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「共謀罪」法案を解剖する [平和外交]

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ、テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案が、衆院を通過し、参院で審議中である。ここで、いわゆる「共謀罪」法案を解剖してみよう。

 

1.組織犯罪処罰法改正案の内容

●今回の組織犯罪処罰法改正案は、過去3回廃案となった共謀罪と異なり、テロ組織や麻薬密売組織などの「組織的犯罪集団」に適用対象を限定している。

●具体的な「計画の合意」と「準備行為」を処罰の要件としている。

●犯罪の「実行」を処罰の対象としている現行刑法から数歩踏み出した法案である。

 

2.組織犯罪処罰法改正案の論点整理

論点

賛成意見(与党)

反対意見(野党)

条約(注1)締結に必要か

現行法では条約の義務が果たせない

現行法で締結できる

一般人も処罰の対象になるか

一般の人は告発の対象にならない

組織的犯罪集団の要件があいまいで、一般人も対象になりうる

表現の自由の

制約

プライバシーや表現の自由を制約しない

プライバシーや表現の自由を制約する恐れがある

内心の自由の

侵害

準備行為を要件に加えたので、内心の自由を侵さない

準備行為を認定する際に、内心の自由を侵し、監視社会になる恐れがある。

国連人権理事会特別報告者の書簡への対応

人権理事会を代表していない勝手な報告であり、内容にも誤解がある

報告者の懸念はもっともで、解消すべきだ

 

世論の動向

日本商工会議所会頭が、テロ多発の現状から、法案の早期成立を要望

「国際ペン」(注2)が、法案は日本の表現の自由とプライバシーを侵害すると声明

1 国際組織犯罪防止条約  注2 作家、ジャーナリストの国際団体

 

3.安倍首相の真の狙い

特定秘密保護法や、安全保障関連法を強行採決し、今また、組織犯罪処罰法改正案を強引に通し、憲法改正ももくろんでいる。

安倍首相の真の狙いは、戦後レジームから脱却し、天皇中心の伝統に輝く、美しい日本を取り戻すことではないか。

平和外交による安心供与政策をテンからあきらめて、力による抑止政策にうつつを抜かしている。国民を権力に逆らわない羊に育て、いつか来た道に踏み入ろうと、手を尽くしているのではないか。

 

4.筆者の意見と提案

 筆者も、自由と安全の両立のために、国際組織犯罪防止条約の批准は必要と思う。2003年以来、14年も批准ができなかったのは、政府・法務省の不作為であり、明らかな怠慢である。

国連の英文ガイドラインの解釈に疑義があるなら、組織犯罪処罰法案の改正ありきでなく、法案の要件について、国連担当者にただすなり、表現の自由のために国連を動かすなりの努力をすべきである。

 

コラム 国際組織犯罪防止条約について

2000年国連採択、2003年発効、締約国187国。日本は20035月に国会の承認を得たが、国内法の適応要件に疑義があり、14年間も批准していない。

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コメント 2

majyo

安倍首相の真の狙いはまったくその通りですね
テロ等準備罪は必要ありません
>国際組織犯罪防止条約
14年も批准していないのですか。入ればいいのに
すみません。わからない事多くて<(_ _)>
by majyo (2017-06-09 19:24) 

こうちゃん

森友・加計(もり・かけダブル)の真相は闇(?)、忖度の挙句の果ては共謀罪(?)の強硬採決とは!
20代の60%以上が安倍支持(!)とは、これを危機と思わないことこそ日本の民主主義の危機か!

by こうちゃん (2017-06-17 11:07) 

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