読者と一緒に考えてみたい。
水素爆発を起こし白煙を上げる福島第一原子力発電所3号機(中央)、左端の1号機は屋根が吹き飛んでいる。
2.日本の環境問題
日本は高度成長期を中心に、様々な公害に悩まされてきた。表の上から四つは、四大公害と呼ばれ、終息に長い年月を要した。日本は、公害先進国として、蓄積したノウハウを積極的に途上国に移転し、地球環境問題の解決に向かって国際貢献を果たしたい。
リスク |
汚染物質 |
発生源、場所 |
ピーク時 |
水俣病型公害 |
メチル水銀 |
チッソ、熊本県水俣湾。(魚介類から) |
1953年 |
水俣病型公害 |
メチル水銀 |
昭和電工、新潟県阿賀野川。 |
1965年 |
イタイイタイ病 |
カドミウム |
三井金属神岡鉱山の排水、富山県神通川 |
1956年 |
交通公害 |
硫黄酸化物 |
自動車排ガス、四日市ぜんそくが代表 |
1960年代 |
POPs型公害 |
ダイオキシン |
PCBや、塩化ビニルなどの燃焼時に発生するPOPs(注1)による公害。 北九州市・カネミ油症事件が代表 |
1968年 |
アスベスト |
発がん物質 |
ケイ酸塩を主成分とする繊維状の鉱物。 肺がんや中皮腫に罹患 |
1970年 |
産廃不法投棄 |
廃油、廃プラ |
豊島における産業廃棄物不法投棄 |
1980年 |
廃棄物公害 |
ダイオキシン |
日の出町廃棄物処分場の浸出水より |
1996年 |
メルトダウン |
放射線 |
福島第一原子炉メルトダウン |
2011年~ |
(注1)POPs:難分解性(残留性)有機汚染物質。日本では1999年に「ダイオキシン類対策特別措置法」を制定。2001年にストックホルム条約が締結された。
3.まとめ(筆者コメント)
①福島第一原子炉メルトダウンによる損害は21兆円を超えるという。15mを超える津波の情報を得ながら、対策を怠った罪は重く、経営幹部の無罪判決は不当である。
②非常電源を地階から2階に上げる措置を取れば水没を免れて、数百万円の費用で済んだはず。次善の策に想到しなかった数万人の東電社員は何をしていたのだろうか。
③トリチウムを体内に取り込むと、崩壊時にDNAを破壊し奇形児誕生のリスクが、非常に小さいがある。トリチウム汚染水は水と区別ができず、除去が難しい。貯蔵量は137万トンの限界に近付いた。
昨年、ようやく、分離・回収する技術が発見されたそうなので、国費を投入してでも、実用化に取り組むべきである。
地球環境② 世界の環境問題 [環境問題]
1.世界の環境問題
写真のような、真青な水の惑星・地球は、人類にとってかけがえのないものだ。たかだか数十年の人々の営みによって急激に、地球に魔の手が忍び寄っている。
プラスチックごみが良い例で、餌と間違って食べた魚が死に至るという。本当に恐ろしいことだ。
2.世界の主要な環境問題
地球環境にとって、グローバルリスクと思われる項目を一覧表にしてみた。後続の当ブログで、順次、問題と対策を考えてみよう。
リスク |
説 明 |
地球温暖化 |
二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの増加により、地球の平均気温が上昇すること。このままだと、2100年頃、年平均気温は1.4°C~5.8°C上昇するという。 |
気候変動 |
気候・降水量などが、30年間の平均値から徐々に乖離することで、異常気象の多発が懸念される。 |
水資源不足 |
地球上で循環している水の量は14億K㎥とされ、大部分は海水で、淡水は2.3%に過ぎない。しかも淡水のうち、人間が使える水の総量は1%にも満たない。 |
食料安全保障 |
国民に必要な食料の安定供給を確保し、生命と健康を守ること。日本の食料自給率は40%を割り、世界の飢餓人口は8億人を超えている。 |
地下資源枯渇 |
石炭、石油など化石燃料の資源は枯渇の期限が迫っている。地球にやさしい代替資源の開発が急務である。 |
海洋汚染 |
海洋に投棄、排出された物質による海水の汚染。DDT等を含む農業用水、水銀、カドミウム等の重金属、PCB等の石油化学製品、油、放射線廃棄物などが原因物質になっている。 |
熱帯林減少 |
熱帯地方に発達した森林が、商業伐採や農地・牧草地への転換などにより急速に減少している。面積は19億㌶で、世界中の森林面積43億㌶の半分近くを占めている。 |
オゾン層破壊 |
大気中に放出されたフロンが、地上10~50kmの成層圏に滞留するオゾン層を破壊する現象。フロンは太陽紫外線で分解され、放出された塩素分子によって、オゾン分子が破壊される。 |
人口爆発 |
世界の人口は2055年に100億人を突破するという調査がある。日本は少子化だが、世界の問題は人口減少より人口爆発だ。 |
感染症拡大 |
地球温暖化に伴って、日本でもマラリアやデング熱の流行が懸念される。 |
3.まとめ(筆者コメント)
