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中国民主化運動の経緯 [平和外交]

「中国の民主化への道」について5回にわたって提言してきたが、ここで、中国の民主化運動の経緯を整理しておこう。中国の民主化運動は、下記の通り3回あり、いずれも治安当局によって鎮圧された経緯がある。

1.北京の春

中国の民主化運動は1978年秋に起きた「民主の壁」運動に始まった。北京市西単区の「北京の壁」に掲載された壁新聞で、魏京生が共産党独裁の打倒と政治の民主化を訴えたもので、1968年の「プラハの春」にちなんで「北京の春」と名付けられた。

半年後の1979329日、北京市党委員会は、集会・デモ・壁新聞を禁止した。魏京生は反革命罪で逮捕され、懲役15年の刑に処された。

鄧小平は、翌30日、四つの基本原則の再確認を宣言した。すなわち、「社会主義の道」、「プロレタリア独裁」、「共産党による指導」、「マルクス・レーニン主義と毛沢東思想」の四つである。

魏京生の逮捕と、「四つの基本原則」の宣言により、「民主の壁」(北京の春)運動は終息した。

2.天安門事件

天安門事件は、19892月の胡耀邦元総書記の死をきっかけに、政治改革を求める学生を中心とした抗議運動である。デモは次第にエスカレートし、5月には北京に戒厳令が敷かれた。64日、北京の通りに人民解放軍が軍隊と戦車を出して武力弾圧をおこない、多数の死者が出て民主化運動は終息した。

3.中国ジャスミン革命

民主活動家の劉暁波は、2008年に民主的立憲政治を求める「零八憲章」を発表して拘束されたが、服役中の2010年にノーベル平和賞を受賞した。これをきっかけに、20112月に、劉暁波の釈放と民主化を求めるデモをネットで呼びかけたのに対し、治安当局が武力を持って鎮圧を図り、多数の逮捕者が出た。チュニジアで長期政権を倒したジャスミン革命にちなんで、中国のジャスミン革命と言われている。

 

 中国の民主化運動を成功させるにはどうしたらよいだろうか。次回、アジアにおける民主化運動の成功事例をいくつか取り上げる予定である。

 

コラム 開発独裁は長所より短所の方が何倍も多い

開発独裁とは、後進国の経済開発は独裁政権に任せた方が良いという言説で、中国の共産党独裁の正当性に使われている論理である。長所は強権発動による経済開発のスピードアップであるが、短所は、役人の腐敗、過剰生産・過剰在庫、経済格差拡大などかぞえきれない。農民から土地を廉価で買って、業者に数倍で売り、差額を山分けする共産党幹部の腐敗の構造が典型的である。


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