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核兵器禁止条約 ③筆者の提案 [世界平和]

 

 核兵器を法的に禁止する条約の交渉会議が、およそ115か国が参加して、国連本部で開催され、77日までに採択される見込みである。前2回で、禁止条約の概要、日本の対応、賛否の論点整理について述べた。今回は、筆者の提案を述べよう。

 

1.核の傘の上に、新しく大きい傘を作ろう

 国連に、「核安全保障機構」(仮称)を創設し、核保有国を機構に取り込んで、核の一元管理を図る提案である。核の傘の上に、大きな核の傘を被せることで、地球規模の核抑止、戦争抑止の体制ができると思う。国連が、核兵器による安全保障の推進者、管理人、執行者となって、核保有国の核兵器の査察、監視を実行することになる。

 現在、国連の力は弱いがもっと強化できるはずである。この大きな核の傘が機能するようになれば、核兵器の全面的な廃絶が視野に入ってくると思う。

 危険な魔物を退治するには、斬新なアイデアが必要で、これこそ、21世紀の核廃絶戦略である。


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2.核安全保障機構への移行措置

 日本が、アメリカを説得して、まず、土俵を作ってほしい。ロシアが一番の難敵であるが、クリミア半島の帰属を一定期間認める条件で折り合えると思われる。中国を含むその他の核保有国の説得はそれほど難しくはない。国連の制裁を上手に使うべきである。

 

3.提案理由

核保有国の核兵器保有の理屈は、核抑止、テロの脅威、大国の権威の象徴、軍事産業などの既得権益層の保護、近視眼的なナショナリズムの満足の5つである。

テロの脅威については、通常兵器で十分対応できる。ISのようなテロ国家が万一保有した場合、報復攻撃の目標が定かでないため、どちらにしても核兵器は使用できない。

核抑止以外の理屈は、核の害悪の大きさを考えれば、克服は容易である。

要するに、核兵器は、21世紀の現在、人道上使えない兵器である。金食い虫の核兵器を後生大事に保有している理由はもはやなくなっている。

 

コラム 国連安全保障理事会決議1887

 2009年にオバマ大統領が主導してまとめた、「核兵器のない世界」構想で、決議は全会一致で採決された。内容は、核不拡散体制の強化、核実験禁止条約の早期発効、核分裂性物質生産禁止条約の交渉促進、非核地帯構想の推進などであるが、核廃絶には程遠い決議である。

 非核地帯としては、ニュージーランド、オーストリア、フィンランドなどが名乗りを上げている。日本は非核三原則があるが、疑わしく、アメリカの核に依存している。

 

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国民の知る権利① 表現の自由の構造 [政治・社会]

 安倍政権下で、「国民の知る権利」が蔑ろにされている現状は、看過できないところまで来ていて、現に安倍内閣の支持率は30%台に落ち込んでいる。

国民の知る権利の現状とあるべき姿について、新聞の役割や、情報公開などを題材に、数回に分けて考えてみよう。(下図参照)

 

1.「表現の自由」の構造

日本国憲法には、基本的人権(第11条)と、表現の自由(第21条)が規定されている。これは、日本人が、戦争に負けて、苦難の中から、ようやく手にした貴重な権利である。

 表現の自由は、大変広い概念で、報道の自由、情報公開請求権、言論出版、集会結社の自由などを含んでいる。

日本人一人ひとりにとって重要な「国民の知る権利」は、表現の自由に由来し、報道の自由などによって充足されると思う。権力は必ず腐敗するので、監視が必要である。筆者は、新聞や放送の代金は、権力の監視料、委託料と考えている。御用新聞を買うつもりはない。

 

2、国家権力と国民の権利の相克

 国家は、立法府、司法府、行政府からなり、国民の権利・義務と利害衝突を起こすことがある。特に、行政権との衝突は時々みられる現象である。

外交や安全保障に関しては、国家の統治行為として国民の利益に優先しても、やむを得ない場合がある。一方、検閲行為はいかなる場合も禁止されているが、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が施行された現在、一抹の不安がある。

全体的にみて、国民と国家の利害が衝突した場合、最大限、国民の権利が尊重されなければならない。国民は自信をもって権利の主張をすべきである。

 

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国民の知る権利② 御用新聞・読売 [政治・社会]

 安倍政権下で、「国民の知る権利」が蔑ろにされている現状は、看過できないところまで来ていて、現に安倍内閣の支持率は30%台に落ち込んでいる。

国民の知る権利の現状とあるべき姿について、新聞の役割や、情報公開などを題材に、数回に分けて考えてみよう。

 

1.読売新聞は、前川個人攻撃に加担(526日)

 

紙名

記事の概要

報道姿勢の問題

読売新聞

 

社会面

 3段抜    

前川・前文部科学次官の発言:

“加計学園の獣医学部新設をめぐり、「総理の意向」が書かれた文書は本物”と明言。

官邸: “政府見解を否定する異例の発言で、「なぜ在職中に言わなかったか」”

官邸に不都合な、「総理の意向」文書の隠蔽工作に加担し、国民の知る権利を奪った。

読売新聞は、官邸の広報誌に成り下がっている。

読売新聞

 社会面

 3段抜

 

上記記事と同頁    

前川・前文部科学次官の「新宿歌舞伎町の出会い系バー通い」の記事: “行ったのは事実と発言。(額の汗を拭く写真掲載)”

店関係者の証言:“2年前から頻繁に通い、値段の交渉をして店外に連れ出したこともあった。”