①トランプ大統領が、温暖化対策を国際的に取り決めた「パリ協定」から離脱を宣言した。専門家が科学的に検証した事実を信じないという。選挙の足かせとなる政策は先延ばしする魂胆であろう。米国第一主義を唱えるだけで、世界の指導者としては落第どころか、悪魔である。
②人口爆発の対策は、教育レベルの向上と避妊具の無償配布である。日本は逆に少子化に悩んでいる。対策は、若者世代の可処分所得向上である。政府は、30年間の誤った緊縮政策の転換が必須。
地球環境③ 地球温暖化と気候変動 [環境問題]
1.地球温暖化・気候変動の因果関係
下図の通り、温室効果ガスの増加→大気、海水の温度上昇→温室効果ガスの増加という悪循環の結果、気温は、最近100年間に0.74度C上昇、2100年には1.6度C上昇すると予想されている。日本は率先して対策に取り組まなければならない。
2.主な温室効果ガス
温室効果ガスの種類別構成比は、二酸化炭素76.0%、メタン15.8%、一酸化二窒素6.2%、フロンその他2.0%となっている。
①二酸化炭素(CO2)は炭素を含む物質が燃えたときに発生する。年間264億㌧排出され、うち114億㌧は植物や海が吸収してくれるが、残りは大気中に残ってしまう。
世界の二酸化炭素排出量(2016年)は323億㌧で、うち中国28%、米国15%、日本は3.5%。
日本における火力発電の、燃料別二酸化炭素排出量は、KWh当たり、LNG火力476g、石油火力695g、石炭火力864g。ちなみに石炭火力の世界平均は941gとなっている。
②メタン(CH3)は、湿原、田んぼ、天然ガスなどから自然に発生し、二酸化炭素の21倍の温室効果があるという。牛や羊などの家畜のゲップもメタンを含み、温暖化に一役買っている。
③一酸化二窒素(N2O)は亜酸化窒素とも言い、窒素酸化物の一種である。人を陶酔させる作用があり笑気ガスとも呼ばれる。温室効果は二酸化炭素の300倍もあり危険度は高いが幸いに量は少ない。
紫外線によって分解されて一酸化窒素になり、フロンと同様、オゾン層を破壊する作用がある。
④フロン(CFC)は、炭素、水素、フッ素、塩素、臭素などの化合物で、冷媒や溶剤として使われる。オゾン層破壊と温室効果があることから規制され、代替フロンに切り替わりつつある。
3.気候変動の悲惨な結果
大気温、海水温上昇により、感染症、熱中症、害虫の増加、洪水や高波の頻発、希少動物減少やサンゴ白化などの災害が発生しており、今後はさらに悪化すると予想される。
海面は、最近100年間に17cm上昇、2100年には84cm上昇が予想され危機感がたかまっている。
4.まとめ(筆者コメント)
①トランプ大統領が米国は「パリ協定」から離脱すると宣言した。地球温暖化に対する科学的な知見を無視し、温暖化対策費を選挙に勝てる政策にまわすつもりであろう。断固反対しよう。
②日本にも、国連の持続可能開発目標(SDGs)を否定し、カリフォルニア山火事は自然現象と言い張る論者がいる。藤井厳喜、武田邦彦、・・・。
地球環境④ 水資源管理 [環境問題]
1.世界の水資源の現況
地球は「水の星」と言われ、14兆㎥もの水が存在している。ほとんどは海水で97.5%、淡水は2.5%に過ぎない。淡水の70%は北極、南極の氷の状態なので、使える水は全体の0.01%である。
国連主導の「持続可能な開発目標」17項目の6番目が「安全な水とトイレを世界中に」で、2030年までに、すべての人々の水と衛生の利用可能性と、持続可能な管理を確保するとしている。
2.日本の水資源の現況
日本の年間の降水量は約6,400億m3(1981年から2010年までの30年間の平均値)ですが、その内、約2,300億m3(36%) は蒸発散してしまう。
残りの約4,100億m3 は理論上人間が最大限利用可能な量であり、これを水資源賦存量という。
降水量が少ない年では、水資源賦存量は減少し、10年に1回程度発生する渇水年では約2,800億m3 となっている。
年間降水量 約6,400億㎥ |
|
蒸発散 2,300億㎥ |
利用可能量 4,100億㎥ |
3.日本の水使用量
実際に使用している水量は、2011年の取水量ベースで年間約809億m3 であり、平均的な水資源賦存量の約20%に相当する。この比率を水資源使用率という。
使用されない3,000 億m3 以上の水は洪水などで海へ流出したり、地下水として貯えられている。
利用可能量 4,100億㎥ |
|
使用量809億㎥ |
残りは海や地下水へ |
4.水の用途別使用量
水の用途別の使用状況(2011年)は、農業用水が約544億m3 で全体の約67%、工業用水が約113億m3で全体の約14%、生活用水が約152億m3 で約19%となっている。
日本の水資源使用率を地域別に見ると、大都市が集中する関東、近畿で高い値となっている。
5.仮想水使用量(食料等の輸入品が、生産地で使用した水を、輸入したと見做した量)
食料等の輸入品を日本で作ったと仮定した場合の水使用量を仮想水という。
日本の仮想水使用量は年間640億㎥である。水使用量809億㎥に迫る量である。
