日本再生⑮ 表現の自由① [平和外交]
前回、人種平等と人権尊重について検討した。今回は、民主主義、個人主義、自由主義を支え、社会の安全弁となるべき「表現の自由」について考えてみよう。
1.「表現の自由」の構造
日本国憲法には、基本的人権(第11条)と、表現の自由(第21条)が規定されている。これは、日本人が、戦争に負けて、苦難の中から、ようやく手にした貴重な権利である。
表現の自由は、大変広い概念で、報道の自由、情報公開請求権、言論出版、集会結社の自由などを含んでいる。
日本人一人ひとりにとって重要な「国民の知る権利」は、表現の自由に由来し、報道の自由などによって充足されると思う。権力は必ず腐敗するので、監視が必要である。
2.「表現の自由」にも限度がある。
「表現の自由」の行使は、それが、公共の福祉に反し、他者の自由を奪う場合のみ制限することができる。法的には、「実質的害悪」が生じ、明白かつ差し迫った危険がある場合のみ「表現の自由」を制限できると思う。
3.「表現の不自由展・その後」に見る、「表現の自由」の論点(NHKクロゲンを参考にした)
①展示物に政治的メッセージ性(主義・主張)はあるか
反対 |
・反日だ、心が踏みにじられた ・行政は政治的お墨付を与えるな ・市の後援は、主義・主張への賛同ととられる |
賛成 |
・少女像は平和の象徴であって、慰安婦像ではない(作家)。 ・展示物は一つのメッセージではない。不快な人も、見たい人もいる |
②行政が公金(今回は10億円)を使って、主催、共催してよいか
反対 |
・公金は使うべきではない ・行政は政治的中立を守るべき
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賛成 |
・行政には表現の自由の受け皿としての機能がある。放棄してはだめ ・政治的お墨付を与えていない |
③電凸の可否(3日目には1.4万件もの抗議があった。抗議のネット投稿も多数)
容認 |
・売国行為に抗議するのは当然 ・行政や協賛企業に反省を求める
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反対 |
・「脅迫で中止」の前例を作った ・善意の協賛企業にも抗議が殺到 ・言葉のつぶては人を傷つける |
4.まとめ(筆者コメント)
①自分の「表現の自由」は他者のそれと一体。他者のそれを削るのはダメ。戦前のあの「闇の思想統制」に戻るのは困る。
②慰安婦問題でも、真実はゼロから100の間にある。ネトウヨはゼロ(潔白)を信じたいのであろうが、それはムリ。「駄々っ子」はやめよう。
③行政は、表現者を守るのが仕事。公共の福祉を害さない限り、市民の多様性と寛容性を引き出すよう図るのが、民主主義国家の行政の在り方ではないか。
④筆者は、新聞や放送の代金は、権力の監視料、委託料と考えている。御用新聞を買うつもりはない。
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