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核兵器禁止条約 ①日本政府の対応 [平和外交]


 核兵器を法的に禁止する条約の交渉会議が、およそ115か国が参加して、国連本部で開催され、77日までに採択される見込みである。そこで、禁止条約の概要、日本の対応、賛否の論点整理、筆者の提案について、3回に分けて述べよう。


 

1.核兵器禁止条約の概要



草案は、核兵器は国際人道法に違反するとして、核兵器の製造、保管、実験、使用を禁じている。しかし、核保有国や、核の傘に依存する日本や大半のNATO加盟国は、核軍縮策としては現実的でないとして、反対し、交渉に参加していない。一方、北朝鮮は交渉に参加していて、賛成すると思われる。皮肉な結果である。



2.日本政府の立場と反対する理由



 日本政府は、核兵器の非人道性に対する正しい認識を持ち、「核兵器のない世界」を目指しているが、今回の核兵器禁止条約交渉には、核保有国と核の傘に入っている国の参加がなく、この交渉を進めると、核兵器保有国と非保有国の対立を深めるだけで、核廃絶にはつながらないと考えて、条約に反対することになった。唯一の被爆国である日本が、この禁止条約に参加せず、反対するのは残念だ。


 

コラム 核廃絶に向けた、その他の取り組み



 核廃絶に向けた国連の主な取り組みとして、下記がある。


 1.NPT(核拡散防止条約) すでに核を持つ5つの国連常任理事国を核保有国と認めて、誠実な核軍縮を求めるとともに、およそ190の締約国には、核兵器を持たないよう義務づけた条約。条約に加盟していないインド、パキスタンが核実験をし、脱退した北朝鮮が地下核実験を強行するなど、NPTには大きなほころびがある。

2.CTBT(包括的核実験禁止条約) 宇宙空間、大気圏内、水中、地下での核実験を禁止する条約。アメリカ、インド、パキスタンなどで、批准の見通しが立たず、20年以上発効していない。

3.FMCT(核兵器用分裂性物質生産禁止条約) 核兵器用プルトニウム等の生産禁止を求める条約で、まだ交渉が開始されていない。

4.核兵器廃絶決議案  「核兵器のない世界」の実現を目指して、NPT体制の強化や、核戦力の透明性向上などの共同行動を求める決議案。
2016
12月に日本が、アメリカを含む109か国を代表して、国連に提出した。アメリカを引き入れられたのは日本の手柄である。採決結果は賛成167、反対4(中国、北朝鮮、ロシア、シリア)、棄権16であった。

5.IAEA(国際原子力機関)  原子力の平和利用を促進し、軍事転用や、核テロを防止するための国際機関で、加盟国は167か国。

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majyo

唯一の被爆国である日本が反対し、参加していない事は
とてもショックです。机に置かれた折鶴がとても悲しかったです。
核の傘は要らないと考えています。非現実的でしょうか?
by majyo (2017-06-23 19:45) 

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