6.改正水道法(水道民営化)の問題点
2018年12月、水道事業を民営化しやすくする「改正水道法」が強行採決で可決された。民営化すれば利益を優先するあまり、水質は低下し、住民サービスは二の次になる。多国籍国際資本に、おいしいところだけ持って行かれる結果に終わりそうである。
7.まとめ(筆者コメント)
①今上天皇は「水問題」をご研究のテーマにされていて、最近、「水運史から世界の水へ」の著書を出版された。また、3年ごと開催の「世界水フォーラム」で講演をされている。心強いことと思う。
②温暖化がこのまま続くと、亜熱帯地域の砂漠化、赤道と高緯度地域の多雨が進行し、人が住みにくい地球になると思われる。一人一人が、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出抑制に取り組もう。
③日本の年間降水量1718mmは世界平均880㎜の2倍だが、人口密度が高く、一人当たりに換算すると決して潤沢ではない。雨水を上手に貯留する工夫が大事である。
④水道民営化について、最近15年間に37か国235都市で公営に戻し、違約金や損害賠償を請求されるという失敗事例が多数発生している。日本は同じ轍を踏まないよう、見直しをしよう。
地球環境⑤ 食料安全保障 [環境問題]
食料安全保障は、国民に、安全で栄養価に富む食料を安定的に供給する仕組みを整備することである。
国連でも、持続可能な開発目標(SDGs)の2番目に「飢餓の撲滅」を掲げていて、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態を改善するため、持続可能な農業を推進すると宣言している。
世界と日本における食料安全保障の取り組みについて考えてみよう。
1.慢性的な栄養不足の現状
アフリカ、東南アジア、西アジアの一部地域で悪化しており、合わせて8億人以上が飢餓状態にあり、20億人が断続的な欠食に苦しんでいる。こうした傾向は、紛争や、気候変動による干ばつ、洪水などが重なった状況下で顕著である。
2.食料不安の原因
飢餓を生み出す具体的な原因は、世界の人口増加、新興国の経済発展による食生活の高級化、バイオ燃料の生産増加、政情不安による紛争の勃発と長期化、気候変動異常気象の頻発、食糧輸出国のシェア奪取、価格変動リスクなどとなっている。
3.世界における食料安全保障上の主要活動
農家の生産性向上、農業の科学と技術向上、所有権の保護と融資保証、人的資本の向上などを目指して下記の支援事業を実施している。
世界の食料生産の促進と、農産物流通システムの形成 |
「責任ある農業投資」による当事者利益の調和と最大化を目指す活動の推進。 価格の乱高下を防ぐための、農業市場情報の収集と共有の仕組みを構築。 |
国際的支援・セーフティーネットの構築 |
FAO, WFPと官民が連携して、新興国・途上国を含む各国の栄養改善のための支援事業を実施。 |
気候変動や自然災害などへの緊急事態対応 |
不作や輸入の大幅減少などに備えて、緊急事態食料安全保障の指針を整備している。また、アジア諸国の間で、2011年に、緊急事態のためのコメの備蓄制度に関する協定が締結された。 |
4.食料安全保障に関わる主な国際機関
国際連合食糧農業機関(FAO) |
194か国とEUが加盟する国連専門機関で、農林水産業に関する様々な業務を行っている。 |
国際連合世界食糧計画(WFP) |
国連の食糧支援機関で、世界最大の人道支援機関でもある。 |
国際農業開発基金(IFAD) |
176か国が加盟する国連専門機関で、途上国の農業発展を資金的に支援する活動を行っている。 |
5.日本における食料安全保障の取り組み
国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務である。平成11年施行の「食料・農業・農村基本法」において、国内農業生産の拡大、安定的な輸入、備蓄の活用を適切に組み合わせて、食料の安定的な供給を確保すると規定している。図示すると下記の通りである。
食料の安定供給 |
||
国内農業生産の拡大(重要) |
安定的な輸入 |
戦略的な備蓄 |
6.まとめ(筆者コメント)
①2018年、政府は「種子法の廃止」を決定した。すべては、モンサント(現バイエル)など、ハゲタカ巨大企業の市場開放要求に屈した結果である。
②農業協同組合解体や、土地、教育、福祉、医療などの分野の過度の市場開放に反対する。ほくそ笑むのは、おいしいところを攫ってゆくグローバル多国籍企業で、新自由主義に基づくグローバリズムの行き着く先である。
③宴会等の食品ロス削減のため、「料理+レトルト食品」を提供し、再利用の機会を増やそう。
地球環境⑥ 化石燃料の枯渇とCO2排出量削減策 [環境問題]
1.化石燃料がなくなる年
化石燃料の埋蔵量等の最近のデータは下表のとおりである。ウランは化石燃料とは言えないが、参考のため記載した。
資源 |
確認埋蔵量 |
可採年数 |
枯渇年数 |
石油 |
