脱グローバリズム⑧ ミツバチの大量死 [脱グローバリズム]
1.害虫駆除薬・ネオニコチノイド
ネオニコチノイドは、害虫駆除を目的にしたいくつかの商品の総称で、「害虫だけに毒になり、人間には安全」な「夢の農薬」と謳われて市場に登場した。
その効き目は抜群で、水によく溶け、土に染み込み、一度撒くと長期間土壌に残留し、虫の神経に作用する毒性を発揮し続ける。
2.ミツバチの大量死
農作物の7割はミツバチが授粉していると言われており、農業にとって大事な役者であるが、世界の各地でハチが姿を消していると報告されている。
ニコチンに似た神経毒を持つネオニコチノイドが、虫の神経を狂わせ、方向感覚を失って巣に戻れなくなるらしい。
巨大な農薬メーカーが、毎年何千万ドルもの札束で、政治家やマスコミを操っているようだ。
3.「夢の農薬」に対する世界の動き
2008年にEUは、害虫駆除薬・ネオニコチノイドを認可したが、メーカーである「バイエル社」の資料を鵜呑みにしたようだ。
2013年に「子供の脳や神経への毒性がある」との科学的見解が出されたため、一部禁止とし、のち2018年に全面禁止にした。スイス、韓国、オランダなどもこれに続いた。
実は、もっと素早く対応した国がフランス、ドイツ、イタリアであった。2008年頃、養蜂家たちの働きかけもあって、使用、販売を禁止した結果、ミツバチの大量死がぱったりと止まったという。
4.「夢の農薬」に対する日本の問題
日本は、害虫駆除薬・ネオニコチノイドを、田んぼや野菜、果物の畑に大量に使っている。面積当たりの使用量で言うと、中国、韓国に続く第3位の農薬使用大国である。
農薬使用量の多い韓国と日本は、「自閉症+発達障害」の罹患率が、他国に比べて倍近く高いというデータが報告されている。(中国のデータは不明)
2013年には群馬県で、ネオニコチノイドの空中散布後に、大勢の子供が体調不良で病院に運ばれる事件があった。
5.「夢の農薬」に対する日本の対応
2010年、日本農業新聞が、全国でミツバチの死骸からネオニコチノイド農薬が検出されたと、記事に書いたが、日本政府は、「ミツバチ大量死の原因はストレス」と結論を出した。
2013年、日本政府はほうれん草、白菜、カブなど40種類の食品について、ネオニコチノイド系農薬「クロチアニジジン」の残留農薬基準値を最大2000倍に引き上げた。2015年から2017年にかけても、登録追加や残留基準緩和をしていて、規制緩和を見直す動きはない。
6.ネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準値
厚労省は、農薬の残留農薬基準を公表している。ネオニコチノイド系農薬のうち、クロアチニジンの残留農薬基準は下表(代表作物の例)。
作物 |
PPM |
作物 |
PPM |
作物 |
PPM |
作物 |
PPM |
作物 |
PPM |
みかん |
1 |
りんご |
1 |
いちご |
0.7 |
ぶどう |
5 |
トマト |
3 |
玄米 |
1 |
小麦 |
0.02 |
大豆 |
0.1 |
白菜 |
2 |
茶 |
501 |
7.まとめ(筆者の意見)
①情報化のご時世だから、ミツバチが消えたら、ロボットミツバチで代用という声がある。それでよいのだろうか。
②カメムシが稲穂を吸うことで、コメに「黒い点」が付き、「斑点米」として等級が下がる。これを防ぐために、農家はネオニコチノイド系農薬を何度も使って、残留農薬の高いコメを生産しているのが実情である。斑点米の混入率をある程度許容するなど、消費者の「常識の見直し」が必要と思う。
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