21世紀、日本の針路 ⑫世界連邦政府推進運動 [平和外交]
1.世界連邦運動の経緯
第2次世界大戦の末期に、「将来の世代を戦争の惨禍から救う」ために、国連が創設されたが、数週間後、広島、長崎に原爆が投下された。平和維持機構としての国連に失望して、1946年、国家を超えた権威と権限を有する世界連邦機構を作りたいという世論が起こった。
世界連邦運動は、国連の改革と強化を通して世界連邦を実現し、世界連邦政府の法の下で、平和と人権を守ってゆける世界を構築する運動である。
アインシュタイン、チャーチル、湯川秀樹などの著名人が賛同した。
2.世界連邦運動の活動方針
1947年、スイスのモントルーで開かれた第一回世界大会で、世界連邦政府運動の組織や方針を発表した。いわゆるモントルー宣言の内容を要約すると下記である。
①全世界が対象 ②国家の主権の一部を世界政府に移譲
③世界連邦法は個人を対象に ④各国の軍備を全廃し、世界警察軍を設置
⑤原子力は世界連邦政府のみ所有し管理 ⑥経費は個人からの税金で賄う
世界連邦政府への参加資格は個人単位であり、事実上の「単一世界国家」(ワンワールド)建設である。
3.世界連邦運動の日本の活動
終戦直後に、尾崎行雄ら有志議員が「世界連邦建設に関する決議案」を国会に提出。1948年「世界連邦建設同盟」が結成され、尾崎行雄が初代会長になった。第5代会長に湯川秀樹が就任している。
「世界連邦建設同盟」はのちに、「世界連邦運動協会」に名を変えて活動している。
2005年、衆院本会議での「国際平和の構築への貢献決議」を受けて、外務省総合外交政策局に世界連邦運動の窓口を設置した。
日本国内の関係団体として、世界連邦推進日本協議会、世界連邦日本国会委員会、世界連邦宣言自治体全国協議会、世界連邦日本宗教委員会、世界連邦日本仏教徒協議会、世界連邦文化教育推進協議会などがある。
4.世界連邦日本大会
世界連邦運動の最近の事例として、2018/8/18 第34回世界連邦日本大会が亀岡市で開催された。スローガンは「地球に国境はない」で、千玄室(大宗匠)の記念講演があり、テーマは「世界の人とともに―和の心―」。後援:外務省、文部科学省、京都府
5.世界連邦政府の実現を求めた著名人の言葉(筆者が要約)
アインシュタイン 世界政府を擁護するのは、他に人類の破滅を避ける方法がない。
湯川秀樹 世界連邦は昨日の夢であり、明日の現実である。
バートランド・ラッセル 大戦争を恒久的に阻止する機関は世界連邦政府しかない。
尾崎行雄 世界の廃藩置県なくして、人類の平和はない。
アーノルド・トインビー 世界政府の「平和と正義」が世界を救うであろう。
賀川豊彦 人類の解放は世界連邦国家しかない。争いはやめ、公儀と親切を伝統とせよ。
ネルー(インド) 世界政府は来るであろう。それ以外に、世界の病気を治せない。
稲盛和夫 EUは世界連邦政府のひな型。為政者はその拡大を考えよ。
梅原猛 EUのような組織を世界各地に作り、その上に、世界連邦政府を作ろう。
千玄室 「普遍的な人類愛」こそ、平和な世界の実現につながる。
アグネス・チャン 平和は砂のようなもの。気を抜くと指の間から零れ落ちる。
国連が出来た後に原爆投下ですか
知らなかった・・・・
今の国連は戦勝国で、核保有国
おまけに拒否権がありますから、機能していない事も多い
他の道を考えることも必要ですね
by majyo (2018-08-31 11:49)