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ザイム真理教 [詩・俳句・エッセー]

 森永卓郎氏の「ザイム真理教」を読んだ。内容の要約をお伝えしよう。


財務省は長年にわたって財政赤字を嫌い、黒字を追求してきた結果、日本は重税国家の衰退途上国となった。そこにはカルト教団の教義のようなものがある。


教義1:国債償還の強迫観念
 財務官僚は、国債は償還しなければならないという誤った観念に縛られている。利息はともかく、元本は日本を含めどの国も借り換えでまわしている。60年償還ルールを設け、国債残高の60分に1を歳出に計上しているのは日本だけだ。


教義2:財政均衡至上主義
 財務官僚は、国債や通貨の信認を言い立て、財政破綻論で国民を脅し、消費税などの増税を進めてきた。
 経済成長よりも財政健全化のほうを優先した結果、国民負担率は2010年の37.2%から2022年には47.5%に高まった。いわゆる五公五民である。


正しい財政政策の考え方:

 ①バランスシートで物を見る
 日本政府は流動資産と固定資産を合わせて1,121兆円ある。負債は1661兆円で、資産負債差額は540兆円である。借金のGDP比は102%で先進国ではごく普通である。


➁通貨発行益を考える
 負債のうち国債は987兆円だが、半分以上は日銀が買っている。日銀は政府に子会社だから、日銀が国債を買った瞬間に政府は返済義務がなくなる。すなわち政府は利益を得たのと同じになる。これが通貨発行益である。


③消費税廃止で未来に希望を
 消費税廃止で国民を元気にし、高度成長期の半分でも経済成長路線に戻れば、分母が大きになって国民負担率は小さくなる。


筆者は森永卓郎氏の議論に賛成する。


 俳句 題: 目借時


四次元の水の惑星春うらら


目借時グループホームのおやつ時


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人手不足 [詩・俳句・エッセー]

3月1日のラジオ「マイあさ」で、「人手不足の改善」について、法政大学名誉教授の水野和夫氏が次のように語っていた。


人手不足の現状


①労働力人口: 1989年の6,978万人をピークに、2012年の6,515万人、2023年の6,925万人と推移した。2023年の増加は主に65才以上の女性の労働参加によるものである。


➁労働力人口の高齢者シフト: 1544才の減少を65才以上の高齢者の増加で補っているのが現状で、肉体労働を伴う基幹労働力の不足は進んでいる。


③労働生産性はドイツの半分: ドイツの人口は8,400万人で、日本の約三分二だが、GDPは今年日本を超えた。ドイツ人の労働時間が日本人より2割も少ないことを考慮すると、日本の生産性はドイツの半分に過ぎない。


人手不足の改善


①過剰生産・過剰サービスの見直し: 衣類の年間生産40億着に対し20億着は廃棄され、食料品も2割以上がロスになっている。人手不足の改善には過剰生産・過剰サービスの見直しが必要である。


➁即日配達の見直し: 物流業界では即日配達にこだわっているが、即日配達希望は1%もない。ドライバー不足の現状から直ちに見直すべきである。


筆者の意見:


①労働生産性の向上: 日本は物的・人的資源が眠っている。人手不足をチャンスととらえ、賃金上昇、消費、投資の増加、経済の成長という好循環を実現しよう。好循環の引き金には政府の積極財政が必須である。


➁少子化を止めよう: 若者が将来に希望を持てる社会を作り、結婚したくてもできない非婚者を減らそう。日本の出生率は1.26だが、出生率0.72を記録した韓国の後を追ってはいけない。


③移民で穴埋めは最悪: 人手不足を移民で解決しようとするのは大間違いである。移民は日本国民を低賃金におとしめ、格差を拡大し、日本をさらに衰退させる。奴隷労働を欲しがる経団連の策略に乗ってはならない。


俳句 題: 東京大空襲


今生の惨禍や東京大空襲


3月や敵機に追われ焼かれけり


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IMFは古臭い [詩・俳句・エッセー]

IMF(国際通貨基金)は29日、日本経済に関し、物価上昇が来年後半まで2%を超える水準で推移する見込みだとして、金融政策について短期の政策金利を段階的に引き上げていくべきだと勧告した。また財政の持続可能性を確保するため、財政健全化に向けてまじめに取り組むよう指摘した。さらに6月以降実施される所得税の定額減税にも否定的な感想を述べた。


