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野党再編⑨ 外交で恒久平和を実現しよう [政治・社会]

 小池東京都知事は、日本ファーストの会をリセットして、「希望の党」を立ち上げ、自ら党首になった。民進党の前原党首と談合して「事実上の合流」を決めたが、その後、「全員を受け入れることはさらさらない」、「排除」すると言い放った。

これに反発したリベラル系の民進党員が、枝野幸男氏を党首に「立憲民主党」を立党した。これにより、政界は、自民+公明、希望の党+維新の党、立憲民主党+共産党+社民党の3極に分かれて闘うことになった。

 

1.「希望の党」は、野望の党

 「希望の党」の「政策協定書」には、寛容な改革保守、安全保障法制による現実的政策、憲法改正支持などの項目が並ぶ。共産党の志位委員長が言うように、安倍自民党のまったくの補完勢力であることが判明した。8月の当ブログ(野党再編③)で、小池新党待望論を述べたが、見込み違いをお詫びする。

ブロガーのmajyoさんが、「小池党首は自分の野望のために政治をしている。希望の党ではなく、野望の党」と述べているが、全くその通り。国民の方は見ておらず、国民は導き、利用すべき対象とみている。

 

2.憲法九条は風前のともし火

 憲法改定に対する各党の公約や発言は下表のとおりである。改憲に熱心な政党は自民、維新、希望の3党である。希望の党が一定の議席を確保すれば、3党合わせて、衆参で憲法改正の発議に必要な2/3を確保し、憲法改正の機運が加速してくるであろう。何とかして、2/3を阻止したいものだ。

 

政党

憲法改定に対する公約や発言

自民党

自衛隊明記、教育無償化、緊急事態条項、参院合区解消

公明党

国民主権、人権尊重、平和主義を堅持 必要なら加憲

共産党

安倍政権による憲法9条の改定に反対

日本維新の会

9条改正、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所設置

希望の党

憲法論議は避けない 「憲法観」で民進党員の公認を選別

立憲民主党

安倍首相の自衛隊加憲論に反対

 

3.立憲民主党を中核に、憲法九条を守ろう

 立憲民主党の結党で、リベラルの人たちの投票先ができ、憲法九条を守る拠点が残って、ひとまずよかったと思う。

日本の平和憲法は、制定経緯はどうあれ、世界初の理想の憲法として、戦争の悲惨さをいやというほど経験した日本人に受け入れられてきた。北極星のように高いところに輝く「究極の理想」の憲法とされてきた。世界に広めていきたいものだ。

 

4.21世紀の日本の外交戦略

安全保障環境が厳しさを増しているとはいえ、悪化には原因がある。現状を安易に追認し、改憲をして軍事力を強化するより、悪化の原因を取り除くため、粘り強く、抑止より安心供与の外交を期待している。

21世紀の日本の針路は、平和大国・国際協調主義のブランドを確立し、日米同盟一辺倒の外交から、アジアの一員として、周辺国と協調する外交に転換することである。道は開ける。

 

コラム 「希望の党」の入党審査手続きの不備

 「希望の党」設立にあたって、小池党首は、民進党員に排除の論理を適用したが、これはやり方が拙劣であった。日本ファーストの会をリセットした以上、日本ファーストの現会員も、民進党からの入党希望者も含めて、入党審査の対象とすれば、これほどの反発やしこりは残さなかったと思う。

 

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国難突破① 北朝鮮の核脅威への対応 [政治・社会]

 安倍首相は、緊迫化する北朝鮮の核脅威への自身の対応に対し、「国難突破」と称し、国民の信任を得ると称して解散にうって出た。北朝鮮外交が急迫するこの時期に、1年以上も任期を残して解散する大義があるのか、混乱する野党の足元をすくうための陰謀ではないのか、疑問視する声が多い。

「国難」はナチスも使った手だ。北朝鮮の脅威を煽って、憲法九条改正の民意を作ろうとしているようにも見える。

 

1.安倍首相の北朝鮮外交の評価と注文

 安倍首相は国連演説で、北朝鮮への制裁を一段と強化するよう懸命に訴えた。対話は意味がないと声高の唱え、トランプ大統領と組んで、北朝鮮への圧力を強化している。挑発合戦がエスカレートして、いまにも戦争が始まるのではないかと恐れる人もいる。

 ミサイルが日本の上空を通過した際は、大気圏外にもかかわらず、Jアラートがならされて、住民に避難指示が発令された。いささか大げさな対応に対し、非難の声も聞こえてきた。

 安倍首相の外交は、一貫して対米従属であり、アメリカの軍事力に頼って、力と圧力と制裁のオンパレードである。

安倍首相には、トランプ大統領をけしかけるだけでなく、戦略的な平和外交に向かって条件づくりをやってもらいたい。喫緊の課題は、中国、韓国、ロシアなどとの信頼醸成措置である。それが、日本独自の北朝鮮外交のてこになる。地球を俯瞰する外交は立派だが、東アジアで、まともな外交をさせてもらうために、安倍首相には次のような対応をお願いしたい。

