遺伝子組み変え食品の危険性 [詩・俳句・エッセー]
1.遺伝子組み換え種子の脅威
米国では、1996年から、遺伝子組み変え種子の商業利用が始まり、大豆・綿花・トウモロコシの9割以上が遺伝子組み替え種子に置き換わってしまった。
米バイオ企業・モンサント社(独バイエル社が買収)は、除草剤・「グリホサート」(商品名ラウンドアップ)を開発した。さらに、ラウンドアップだけに耐性を持つ遺伝子組み換え種子を開発し、種子と農薬をセットで販売して大儲けをしている。
他社の農薬を使用すると苗が枯れてしまうので、農家はモンサントの種子と農薬をセットで購入するほかに選択肢を持たない。
年々、雑草が耐性を持ち、ますます強い農薬を使う羽目になり、特許使用料を延々と払わされることになる。そして、悪循環の末農地が荒廃し、農民はタダ同然で農地を手放し、ますます農地の大規模化が進むことになる。
2.遺伝子組み変え食品の薬害
グリホサートの蓄積は、がん、白血病、肝臓病、アレルギー、奇形の発生などの健康リスクがあるとする報告もある。2016年、欧州委員会はラウンドアップの使用延長をしないと決定した。
そんな中で、日本政府だけがアメリカ産輸入大豆のグリホサート残留基準を5倍に引き上げた。ほくそ笑むのは、おいしいところを攫ってゆくグローバル多国籍企業で、新自由主義に基づくグローバリズムの行き着く先である。
3.世界の失敗事例
米国アグリビジネスの巧妙な手法によって、インド、イラク、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、オーストラリアなどの農業がバイオ企業の軍門に下った。自然災害に付け込まれて、「復興支援」の名のもとに遺伝子組み換え作物に転換させられた国もあった。
大規模農場で、最新農機具やドローンなどを使えば、農薬散布などに人間の労働力は要らなくなる。農民は土地を失い経済難民となって、都市のスラムに流れていくことになる。
俳句 題: 啄木鳥(きつつき、てらつつき、けらつつき)
改革の至上主義者やてらつつき
「貨幣とは何か」知らぬ学者らけらつつき
少子高齢化対策と日本復活 [詩・俳句・エッセー]
先日の「マイあさ」ラジオに「経済の長期停滞と少子高齢化」というテーマで、慶大教授・小林慶一郎氏が出演した。長期停滞の原因の一つは少子高齢化で、2065年には65歳以上の高齢者率は40%に達し、2070年には総人口が8700万人に減少するという。現行の異次元少子化対策も効果は乏しく、鍵は移民の受け入れとイノベーションの実行力であるとしている。
筆者コメント:
①長期停滞の理由は少子高齢化ではない。少子高齢化でも立派に経済成長している国はいくつもある。
➁小林教授は政府の諮問会議に参加していて政策提言できる立場にあるにもかかわらず、帰納的な人口推計をなぞるだけなのは情けない。
③移民に頼る論者は経団連の犬である。移民は国民を低賃金におとしめ、格差を拡大し、日本をさらに衰退させる。
筆者の提案:
①貨幣観を是正し、財務省が拘る財政均衡至上主義を克服しよう
➁不況期の積極財政(政府が国債を出してデフレギャップを埋めること)と好況期の緊縮財政(インフレ抑制のため歳出削減、増税)を上手に使い分けて、30年間の長期停滞を脱しよう。少子化などは自然に解決する。
③政府がマクロ経済に責任を持ち、自然災害に強い国、生産性が高い国、技術力が世界一の国を作り次世代に引き渡そう
俳句 題: 花野
花野ゆく浴衣姿の二人連れ
丘埋めるパステルカラーの秋桜よ
財政破綻論者の脱成長論を斬る [詩・俳句・エッセー]
先日の朝日新聞「多事奏論」欄に編集委員・原真人氏が「今こそ小日本主義」の記事を出し、岸田政権は、防衛費や少子化対策に対し無謀なバラマキをやって財政破綻や円暴落リスクを高めていると書いている。
筆者の意見:
①財政破綻論者は完全論破されてずいぶん減ってきているが、原真人氏は貨幣の機能をまるで理解しようとせず、新聞という公器を使って読者を惑わせている。
➁石橋湛山が唱えた小日本主義は、戦前の好戦的な軍部をいさめたもので、国民を豊かにするマクロ経済政策に異を唱えたものではない。
③他国が経済成長している中で、日本だけ世界で唯一30年間も経済停滞を続けることは、国民への裏切りであり政府の不作為である。
④脱成長論は敗北主義者の言説である。国民を豊かにし、格差を是正して自殺者を減らし、財政再建を果たし、安全保障を確保し、国際社会で一定の役割を果たすには経済成長を継続するしかない。
⑤地球環境保全や、アフリカの人口爆発が問題なら、経済成長の成果の一部を対策費に充当すればよい。
俳句 題: 旅
池を抱く合掌造りや月さやか
雪しんしん白川郷の明かり窓
経団連は庶民の敵 [詩・俳句・エッセー]
経団連は庶民の敵
経団連が、9月11日、少子化対策など社会保障財源として、消費税の引き上げが“優良な選択肢”だと提言した。
7月の調査で、実質賃金は前年同月比2.5%減、6か月連続マイナスという発表があったばかりのこの時期にである。
筆者の意見:
①消費税は庶民にとって逆進性があり公正性を損なう税制である。
➁経団連は消費税増税と法人税減税をセットで、ごり押ししており身勝手である。
③企業にとって消費税増税は消費の冷え込みで業績悪化につながるはず。経営者はデフレのほうが楽なのだろうか?
④輸出企業は消費税増税により、輸出還付金を沢山受け取るが、庶民から見て納得できない。
俳句 題: 彼岸花(曼殊沙華)
曼殊沙華命を燃やす二倍速
青空に生命賛歌曼殊沙華
世の中は嘘八百や曼殊沙華
腹中に蔓延る「あやつ」彼岸花
デフレギャップ解消の政府発表はうそ [詩・俳句・エッセー]
政府は19日、今年の国内需要超過が年率1兆円になると試算を発表した。この発表には、需要不足(デフレギャップ)は一応解消したので財政支出の規模を正常化したいという緊縮財政派の意向が働いている。
一方、第一生命経済研究所の長浜氏によると、デフレギャップは過小評価の可能性があり、2%のインフレ目標を達成するにはGDPの4%程度、額にして20兆円程度の財政支出が必要ではないかと発言している。
筆者の意見:
①デフレ脱却に何回も失敗してきた日本の財政政策を考えると、デフレギャップ分はもちろん、それにいくらか上乗せした額を、好況になるまで政府が支出を継続する必要がある。
➁政府の発表には、需給ギャップを小さく見せたいという力が働いている。例えば、潜在GDPの定義を、最大概念の潜在GDP(供給力の天井)から、過去の平均GDPに定義変更をした。これは緊縮財政のためとは言え、正しいマクロ経済政策の妨げになる。
③10年程度の長期にわたって、公共投資や災害対応投資などの政府支出計画を公表し毎年更新することを期待する。財政は大規模、長期、計画的が重要で、民間投資の呼び水になる。
俳句 題: 秋の雲
友と立つ富士見の丘や羊雲
留まらず移りゆくもの秋の雲