後に、公明正大な実地調査と判明。

官邸から材料を提供されて、個人攻撃に加担した。

額の汗を拭く写真を掲載して印象操作を図った。(悪質)

ろくに取材もせず、官邸のちょうちん持ちをした。

 

2.読売新聞は、下村元文部科学相の闇献金隠蔽に加担(630日)

 

紙名

記事の概要

報道姿勢の問題

読売新聞

 

社会面

 4段抜    

629日発売の週刊文春の特ダネ記事に反論する下村氏の記者会見:  下村氏「加計から200万円」否定、闇献金報道「告発も検討」

 

取材もせずに記者会見の内容を垂れ流しただけ。

下村元文部科学相の擁護に夢中で、国民の知る権利を奪った。

朝日新聞

 

 社会面

 8段抜

 

    

629日発売の週刊文春の特ダネ記事に反論する記者会見の記事: 加計側持参200万円を認めたが、 提供者とされる11名の詳細は明かさなかった。

(一人20万円以下の寄付は収支報告書に記載しなくてよいが、11名が不確かなら、政治資金規正法違反になる。)

朝日新聞は、上記社会面のほか、14段抜き、総合28段抜き、総合36段抜きの記事を掲載した。

朝日新聞は、多面的な取材により、国民の知る権利を満たし、権力者の腐敗や不正を監視する機能を十分に果たしている。

政治家や右翼から毛嫌いされるのは当然で、逆に名誉なことである。

読売に比べると、朝日の当日の紙面量は5倍になっている。

 

3.まとめ(報道機関と政権の在り方) 

  1. 読売新聞は、官邸からの情報提供で、個人攻撃に加担し、官邸の広報誌に成り下がった。

  2. 読売新聞は、官邸や当事者の隠蔽工作に加担し、国民の知る権利を奪った。

  3. 朝日新聞は、政治家や右翼に嫌われているが、国民からの権力監視の委託に応えている。

  4. 官邸は、情報開示を怠り、真実を隠した。(よらしむべし、知らしむべからず)

  5. 安倍首相は、岩盤規制を壊したと誇らしげに言うが、問題はそこではない。お友達優遇だ。


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国民の知る権利③ 情報公開と説明責任 [政治・社会]

 安倍政権下で、「国民の知る権利」が蔑ろにされている現状は、看過できないところまで来ていて、現に安倍内閣の支持率は30%前後に落ち込んでいる。

国民の知る権利の現状とあるべき姿について、新聞の役割や、情報公開などを題材に、数回に分けて考えてみよう。

 

1.PKOの日報をめぐる経緯(20167月から20177月まで)

 南スーダンのPKOで、「戦闘」と記された日報の開示請求に対し、下記の通り、情報公開と説明責任において、防衛省と稲田大臣の対応に齟齬があった。

日報関連の事実

防衛省と稲田大臣の対応

/12

南スーダンのジュバで、

「戦闘」と日報に記載

 

省内で、日報は1~23日で廃棄可能な文書とされている

9/30

フリージャーナリストが、

上記日報の開示を請求

12/2

 

12/16

日報は廃棄済みとして、防衛省が不開示を決定(大問題

稲田氏、日報の再調査を指示

12/26

統合幕僚監部に、日報の電子データがあることが判明

/27

 

/7

稲田氏に統合幕僚監部での、日報発見を報告

統幕発見の日報を公表

1/

陸自でも日報の電子データを確認(陸自のリークか)

 

(これから後は、稲田氏の虚偽答弁の問題)

2/15

陸自のデータの対応を、幹部会で公文書ではないとして、非公表を決めた。

3/16

稲田氏は、陸自のデータがあったことについて、報告を受けていないと答弁 (虚偽答弁?

3/17

陸自の情報管理に批判あり、稲田氏が特別防衛監察を指示

7/19

指示した稲田氏も監察を受け、「日報があったという報告は受けていない」と繰り返し答弁。

 

2.防衛省の情報公開と説明責任の問題 

防衛省の過去の情報隠ぺい問題は枚挙にいとまがない。安全保障や外交に深くかかわる防衛省では、情報公開について難しい問題があることは認めるが、障害を乗り越えないと国民の信頼は得られない。

防衛省は、いま、①隠蔽体質にどっぷり浸かっており、②シビリアンコントロールが欠如し、求心力が喪失していて、危機的状況である。

防衛省のホームページには、日本の防衛最前線の活動状況が掲載されていて、頼もしく感じているが、 統合幕僚監部の報道発表資料を見ると、南スーダンPKOについては、要員交代や、車両事故などの限られた報告のみで、進んで情報開示する積極性が見られないように思われる。

国民の安全に直結する活動ゆえに、その内容や結果について、利害関係者(国民)に真摯に報告する説明責任がある。

 

3.提案 :防衛省の情報公開と説明責任の在り方

 ①南スーダンのPKOなど、国民の反対の多い活動こそ、丁寧な報道が必要。日報を一か月ごとに月報にまとめて報告するなどの配慮を期待。(すでに撤収したので、次回に期待)

 ②他の自衛隊の活動についても、原則公開として透明性を確保し、国民に考える材料を提供。

 ③シビリアンコントロールが正常に機能するよう、大臣、背広組、制服組の情報伝達を万全に。

 

4.追伸 : 726日から27日にかけて、岡部陸幕長、黒江事務次官、稲田防衛相が相次いで辞任を表明した。28日に特別防衛監察の結果発表があり、情報公開法5条の情報開示違反が指摘された。情報公開と説明責任の重要性が改めて確認された辞任劇であった。


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