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民主化の事例に学ぶ③ インドネシア [平和外交]

 アジアにおける民主化運動の成功事例として、インドネシアの場合を考察してみよう。

1.スハルト政権の崩壊

スハルト大統領は石油資源を活用して経済開発に成功したが、軍の力を背景に不当な権力行使、暴力支配など恐怖政治を行った。

1997年のルピアの大暴落などによる経済危機を契機に始まった民主化運動によって、985月に、32年間にわたる長期政権を維持したスハルト政権は崩壊した。

 

2.インドネシアの民主化

インドネシアでは、憲法改正はすでの4回行われたが、国民主権、法治国家という大原則は織り込まれており、大統領、副大統領の直接選挙制も採用されていて、進歩的な憲法となっている。地方分権を進め、権力が分散したのも大きい。

大統領の任期制の採用、立法権制限、行政権限縮小、文民統制、弾劾手続きなどによって、大統領への権力集中の再発防止は適度に講じられている。課題は多いものの、インドネシアは民主化の成功事例の一つである。

 

3.少数民族独立運動の弾圧

 東ティモール、アチェ、パプア、西パプアで、独立運動が続いている。インドネシア国軍や警察による、活動家への人権侵害が頻発しており、政権は人権侵害に対しする処罰に冷淡である。

 

4.国軍の不当ビジネス

 インドネシア国軍は維持費を賄うためにビジネス主体となっており、権益拡大のため、しばしば権力の乱用を行っている。政権が見て見ぬふりをしているのも問題である。

 

5.インドネシアの民主化に学ぶ

 ① 大統領、副大統領の直接選挙制はわかりやすくてよい。

 ② 地方分権の推進は民主化成功への一里塚。少数民族にも自由を。
 ③ 国軍は国力にあった適正規模に縮小。ビジネスをやらせるのは不可。
 ➃ 国軍の文民統制の徹底。

 

コラム アジアの民主主義国

権威主義政治体制の崩壊から民主制への移行は、アジアでは、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ、スリランカなどに見られる現象である。


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majyo

国軍がビジネスをするのは驚きです。
賄賂が横行しそうですね
文民統制はした方が良いです。
勉強になります。
by majyo (2017-04-28 19:46) 

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