日本経済のあるべき姿 [詩・俳句・エッセー]
1月29日のラジオ「マイあさ」で第一生命経済研究所の長濱利廣氏が「日本経済のあるべき姿」に付いて次のように語っていた。
日本は昨年のGDPでドイツに抜かれて4位に後退した。経済の長期停滞で企業の海外流出が続き、国内の経済活動が振るわなかった。
企業の海外流出の原因は、①円高、➁高い法人税、③経済連携協定の遅れ、④労働規制、⑤環境規制⑥エネルギーコスト高の六つで、産業の六重苦といわれている。
現在①~③はやや緩和されたが残りは未解決で、今後は原発再稼働、技術投資の促進、工場の国内回帰などの取り組みが必要である。なお、今後は「購買力平価ベースの一人当たりGDP」をパフォーマンスの指標に採用するのがよい。(筆者もおおむね賛成)
筆者の意見:
①規制緩和、官から民へ(民営化)、小さい政府、自己責任、緊縮財政等の新自由主義的な政策はもはや世界のどの国もやっていない。経済が長期に停滞する日本こそ早急に転換すべきだ。
➁競争の激しい先端技術分野のうち、リスクが大きいが成功すればリターンも大きい技術については、民間任せにせず政府の大胆な投資が望まれる。
③円安の現在、海外流出工場の国内回帰はチャンスである。政府は移転経費の8割の補助金を出しても将来のためになると思う。
俳句 題: 鶏の卵
朝飯に生れたてなる寒卵
蕗みそをおともに卵かけご飯
日本が経済成長できないワケ [詩・俳句・エッセー]
週刊現代が最新号で、日本が経済成長できないのは、「政府と日銀」のせいとする見方があるが本当か?逆にその見方が日本経済をだめにしているのではないか、という下記の記事を書いた。
2023年の「1人当たり名目GDP」(ドル換算)は、2000年との比較で、アメリカ、ドイツ、カナダは2・2倍、フランスは1・9倍、イタリアは1・8倍、イギリスは1・6倍だが、日本のみが0・9倍であった。
だが、政府にできることは、規制改革などで、その条件整備を行うことだ。日本人が謙虚な姿勢で他国に学び、絶え間ない果敢な挑戦と「もがき」でアニマルスピリットを取り戻した時こそ、日本の経済成長と日本再生が始まるはずだ。
筆者の意見:
①財政健全化主義の一辺倒はダメ
多くのジャーナリストはグローバリストで、多くの政治家、官僚、経済学者も同じである。
彼らは、政府は民間の邪魔をせず、規制改革、構造改革などで民間がコスパを高めて競争に勝った時だけ経済は成長すると信じている。経済が絶好調の時はそれでよいが、横ばい期やデフレ期には大間違いである。
➁政府支出はGDPの構成要素
GDPを支出面から見た国内総支出は、消費+企業投資+政府支出+貿易収支(輸出-輸入)の和で、これが総需要である。民間が弱っているとき政府が積極的に財政支出をすることで、総需要を高め、高圧経済と明るい未来をもたらすことができる。
③民間の尻叩きとお願いだけではダメ
財政をふかすことで、潜在供給能力を100%発揮させ、さらにそれを増強して潜在GDPを増やすことが日本復活につながる。これは政府にしかできない仕事である。政府の役割を過小評価してはいけない。少なくとも、民間の尻叩きとお願いだけではダメだ
俳句 題: 温暖化
12月季語が驚く夏日かな
俳人が戸惑う地球の温暖化
温暖化止めよ冬虫夏草よ
移民制度に物申す [詩・俳句・エッセー]
出入国在留管理庁の発表によると、2022年6月現在の在留外国人は296万人で、移民数は世界で4位である。内訳は表のとおり。
在留資格 |
人数 万 |
説明 |
筆者のコメント |
永住者 |
114 |
永住者、定住者、それぞれの配偶者を含む |
異論はない |
技術者等 |
30 |
技術者、経営者、教育者、知名人、国際業務担当者など |
々 |
留学生 |
26 |
岸田首相は獲得に力を入れていて、学費支援で日本人学生より優遇している |
日本人学生にもそれ以上の支援をするべきである。 |
技能実習 |
32 |
最長5年間働きながら学ぶ制度で1号と2号があった。 |
実態は労働奴隷で、失踪が相次ぎ廃止に追い込まれた。 |
特定技能 |
9 |
特定12産業分野に相当の知識・経験を持つ一号と、熟練技術を持つ2号があり、2019年に創設された。 |
技能実習制度から移行を予定したもの。2号になると家族帯同が許される。 |
育成就労 |
検討中 |
2024年2月政府は新たに育成就労制度を設けることを決定。技能実習と同じ職種で、期間を3年、1,2年で転籍も可とする予定。 |
技能実習の焼き直しで、産業界の要望を丸呑みしたもの。特定技能への予備軍を育てることになるが、労働奴隷化が心配。 |
筆者の意見:
①育成就労制度新設に反対
自民党が最近「育成就労制度」を検討している。新たな労働奴隷の導入にならないか心配である。移民の制限に動いているヨーロッパとは逆な移民拡大政策は間違っている。
➁労働力不足の対策
少子高齢化による労働力不足は、移民依存でなく、政府の正しい経済財政政策で解決すべきである。外国の安価な労働力を欲しがる経営者団体には、代案を示して説得してほしい。
③積極財政が必要
労働力不足をチャンスととらえ、リスキリングなど人への投資とロボットなどの省人化投資を拡大し、積極財政により賃金が上昇する高圧経済を実現すれば、日本人を豊かにし幸せにする国づくりができる。
俳句 題: 春風
風やさし水面の波紋鷹鳩に
白いひげ吹き抜けてゆく春の風
子育て増税 [詩・俳句・エッセー]
政府は少子化対策の財源に充てるため、2026年度から「少子化対策支援金」として、国民1人当たり500円を公的医療保険に上乗せして徴収すると決めた。
岸田首相は、歳出改革と賃上げにより、国民に実質的な負担は生じない、だから「子育て増税」との指摘はあたらないと述べた。
筆者の意見:
①岸田首相は、国民から「増税メガネ」と呼ばれるのを嫌っていて、「子育て増税」も増税ではないと言い張っているが、そんな屁理屈は通らない。
➁岸田首相の「子育て増税」は、子育て中の世帯への支援のためであって、真の少子化対策にはなっていない。異次元とは名ばかりである。
③少子化を止めるには、未婚の男女が結婚できるような環境整備が必要である。例えば若者の賃金引き上げ、非正規の正規化、将来不安、貧富の格差解消などの対策が考えられる。
俳句 題: 霞
雪舟の霞色濃き水墨画