1兆7,067億バレル |
51 |
71 |
天然ガス |
187兆㎥ |
53 |
98 |
石炭 |
1兆1,393億トン |
153 |
220超 |
ウラン |
572万トン |
102 |
220 |
注)確認埋蔵量:現在までに確認された埋蔵量
可採年数:採掘継続可能の年数、枯渇年数:新規発見資源量を見込んだ可採年数
2.パリ協定の枠組み
パリ協定の長期目標は、「平均気温上昇1.5℃未満」、「21世紀後半までに排出ゼロ」である。日本は、2030年に、2013年比26.0%削減の中期目標を掲げている。
3.CO2排出量の削減策
GDPは国内総生産で、生活の豊かさの指標であるが、GDPを引き上げるにはエネルギー消費が必要であり、結果、温室効果ガスのCO2が排出される。
CO2排出量削減策を考えるにあたって、GDP単位当たりのCO2排出量を、次式のように分解すると、対策が考えやすい。「/」は割算の記号である。
CO2排出量/GDP = ①(CO2排出量/エネルギー消費量)✕ ②(エネルギー消費量/GDP)
① CO2排出量 / エネルギー消費量
エネルギー消費量当たりCO2排出量は、自然エネルギーを導入したり、石炭火力から天然ガスに転換するなどで、CO2排出を減らすことができる。ところが日本は、震災による原子力発電所停止もあって、ここ数年でエネルギー消費量7.4%増加(逆行)しているのは問題である。
② エネルギー消費量 / GDP(生活の豊かさ)
経済活動のエネルギー効率をよくするため、省エネ機械を導入すると、エネルギー消費量を減らすことができる。日本は、LEDの導入、次世代自動車の普及促進などにより、ここ数年でエネルギー消費量15.5%削減となっている。
4.日本のエネルギーミックス
2030年における総発電電力量を10,650億KWHと見込み、電源構成を下記の通り計画している。この計画には、省エネによる17%削減を織り込み済みである。
石油3% |
石炭 26% |
LNG 27% |
原子力22~20% |
再エネ22~24% |
5.日本のCO2排出量削減策
日本は、革新的イノベーションの源泉となる経済成長を果たしながら、環境対策も進めるために、次の施策が期待される。
・排出されるCO2を資源としてとらえ、分離・回収して再利用する「カーボンリサイクル」の推進
・企業による省エネ機器開発のための積極的な技術投資と政府の財政支援
・家庭における太陽熱温水機の利用や、太陽光パネルの設置等による省エネの推進
6.まとめ(筆者コメント)
①ノーベル賞受賞で注目のリチウムイオン電池を活用して、大々的なイノベーションを起こそう。
② 熱帯雨林や森林はCO2の巨大な貯蔵庫であり、雨雲の発生源である。森林保護ファンドを設置して、森林火災を防ぐための緩衝地帯を作ろう。
地球環境⑦ 再生可能エネルギー [環境問題]
再生可能エネルギーは、太陽・地球物理学、生物学的な源に由来し、自然界で利用される以上の速度で補充されるエネルギーと定義される。具体的には、太陽熱、太陽光、風力、潮汐力、波力、温度差、水力、地熱、バイオマスなどが含まれる。最近の、日本の電力構成比は下表のとおりである。
エネルギー源 |
発電方式 |
電力構成比% |
太陽エネルギー |
太陽光発電 |
6.0 |
太陽熱発電 |
||
風 |
風力発電 |
0.7 |
水 |
水力発電、揚力発電 |
7.7 |
地熱 |
地熱発電 |
0.2 |
バイオマス |
バイオマス発電 |
2.3 |
化石燃料 |
石油、天然ガス、石炭 |
76.9 |
ウラン |
原子力発電 |
6.2 |
1.太陽エネルギー利用発電(発電割合6.0%)
①半導体で作った太陽電池(ソーラーパネル)に、太陽光を当てて電気を作る仕組み。夜間には電気を作れない欠点があるが、クリーンエネルギーの代表格。
②太陽エネルギーで水を酸素と水素に分解し、これを燃料電池に供給して電気を作る新技術もある。夜間の発電も可能になり、期待が大きい。
③太陽熱発電は、鏡で反射して集めた熱で蒸気を作り、タービンを回して電気を作る仕組み。雲が少ない砂漠に適した発電で、サハラ砂漠で作った電気をヨーロッパに送電する計画がある。
④家の屋根などに太陽熱集熱器を設置し、熱エネルギーで温水を作って給湯や床暖房に利用する。
2.風力発電 (発電割合0.7%)
風力発電は、風で風車を回し、発電機を動かして電気を作る。風車が回る時に風切り音が出るので、人が多く住む土地では設置できない。景観を損なう、鳥が衝突して死ぬなど反対意見があるが、対策はある。蓄電池と組み合わせれば、大きな戦力になる。
3.水力発電と揚水発電 (発電割合7.7%)
①水力発電は、ダムなどにおいて、水の流れ落ちる力を使って発電する方式である。
②揚水発電は、水力発電用ダムの下に受け皿ダムを作り、余った電気で水をくみ上げ、不足する時間帯に発電して電力を平準化するための発電方式である。太陽光発電による昼間の電力を夜間に利用する仕組みとして期待される。この揚水発電は、蓄電池の機能と同じである。
