脱グローバリズム① 売国と廃国を許すな [脱グローバリズム]
1.グローバリズムの構造
経済のグローバル化は、「モノ」「サービス」「ヒト」「カネ」が国境を越えて自由に移動する自由貿易を指向する。政府による産業保護、経済活動の規制が非効率の源泉であるとして、構造改革、規制緩和を推進し、「小さい政府」が最良と称している。
規制緩和は産業保護をはぎ取って、過当競争を生み、国内産業を疲弊させ、勝者と敗者の経済格差を拡大させる。最後の勝者は国際金融資本だけという事態を招く。現に、アメリカなどの帝国主義国家が、軍産複合体や多国籍企業を操って、世界の富を吸い上げる戦略を実行している。売国の由縁である。
「小さい政府」は緊縮財政と親和性が高く、緊縮財政はデフレを招き、所得の中間層を減少させ、貧困層の大量発生につながっている。経済の均衡を目指すべき政府が、財政の均衡にとらわれて、デフレ期に必要な財政支出を渋り、政府の店じまいをして、廃国に向かっている。
グローバリズムのトリニティ(三位一体)と言われる構造をまとめると図のようになる。
三要素 |
各要素がもたらすもの |
自由貿易 |
人、もの、カネ、サービスの自由化。新自由主義の無反省の信仰 |
規制緩和 |
構造改革、産業保護廃止、市場開放、TPP・FTA締結、競争激化、売国 |
緊縮財政(注) |
小さい政府、政府の店じまい(廃国)、格差拡大、国民の貧困化 |
(注)特に、デフレ時の緊縮財政政策は、経済が長期低迷し最悪の結果になる
2.グローバリズムの長短
下記の通り、グローバリズムにはメリットがあるが、それ以上にデメリットが容認できないほど大きくなっている。
メリット |
自由貿易、国際分業による生産コスト低下、生産性の向上、 技術や文化の発展 |
デメリット |
産業の空洞化、企業の海外移転、 雇用の喪失(日本は生産年齢人口減で、幸い人手不足)、 所得格差拡大、国民の分断、文化の衝突(地方衰退、伝統の消滅) |
3.日本の新自由主義と構造改革の経緯
新自由主義は、競争志向の市場原理主義に基づいた、グローバルな資本主義経済体制で、小さな政府を指向する。米のレーガン大統領が採用したレーガノミックスが始まりで、日本では中曽根康弘、小泉純一郎が追随した。
小泉純一郎元首相が「構造改革」の名のもとに、「小さな政府」、「官から民へ」、「中央から地方へ」などのキャッチフレーズを唱え、既得権の排除や規制緩和により、道路公団や郵政の民営化を断行し、経済再生を目指したが、結果は惨憺たるものになっている。
「構造改革」の弊害として、国民生活の格差拡大、行き過ぎた市場・競争原理による拝金主義の台頭、社会保障での弱者切り捨てなどが起きた。今、「構造改革」への批判が高まり、見直しの動きが出ている。
4.まとめ(筆者の意見)
①グローバル化がピークを過ぎて、欧米ではポスト・グローバル化の動きが顕著になっているが、日本は逆行している。愚かなことだ。
②アベノミクスも、結局は、国民はそっちのけで、新自由主義の罠にはめられて、米国金融資本の支配に屈している。
コラム グローバル化歴史
1914年をピークとする第一次グローバル化の後、現在は、1980年代に始まった第二次グローバル化が2008年のリーマンショックをピークに転換期を迎えている。(図参照)
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