日本再生⑨ 安全保障とアジア連合 [平和外交]
前回まで、日本社会・経済のあるべき姿について述べてきた。ここからは、日本の政治・外交の将来像を考えて見よう。戦後74年、対米従属を続け、いわゆる「永続敗戦」状態の日本を、自主独立の国に変えるには、強力な政治・外交力が必要である。
1.アジアの安全保障環境の現状
安倍政権は中国を仮想敵国とみなした抑止政策に熱心である。日米同盟強化一辺倒の外交で、アジアの安全保障の緊張を逆に高めている。
一方、中国は南シナ海に軍事施設を作り、ミサイルを配備するなど、海洋進出を強化している。
中国は、日米同盟を仮想敵と定め、自国を防衛するため、最前線を前に構築したつもりであろう。東アジアは軍拡競争の場になりつつあると言わざるを得ない。
2.地域連合創設による安心供与の外交
安全保障は抑止と安心供与が車の両輪である。人は、向こう三軒両隣と仲良くして、居心地の良い地域環境を作ることが生活の知恵というものである。遠隔地の知人に縋りつかないと安心できないような生活設計は間違っている。
日本は近隣諸国の懐に飛び込んで、地域のことは地域で解決するための、地域連合(共同体)の創設という大きな目標に向かって外交力を結集すべきである。
3.アジア連合の構成国
アジア連合の構成国は、日、中、韓、北朝鮮、東南アジア、南アジア、ロシア、中央アジア、オセアニアとするべきである。ロシアは中国に向き合う際の、緩衝、バランス・オブ・パワーとして役立つと思う。日本は、中ロという二大荒馬を御する気概を持ちたいものだ。
南アジアに含まれるインドは、将来中国に並ぶ大国になり、アジアの牽引役になると期待される。
4.アジア連合が目指すもの
日本は、対米従属から脱却し、アジアに正面から向き合う新機軸の外交を進めたい。その第一歩は、アジア連合の推進である。人権などの価値観で異なる国があっても、取り込んでいくべきで、排除していては何も始まらない。
アジア連合の真の目的と、目指すものは何かを下表で確認してみよう。
目的 |
内容 |
経済成長 |
貿易の自由化を通じて、地域の競争力を向上し、豊かさを実現する。21世紀はアジアの時代である。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結を主導して、アジア連合の基礎を築こう。 |
安全保障 |
隣国同士が敵対視せず、相互に国益を尊重し、戦略的互恵関係を結べば、戦争のない地域が実現できる。平和を担保するため、アジア連合軍を創設して、透明性のある協働の実力組織を作ろう。 |
人権尊重 |
人間は、自己本位で残虐な面を持っている。アジアに人権尊重を根付かせるために、専門の機関を創ろう。チベットやウイグルの人権問題の緩和に役立つ。信教の自由もテーマになる。 |
環境・防災 |
地球温暖化もあって、環境・防災の協働は喫緊の課題である。 |
5.まとめ(筆者コメント)
①地理的に近い国々は紛争の種を多く抱えているだけに、協同して互恵関係を作る意味は大きい。地域連合(共同体)の成否は、過去の「恨み」の誠実な処理と、「未来志向」の取り組み方にかかっている。
②トランプ米大統領の就任は、世界の政治経済システムの変革にとってチャンスである。日本は、心ある国々の指導者と手を組んで、国連改革や地域連合の構築を推進したい。
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