4.地熱発電は、火山国日本にあっている (利用割合0.2%)
地熱発電は、マグマで加熱された水蒸気でタービンを回して発電する方式である。家庭で、地中熱交換機を設置し、ヒートポンプを回して暖房する方式もある。
5.バイオマス発電 (発電割合2.3%)
間伐材、おがくず、わら、生ごみなどを燃料にしてタービンを回して発電する。CO2を増加させないクリーンな発電方法である。燃料の供給が不安定で、やむを得ず石炭等を混合利用する場合もある。
北海道の紋別バイオマス発電所は、総発電量5万KWで、6万5千世帯分の電力を賄っている。
6.海洋エネルギー利用発電(発電割合は少ないが将来性はある)
①潮汐発電は、潮汐水車により発電機を回して電気を作る発電方式。満潮時に海水をため、干潮時に排出して発電機を回すので、規則性があり、優れた発電方式である。
②波力発電は波の運動エネルギーで電気を作る発電方法で安定性がある。振動水柱型、可動物体型、越波型、ジャイロ式の四つの発電方法がある。
③海水の熱でアンモニアなどの液体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回す海洋温度差発電もある。
7.まとめ(筆者コメント)
①国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で、日本は、小泉進次郎環境大臣の消極的な姿勢を批判して「化石賞」が贈られれた。残念。
②日本政府と業界は、石炭火力発電所の新増設をし、海外輸出までしている。時代錯誤だ。
地球環境⑧ 海洋汚染 [環境問題]
1.世界のプラスチック汚染の現状
図のように、世界のプラスチック年間生産量は、1980年頃から急激に増えて、2016年に3億9600万トンに達した。世界人口一人当たりに換算して53キログラムとなる。
生産されたプラスチックの75%が最終的に「プラスチック廃棄物」となり、その3分に1が海洋、河川等の環境を汚染している。2050年には海のプラスチックごみは魚の重量を上回るとされている。
具体的には、2019年3月、フィリピンの海岸に打ち上げられたくじらの胃から40kgものビニール袋が出てきたというニュースがあった。くじらだけでなく、ウミガメ、イルカ、海鳥などもプラスチックごみを食べたり、網が絡んだりして死ぬ例が報告されている。
「捨てればごみ、分ければ資源」は至言。日本のプラスチック廃棄物のリサイクル率は28%で、あまり進んでいない。(図はWWFのホームページより)
2.日本の海洋汚染確認件数
日本における、2018年の海洋汚染確認件数は414件で、過去10年の平均423件からわずかに減少した。内訳は下表のとおりである。
汚染物質 |
確認件数 |
構成比% |
備考 |
油 |
283 |
68 |
船舶から165件、漁船64件、作業船20件 |
廃棄物 |
113 |
27 |
不法投棄109件 |
有害液体物質 |
5 |
1 |
|
その他 |
13 |
3 |
|
合計 |
414 |
100 |
|
3.4Rを心がけよう(下表)
Reduce |
ゴミになるものを減らす (リデュース) |
マイバッグを使う。使い捨て容器を減らす。 生分解性プラスチックを使う |
Reuse |
繰り返し使う(リユース) |
詰め替え容器を使う。ボトル再利用 |
Recycle |
再利用する(リサイクル) |
ゴミの分別回収、原材料として再利用。 |
Refuse |
レジ袋などを辞退する (リフューズ) |
ゴミになるものの受け取りを拒否する |
4.海洋汚染削減への、期待される取り組み
政府 |
過剰包装規制、削減目標の策定、代替品開発政策支援、企業と市民の協働の仕組み、環境保全投資 |
産業界 |
リサイクル推進、代替品開発、ごみ管理システム構築への投資 |
家庭 |
政府の対策に協力、使用削減・分別・再利用(4Rの実践) |
5.まとめ(筆者コメント)
①海洋汚染や温暖化防止のための投資は、政府が先導しなければ進まない。日本政府は、緊縮財政論の間違いを反省して、積極的に環境保全投資を推進すべきである。
②地球は2030年からミニ氷河期に入るという説がある。論者も自信はないようだ。氷河期の周期は5万年で、あと4万年は今の間氷期というのが正解とされている。温暖化対策逃れは許されない。
地球環境⑨ 閑話休題 [環境問題]
2020年1月3日
あけましておめでとうございます
20世紀には、「石油」の争奪が戦争の原因になりましたが、
21世紀は、「水」が戦争の火種になると言われています。
地球は「水の星」と言われ、14兆㎥もの水が存在していますが、
淡水は2.5%に過ぎません。
しかも、淡水の70%は北極、南極の氷の状態なので、
人が使える「水」は全体の0.01%なのです。
すべての人々が「水」を使って、「衛生」的な生活ができるよう、
管理することが世界の課題になります。
