人生の意味とは何か⑫ 宗教者の生き方の諸相 [哲学]
今回は、神谷美恵子氏の著書「生きがいについて」を参考に「宗教者の生き方の諸相」について考えてみよう。
キリスト教は、現世に対して伝道精神を発揮することを重要視する。
だから、社会改革の推進者にもなった半面、多くの宗教戦争を引き起こした。
仏教者は現世に対してもっと消極的であった。
法然上人は厳しい戒律の中に身を置き、聖職者の役割を果たした。
親鸞聖人は俗世間にあって妻帯し、
煩悩の矛盾に苦しみながら独自の宗教的境地を開いた。
一遍上人は何もかも捨てて遍歴の旅を送った「捨聖」であった。
岸本英夫は、宗教は現世の利益を求める「請願態」から、
宗教の中で倫理的社会的理想を追い求める「希求態」へ、さらに、
理想世界を現実世界の中に見だそうとする「諦住態」へと進化すると考えた。
「諦住態」とは、現実世界を理想世界へ変革することは簡単ではないので、
現実世界をどう受け取るか、
すなわち見方を変えることによって乗り切る考え方である。
シノリガモ 撮影:鳥好閑人さん
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