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脱グローバリズム⑤ 水道民営化に反対しよう [脱グローバリズム]

 前回まで、脱・グローバリズムの動きとその対応策について考えてみた。総論を終えて、個別の施策を取り上げてみよう。堤未果著「日本が売られる」を参考にした。

 

1.世界的な水道民営化の経緯

 水道民営化は、1980年代、「新自由主義の父」と呼ばれたシカゴ大学のミルトン・フリードマン教授から始まった。教授の愛弟子であったサッチャー元首相がイギリスに水道民営化を導入した。

 1990年代には、世界銀行やIMF(国際通貨基金)などの国際金融機関が、水道民営化を債務国への融資条件にしたことから、先進国と途上国の両方に拡大し、本格化していった。

2005年頃をピークに減少に転じたが、かなしいかな、周回遅れで追随したのが日本である。

 

2.水道民営化のスローガン

「民間企業のノウハウを活かし、効率の良い運営と安価な水道料金」という、聞こえの良いスローガンが掲げられた。

 

3.水道民営化の問題点

 ①民間企業の競争による効率向上と言っても、それは入札時のみ。あとは一地域一社独占の運営で、巨額な経営者報酬や株主配当のための利益優先の経営が続く。

 ②公営から企業運営になった途端に、水は「値札の付いた商品」になり、料金の値上げが始まった。代表的な事例として、イギリスは25年間で水道料金が3倍になった。

 

4.水道民営化の失敗事例

 ①水道料金高騰や、サービス・水質低下などの理由で、2000年以降、世界37か国235都市が、一度民営化した水道事業を再公営化に戻した。

 ②再公営化の際、莫大な違約金を請求され、納税者につけが回された。

 

5.周回遅れの日本の水道民営化

 日本は、周回遅れで欧米に追随し、下表のように水道民営化を推進した。国際金融資本の恫喝に屈したとはいえ、誠に拙劣な選択をしてしまった。いま、見直しを迫られている。

 

推進人(戦犯)

水道民営化の内容

竹中平蔵

経産大臣

(当時)

小泉政権で最初に民営化を唱えた立役者で、公共インフラの運営権を民間企業に売却(コンセッション方式)。

自治体には施設所有権を残し、老朽化や災害時の復旧を義務付け。

麻生太郎

副総理

2013年、米シンクタンクの会合で、水道の民営化・バーゲンセールを約束する演説を行った

橋下徹

大阪市長

(当時)

2014年、橋本大阪市長(当時)は、水道事業の運営権を民間企業に売却する方針を発表。市議会議員の反対にあい、地方議会の承認権を剥奪した。

浜松市長

(当時)

2017年、日本で初めて下水道運営権を仏ヴェオリア社に売却(20年契約)。熊本県合志市、栃木県小山市が続く。

安倍晋三

首相

2018年、2日の審議を経て「水道法改正案」衆院で強行採決。条文を「公正妥当な料金」から「健全経営のための公正な料金」に変更したが、マスコミも国民も気づかず。30兆円の価値を持つ日本の水道資産が外資に売られた。

 

6.まとめ(筆者の意見)

 

①日本のような災害大国では、国民の命にかかわる水道事業の民営化はやってはいけない。



②グローバリズムの対極は国民国家主義である。ゆるやかな規制(保護)と連帯による、横のナショナリズムが機能する国民国家が、平和で住み良い国家である思う。


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