2020年を、「水資源管理」元年にしたいものですね。
地球環境⑩ 森林破壊 [環境問題]
世界の森林は約40億㌶、森林率は30%とされている。森林はCO₂を吸収する「地球の肺」の役割を果たす貴重な存在である。森林の代表格である、アマゾン熱帯雨林の保護について考えてみよう。
1.アマゾン熱帯雨林の本来の環境
アマゾン熱帯雨林は、面積が19億㌶で、世界中の森林面積の半分近くを占めている。全世界の生物種の半数以上が熱帯雨林に生息し、大気中の酸素の40%は熱帯雨林によって供給されたものと言われている。
もともと、熱帯雨林には、図のように原住民が生活の場を築き、焼き畑で主食のキャッサバを栽培して、農家の暮らしと自然保護の両立を図っていた場所であった。
しかし、一旦植生を失うと多雨の影響で急速に土壌流出を起こし、砂漠化しやすく、火災の巣になりやすいとされている。
2.アマゾン熱帯雨林 止まらぬ破壊
アマゾン熱帯雨林は、急速に減少し、しかも年々減少が加速しているという。熱帯雨林減少の背景は、木材・紙生産のための商業伐採や、農地・牧草地への転換による森林破壊である。
かつて地表の14%を覆っていた熱帯雨林が現在は6%まで減少したという。
最近では、2019年に入ってから9月までに、放火などにより、およそ10万件の火災が発生した。火災現場は、図の通り、乾燥が進む道路沿いに集中している。すでに九州より広い面積の熱帯雨林が焼失したとされている。
3.ブレジルの大統領の経済開発
ブラジルのボルソナロ大統領は、「国土の半分以上を保護区域にしているなんて耐えられない、経済発展の妨げになる」として、積極的な熱帯雨林の開発を国民に呼びかけた。開発に前向きな大統領の登場で、森を焼く農民が増え、国際社会から懸念の声が上がっている。
批判の声にこたえて、少しばかり政策転換を図り、野焼きの制限と消火活動の強化に乗り出しているという。
4.望ましい熱帯雨林保護政策
SDGsの15番目に「陸の豊かさ」の目標が掲げられている。陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・防止及び生物多様性の損失の阻止を促進することになっている。
フランスのマクロン大統領は「生物の多様性や温暖化対策のために、アマゾンを再生しなければならない」と述べた。
これらを勘案すると、熱帯雨林保護政策は下記のようになると思う。
①国連が予算を確保して、森林火災の予防と消火の拠点を整備し、強化する
②先住民族はアマゾンの森を守る最後の砦。国連が支援して、先住民族の保護を強化する
③ブラジルの畜産農家等の転地・転業に向けて、国連の支援が届くような仕組みを作るう
④CO2増加→地球温暖化→大気温上昇→森林火災頻発の悪循環を止める
5.まとめ(筆者コメント)
①「気候アパルトヘイト」という言葉がある。頻発する山林火災に、私設消防団を雇ってしのぐ富裕層と、それができない一般市民の絶望的な格差を現す表す言葉で、そんな富裕層に温暖化否定論者が多い。
②昨年後半から、オーストラリアで森林火災が続いている。25人が焼死し、延焼面積はすでに四国の4倍に達したという。日本は、大規模森林火災に備えて、消火活動を相互に支援する、国際的な消防組織の構築を主導しよう。
地球環境⑪ 人口爆発の抑制 [環境問題]
1.世界の地域別人口推計(国連推計)
国連推計によると、2100年の人口は109億人で、2019年比1.41倍になるとされている。地域別にみると、アフリカのサハラ砂漠の南に位置するサブ・サハラ地域の人口が、2100年に約38億人、2019年比3.54倍と爆発的に増加し、世界人口の35%を占めるとみられている。
人口の単位:百万人 |
2019年 |
2030年 |
2050年 |
2100年 |
2100/2019 |
世界全体 |
7,713 |
8,501 |
9,25 |
10,875 |
1.41倍 |
サブ・サハラ(アフリカ) |
1,066 |
14,00 |
2,118 |
3,775 |
3.54 |
北アフリカ、西アジア |
517 |
609 |
754 |
924 |
1.62 |
中央・南アジア |
1,991 |
2,227 |
2,496 |
2,334 |
1.17 |
東・東南アジア |
2,335 |
2427 |
2,411 |
2,334 |
0.99 |
ラテンアメリカ |
648 |
706 |
762 |
680 |
1.05 |
オセアニア |
421 |
479 |
573 |
749 |
1.78 |
欧米 |
1,114 |
1,132 |
1,36 |
1,120 |
1.01 |
2.人口爆発の問題点
国連推計によると、2100年の人口は109億人で、2019年比1.41倍になることは1項で述べた。地球の資源で養える人の数には限りがある。ネックは、水、食料、エネルギーになると思う。
20世紀には、「石油」の争奪が戦争の原因になっていたが、21世紀は、「水」が戦争の火種になると言われている。砂漠化が広がって、食料不足が深刻になり、エネルギー資源の枯渇も迫っている。
