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新冷戦の脅威 ④中国の「TPP加入」のススメ [平和外交]

 新冷戦の脅威を緩和する方策を考えてみよう。結論はアジアを一つにすることだと思う。アジアで輝いている日本を見てみたい。手始めは何か。

 

1.TPPの交渉経過とアメリカの離脱

TPPとは、太平洋を取り巻く国々で、関税撤廃を目指し、自由で開かれた貿易を実現するという協定である。2006年に交渉が始まり、201510月に12か国の間で、大筋合意に達した。日本は、農家への打撃を心配しながらも、2013年にアベノミクスの起爆剤にしようと参加した。

 ところが、トランプ大統領の登場を機に、リーダーたるアメリカが2017年にTPPから離脱した。日本は、関係国に働きかけて、アメリカを除くTPP11の2018年末発効にこぎつけた。

 

2.中国のTPP加入の意義

 もともと、TPPは、隠された狙いとして、中国排除があった。「新冷戦の脅威」を克服する戦略として、逆に、TPPに中国を取り込む手があるのではないか。中国のTPP加入について検討してみよう。

 新冷戦の脅威①で述べたように、中国の覇権的挑戦の姿勢は、どれもこれも問題だらけであると思う。日本は、中国に問題点を指摘して改善を促し、TPPの加入資格が得られるレベルになってもらう必要がある。狭い了見で、品性に欠ける中国崩壊待望論は引っ込め、虎穴に入って大きな虎児(中国)を調教するくらいの気概を持ちたい。

 中国のTPP加入の意義は、新冷戦の脅威の軽減であり、アジア経済圏の発展であり、日本の国益と生存領域の拡大である。

 

3.インド太平洋戦略の新しい枠組み

 今、日米で、以前からあったアジア太平洋にインドをプラスした、インド太平洋という概念が提起されている。「自由で開かれたインド太平洋」戦略によって、台頭する中国を抑え込もうとしているようだ。

自由で開かれたという枕詞は、自由と民主主義の価値を重んじる国々がまとまって、共産主義や独裁国家を排除する意図である。しかし、価値観外交や、排除の論理からは何も生まれない。

 インド太平洋構想に中国を取り込んで、インド洋からアラビア海、湾岸、アフリカに至る経済圏を構築したい。この際、枠組みからアメリカを排除するのではない。アドバイザーとして重要な役割をはたしてもらおう。

 

4.中国の「一帯一路構想」との統合

中国の「一帯一路構想」は、ユーラシア大陸の東と西を結ぶ「陸と海のシルクロード」と呼ばれる地域に、交通インフラ整備(高速鉄道の建設)などの大規模な投資を実施することによって、地域経済全体の底上げを図るというダイナミックな構想である。

日本は、2017年に「一帯一路」に関心ありと表明し、参加の準備をしている。そこで、前項で述べたインド太平洋構想と一帯一路構想を統合し、より強力でパフフォーマンスの高い経済圏を構築したらいかがでしょうか。中国と未来の大国インドを、日本が取り持つ形になる。

統合によって、新冷戦の脅威は軽減し、世界の恒久平和に向かって、一歩、近づくことができると確信する。

 

5. まとめ(筆者コメント)

 

①中国はTPP加入の過程で、自国の非関税障壁を改善し、節度ある大国に産まれ代われると思う。

 

②新冷戦の勃発で、中国は日本に秋波を送っている。今がアジアを一つにするチャンスである。

 

③間違っても、米日対中露が敵対する、一触即発の大冷戦の構図を作ってはいけない。地球が壊れる。

 

④「中国はすぐに崩壊する」、「日本は属国にされてしまう」、「政治体制が異なる国同士は交われない」、などの小児病的な俗論がはびこっているが、全くナンセンスである。

 

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majyo

とても難しいのですが、筆者コメントを読むと
はい、その通り!と拍手です。
by majyo (2018-11-11 18:47) 

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