核兵器禁止条約 ②賛否の論点整理 [平和外交]
核兵器禁止条約 ②賛否の論点整理
核兵器を法的に禁止する条約の交渉会議が、およそ115か国が参加して、国連本部で開催され、7月7日までに採択される見込みである。前回、禁止条約の概要、日本の対応について述べた。
今回は、禁止条約に対する賛否の論点整理をし、次回、筆者の提案を述べよう。
1.核兵器禁止条約に反対する日本政府や国民の主張
●核抑止力は必要
核兵器保有国は核戦争の抑止力として手放せない。
日本にとって、核の傘による拡大抑止力は手放せない
隠れて核兵器や生物兵器を保有しようとする、ならず者国家を利する。
●交渉会議の進め方、タイミングの問題
核保有国と核の傘に入る多くの国が交渉会議に参加していない。
この条約では、保有国と非保有国の対立を深めるだけで、核廃絶にはつながらない
核軍縮策としては現実的でない、国際社会が不安定化する
核実験を禁止しても、コンピューターシミュレーションによる実験の検証は困難
国連の力が弱い現在、軍事産業の発言力を抑えるのは至難。
●反対する日本の一部国民(ネトウヨ含む)の主張
核兵器禁止は日本政府ではなく、米ロ中国や北に言え
日本政府批判はナンセンス、反日マスゴミのねつ造
無知なお花畑の芸能人(渡辺謙さん)はよく勉強してから言え
核の傘がなければ、中国が好き放題をする
泥棒を禁止して、泥棒がいなくなるか
北朝鮮にどう対応するのか、現実をわきまえろ
2.核兵器禁止条約に賛成する国や日本国民の主張
●核抑止力は無効
核兵器の破壊力を盾に、国益を守ろうとするのは間違い。
先制不使用の原則があれば、核兵器が戦争に使われることはない。核抑止力は無用になる。
核保有国は先制不使用を宣言すべきだ(意外なことに、中国だけが容認している。)
●核兵器は絶対悪、人道法違反
核兵器は必要悪でなく絶対悪。核では世界を救えない。
核兵器は安全保障の側面より、人類壊滅被害を重視すべきだ。
生物化学兵器、対人地雷、クラスター弾は禁止条約が発効済。核兵器だけに反対は不当。
テロに核兵器がわたるおそれがあり、早急な廃絶が必要。
●賛成する日本国民(被爆者を含む)の主張
被爆者の気持ちを理解できない人が多い。核廃絶国際署名 296万筆。
核を持ちたい、核の傘に縋りたい政治家が多すぎる。
政治家に、北朝鮮の核開発を非難する資格があるか。
交渉会議に参加するなかで、英知を集めた禁止策の構想を待望している。
広島出身の岸田外相は参加派だが、官邸(安倍首相)に屈したようで、残念だ。
コラム 世界の核兵器数 2014年現在9,920
米4,760、ロシア4,300、英225、仏300、中国250、インド110、パキスタン120、イスラエル80、北朝鮮10未満 (1980年代には世界中で最大64,099あった。)
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