人口の都市集中、移民の増加、貧困と格差拡大、若者のギャング化、治安の悪化で、内乱が頻発する恐れがある。
3.人口抑制対策
人口爆発の対策の基本は、教育レベルの向上、避妊具の無償配布である。具体的には、給付付き教育施設の設置、雇用の確保、保健医療体制の確立、乳幼児死亡率の改善、児童労働の抑止、インターネットの活用、独裁政権の抑止などである。
4.日本の少子化対策
日本は逆に少子化に悩んでいる。対策は、若者世代の可処分所得向上である。結婚したくてもできない若者に、未来への希望を与えることである。政府が、30年間の誤った緊縮政策を転換すれば、再び、日本を豊かな国にできると確信している。
5.まとめ(筆者コメント)
①世界の人口は、西暦元年に1億人、1000年に2億人、1950年に25億人、2000年に61億人、2019年に77億人になった。このままでは、2100年に109億人になる。早急に対策が必要である。
②トランプのような再選しか考えない大統領に、指先で支配されている世界は不幸である。アフリカの人口爆発を止めるためにも、世界政府のような多国間連携による公正な意思決定・執行機関が欲しい。
地球環境⑬ 感染症 [環境問題]
1.感染症の感染経路
感染症の感染媒体と感染経路は図の通りである。(大幸薬品のHPより)
2.主な感染症の症例
人類の歴史が始まって以来、主な感性症の症例は表の通りである。
感染症 |
症例 |
時期 |
被害(概算) |
天然痘 |
天然痘 |
6~15世紀 |
人口減少 |
ペスト |
ペスト |
540年頃 |
死者 一日1万人 |
黒死病 |
14世紀 |
死者 2500万人 |
|
新型インフルエンザ |
スペイン風邪 |
1918年 |
死者 4000万人 |
アジア風邪 |
1957年 |
死者 200万人 |
|
香港風邪 |
1968年 |
死者 100万人 |
|
新型インフルエンザA |
2009年 |
死者 2万人 |
|
新興感染症 |
エイズ |
1985年頃 |
死者 2500万人 |
プリオン病 |
1996年 |
イギリス中心に被害 |
|
高病原性鳥インフルエンザ |
1997年 |
死者 249人 |
|
SARS(重症急性呼吸器症候群) |
2002年 |
死者 774人 |
|
MERS(中東呼吸器症候群) |
2012年 |
死者 628人 |
|
新型肺炎(コロナウイルス) |
2020年 |
死者170人(1/29現在) |
|
再興感染症 |
結核 |
1935年~ |
最盛期 死者年400万人 |
マラリア |
6世紀~ |
最盛期 死者年200万人 |
3.温暖化と感染症の脅威
地球温暖化による気温、降水量、海面、気象などの変化が感染条件に影響し下記の通り脅威となる。
①蚊、ダニなど媒介動物の生息域拡大、生息数増大による、マラリア、デング熱等の発症
②水の量や質が変わり、下痢などの感染症が深刻になる
③異常気象による、自然災害時の感染症拡大
④気温上昇による熱射病の多発
4.まとめ(筆者コメント)
①地球環境シリーズで述べてきた温暖化対策が、感染症の拡大・頻発を防ぐ助けなる。
②感染症の罹患を防ぐには、公衆衛生の徹底と、個人の衛生意識の向上しかない。
地球環境⑭ 地球温暖化の検証 [環境問題]
地球温暖化を科学的に検証するため、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)発表のデータを基に確認してみよう。
1.世界の平均気温の推移
図は、地表付近の気温と海面水温の毎年の平均(赤点)をプロットしたもので、1981年-2010年の平均温度をゼロとして、それからの差を現している。
青い線は移動平均線、赤い直線は傾向線であり、100年あたり0.74℃の割合で上昇していることが読み取れる。特に1995年以降の上昇が目立つ。
2.世界平均海面水位の変化
図は、世界の平均海面水位(複数測定個所)が、100年間に約17センチメートル上昇した推移を示している。
海面水位上昇の原因は、海水温上昇による熱膨張や、氷河の融解などによると言われている。
ちなみに、グリーンランドの氷が全部融けると6m上昇するが、数千年かかる話なので、今心配することはない。
3.二酸化炭素(CO2)の濃度
二酸化炭素は熱を保持する性質があり、地球温暖化ガスの一つと言われている。
図は、大気中の二酸化炭素濃度の推移である。赤線は北半球で、青線は南極で測定した濃度を示す。
50年間で25%近く増えていることがわかる。
ただし、温暖化の原因は他にも太陽光、宇宙線、雲、火山噴火、都市化など多岐にわたっており、特定は難しいとされている。
4.世界の気温上昇の将来予測
IPCC の推定によると、2100年には地球の平均気温は、工業化前と比較して、対応の仕方によっては最悪で4.8℃上昇すると予想されている。すでに、0.74℃上昇しているので、IPCCは温暖化の弊害を考慮して、2050年まで1.5℃未満に抑える目標を掲げている。