 国際通貨基金は国連の専門機関の一つで、加盟国は189か国、出資金はアメリカに次いで2位である。日本からの出向職員は59名で、副専務理事に元財務官が、総務理事に財務大臣が就いている。2017年の日本への政策提言では、消費税を15%まで段階的に増税するよう勧告している。


筆者の意見:
IMFの融資は、緊縮財政、構造改革、財政均衡を貸出し条件とするもので、対象国の経済成長に役立っていない。


IMFの経済勧告は古臭い古典派経済学の理論に毒され、貨幣観も間違えていて、対象国の経済成長や国民の幸福など眼中にない。


IMFには日本の財務官僚が多数派遣されていて、IMFの勧告には財務省のご意向が100%入っている。したがって勧告内容を政策に取り入れれば、国民の幸福という最高の命題より、財務省の省益が優先されて、失われた30年が40年になる。


俳句 題: 地虫穴を出ず


春園芸ころりと出ずる地虫かな


サラダ菜に虫を見つけた子の叫び


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「予算の無駄遣い」を考える

 


 予算の無駄遣いや財政規律のゆるみに対する国民の批判がいつにも増して高まっている。新自由主義的グローバリズムに汚染され、自由貿易、規制緩和、緊縮財政、小さい政府の流れから、日本維新の会が主張するような競争至上主義、自己責任論、中身に疑問がある「身を切る改革」が蔓延っている。


筆者の意見:


 ①ルサンチマンの戒め


予算の無駄遣いは管理されるべきだが、不況期には政府の財政出動が必須なので、角を矯めて牛(経済成長)を殺すような干渉は控えなければならない。財政支出の一部が万一不正に横流しされたとしても、貨幣は消えてなくなるのではなく、同額の所得は生れている。


 ➁乗数効果考えた支出先の選定


予算を組む際には、経世済民のための緊急性や有効性を見極めることが大事である。歳出の所得創出効果を見ると、歳出は最低でも同額の所得を産むが、有望な技術投資は歳出の何倍にもなる所得を産みだすことができる。要は、国内の供給力を高める支出が良い。


 ③財政破綻論の噓の帰結


財務事務次官が雑誌で警告する財政破綻論の噓は、緊縮財政を正当化し、国民貧困化、国力凋落、インフラ脆弱化、地方衰退、少子化進展、ルサンチマン蔓延などの悪循環に陥り、良いことは何もない。


④国力凋落の結果


 日本がこのまま衰退を続けると、科学技術力凋落、東アジア軍事バランス崩壊、食糧・エネルギー危機、医療サービス弱体化などが起きて、日本は中国の属国になりかねない。


俳句 題: 彼岸花


人生は輪廻転生彼岸花


青空に生命賛歌曼殊沙華


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日銀の利上げは時期尚早 [詩・俳句・エッセー]

 日銀が319日の金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を決めた。政策金利を引き上げるのは17年ぶりである。同時に長短金利操作と上場投資信託(ETF)買入の撤廃も決めた。ただし、金融緩和基調を変えることはしないと付言した。


筆者の意見:


①利上げは実質賃金の上昇を見てから


 マイナス金利の解除は金融市場の正常化のためにはよいことだが、筆者は少し早すぎると思う。賃上げで実質賃金が上昇し、ある程度中小企業にも波及したことを確認してからでも遅くはないと考える。


➁金融と財政の連携不足


 日銀は2013年以降異次元金融緩和を掲げて頑張ってきたが、財政のほうの協力が得られず独り相撲に終わった感がある。政府と財務省に対し声を大にして協力を要請すべきであった。アベノミクスの失敗は、財政という第二の矢を放たず、逆に早すぎる消費税増税で景気を冷やしたことにあったと思う。


③インフレにもいろいろある


 日銀はコストプッシュ型とデマンドプル型のインフレを分けて認識している。物価の番人としてさすがだと思う。国内需要が高まって物価が2%程度継続的に上昇する日本を早く見せてもらいたい。


俳句 題: 桜餅


祈り込めおいしゅうなれと桜餅


桜餅は菓子の王様葉も食し



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