5.まとめ(筆者コメント)
①日本の平均気温は、100年間で1℃上昇したというデータがある。自然要因より、都市化などによる人為的要因が働いていると思われる。
②温暖化対策を考える際には、予防原則が大事である。科学的証明が得られない場合も、取り返しがつかない事態を避けるための対策は打つべきで、後悔先に立たず。
地球環境⑮ 地球温暖化の論点 [環境問題]
1.地球温暖化の否定・肯定論
地球温暖化は複雑な事象なので、すっきりした科学的証明が難しいことは事実である。環境対策コストや、経済成長阻害の恐れなどが引き金になって、環境対策を拒否したり、先延ばししたりしようとする勢力が少なからずいる。
日本では、丸山茂徳、武田邦彦、藤井厳喜・・・、世界では、トランプ大統領などが代表である。彼らが主張する否定論と、それに対する反論をまとめて見た。
論点 |
地球温暖化否定論 |
地球温暖化肯定論 |
地球は温暖化しているか? |
・温暖化しているか疑問 ・地球の温度は、ほぼ30年ごとに上下しており、2000~2030年は寒冷期に当たる
|
・工業化前から0.7℃上昇は科学的に証明されている ・工業化前と比較して2100年には、対応の仕方によっては最悪で4.8℃上昇すると予想されている |
CO2は温暖化の犯人か? |
・1940~1980頃CO2が急上昇したが、気温は下がった。 ・大気中のCO2濃度は0.038%で影響は小さい |
・CO2の保温効果は科学的に証明済み ・CO2の他に量は少ないが強力な温暖化ガスがあり、油断は禁物 |
地球温暖化は良いことが多い |
・温暖化の方が生物にはよい ・高緯度地帯の住環境が良くなり、熱帯地帯から移住できる ・海洋性気候の日本は温暖化の影響を受けにくい |
・蚊やダニが繁殖して感染症が増える ・洪水などの自然災害が多発する ・日本だけ良ければよいのか? |
地球は寒冷化に向かう |
・1万年前から寒冷化しており、今は間氷期である ・現在の間氷期はお終わりつつあり、これから寒冷化に向かう ・2030年からミニ氷河期に入るという説もある。 |
・氷河期の周期は5万年で、あと4万年は今の間氷期というのが正解とされている。 ・不確かな寒冷化説で、温暖化対策逃れは許されない。 |
2.地球温暖化に関わる事象
地球温暖化は、人為的、自然的要因により様々な影響を受ける。主な要因は下記。
①地球温暖化ガス:温室効果ガスの種類別構成比は、二酸化炭素76.0%、メタン15.8%、一酸化二窒素6.2%、フロンその他2.0%となっている。
温暖化ガスが増えると、北極などの氷が融けて、温暖化の原因となる。
②宇宙線:宇宙線は雲を作り温暖化の原因になる。ただし、宇宙線はここ140年間減少しており、雲が減少して温度を下げ方向に働いている
③太陽の黒点:11年周期で増減していると言われている。黒点が増えると太陽放射光が増える一方で、宇宙線を吹き飛ばし、地球に到達する宇宙線を減らす。
④火山噴火:例えば、1993年ピナツボ火山が噴火し、雲が増えて、温暖化の原因となった
3.まとめ(筆者コメント)
①武田邦彦氏は、地球温暖化に関わる科学者のうち、寒冷化を主張20%、温暖化を主張10%、分からないと答える科学者は70%と推測しているが、筆者は、温暖化を心配する学者はもっと多いと思う。
②温暖化対策を考える際には、予防原則が大事である。科学的証明が得られない場合も、取り返しがつかない事態を避けるための対策は打つべきで、「後悔先に立たず」である。
地球環境⑯ 日本の温暖化と望ましい対策 [環境問題]
1.日本の温暖化の現状
日本の平均気温は、気象庁の発表によると、図の通り100年間で1.21℃上昇した。特に1990年代以降、上昇基調が続いている。
2.温暖化の原因と、その緩和と適応(下図参照)
①温暖化の原因は、人為的要因としては温室効果ガスの排出増である。自然的要因には、宇宙線、太陽の黒点、火山噴火などがあるが、これらは人の手には負えないものである。
②温暖化の緩和策として人類が関与できることは、温暖化ガスの排出を抑制し、神聖にして二つとない貴重な大気を汚さないことである。
③温暖化への適応策としては、防ぎきれない温度上昇による災害を回避することである。多発する森林火災を最小限に抑える消防組織の整備、水資源管理、食料備蓄、感染症対策など多岐にわたる。
3.まとめ(筆者コメント)
①日本の一人当たりプラごみ排出量は、米国に次いで2番目に多い。リサイクル率は3割以下で、残りは焼却されたり、海に流出したりしている。プラスチックの減量と再生が急務だ
②スペインの会社で、漁師が海から回収した漁網などのプラごみを衣料や靴などに再生して注目を浴びている。プラごみは、世界で年800万トン流出しているので、同様の取り組みが望まれる。
③昨年のオゾンホールの面積は、1990年以降で最小になったという。フロンの規制の成果で、やればできることの証明になった。