    歴史修正主義的な言動を自制(戦争の加害責任の取り方でドイツに学ぶ

  ②中国を仮想敵とする、日米同盟一辺倒の転換

 ③アジアと共に歩む日本の旗幟を鮮明にすること、など

 

2.北朝鮮とどう向き合うか

 最近北朝鮮は、核とミサイルの実験を繰り返していて、ますます危険な国になった。やけになって、戦争を仕掛けてくるのではないかと危惧される。

 北朝鮮の金正恩政権がいま一番欲しいのは、自身の身の安全と、国の体制の維持に対するアメリカの保証である。すなわち、平和条約あるいわ、不可侵条約の締結である。

 アメリカがやるべきことは、北朝鮮に条件を付けないで、会談をセットすることである。これは、独裁体制や人権侵害を容認することではなく、話し合いの中から時間をかけて氷を溶かすことである。核廃棄を迫って圧力をかけるだけでは、事態を悪化させるだけである。

70年前、多くの日本人が一夜で軍国主義の衣を民主主義の衣に着替えたように、北朝鮮の多くの善良な国民もそれを待っているに違いない。安倍政権は心を込めて、アメリカに進言すべきである。

 

3.まとめ 北朝鮮に向けた戦略的平和外交

 北朝鮮が6回目の核実験を強行した。近隣諸国にとって、ならず者国家に凶悪な兵器を持たせるのは大変心配である。一方、金正恩政権の立場に立ってみれば、核を保有することで、その核抑止力に縋って、政権の延命を図っているわけである。核を「核保有国」で独占するのは不条理と考えているようだ。

筆者は、戦略的平和外交の立場から、下記の北朝鮮政策を提案する。安倍首相に対応をお願いしたい。

①  圧力一本やりの政策を転換すること。「北風より太陽」はいつでも真理である。

② 北朝鮮とアメリカの、条件なしの会談をお膳立てすること。
北朝鮮の核開発政策の変更は会談の前提ではなく、会談の成果として期待すべきである。

③ 6ヶ国協議を再開し、北東アジアの平和構築を進めること。圧力とともに対話の力も信じよう。

④ 政権選択は北朝鮮国民に任せること。北朝鮮を国際場裏に引き出せば、国民は遠からず、目覚めるはずである。イラクをはじめ、アメリカの力による内政干渉で成功した事例はほとんどない。

 

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国難突破② 少子化にどう対応するか [政治・社会]

 安倍首相は、北朝鮮の核脅威と並んで、少子高齢化を国難と位置付け、全世代型社会保障を掲げて総選挙に突入した。消費税10%増税による増収の一部を子育て支援に充てるという。

子育て世代へ予算を増やすことについては、多様な国民の希望をくみ取って国会で議論するのが筋で、解散の理由にするのは筋違いである。本稿では、少子化にどう対応するか考えてみよう。

 

1.少子化の現状

2016年の出生数は97.7万人で、1918年以降初めて100万人割りこんだ。1949年の270万人に比べるとすごい減少である。

合計特殊出生率(一人の女性が一生に産む子供の平均数)を見ると、2016年は1.44で、2005年の1.26を底に改善したが、人口維持レベルの2.07には遠く及ばない。

 

2.少子化の原因

少子化の直接的な原因は、下表のとおり、晩婚化の進行、生涯未婚率の増加、婚姻率の低下が考えられる。

テーマ

摘要

晩婚化の進行

 

1980

27.0

24.7

初婚年齢は45才、遅くなっている

2015

31.1

29.4

生涯(50才時)

未婚率の増加

1947

1.5

2.5

50才時の未婚者は、大変多くなっている

2015

23.4

14.1

婚姻率の低下

(未婚化)

1947

12.0

婚姻率は、人口千人当たりの婚姻件数。

2015

5.1

 

少子化の間接的な原因としては、低成長経済、女性の高学歴化、女性の社会進出、住環境、若者世代の実質賃金低下、所得格差の拡大、保育所等子育て環境の不備、将来不安、結婚観の変化、育児費用の高騰などが考えられる。 

なお、育児費用については、22歳までの養育費1640万円、教育費1345万円(うち大学492万円)、合計約3千万円というデータがある。

 

3.少子化対策

 少子化の原因のうち、是正が必要な主な項目について対策を考えてみた。

(1)生産性向上の投資を促進し経済成長達成

 道路や橋梁などの老朽化は待ったなしの状況である。国は、国土強靭化のための公共投資を活発にし、需要を創出する。

 企業は、設備投資、技術開発投資、人材開発投資を活発にする。ロボット、IOT、人工知能など最先端の技術開発を進め、生産性を劇的に向上する。日本のような人口減少社会では、一人当たりの生産性を向上する以外に生きる道はない。

これにより、日本経済を5%程度の成長軌道に乗せ、デフレ経済からサヨナラをする。

 

(2)若者世代の実質賃金の向上

 経済のグローバル化の進展で、多国籍企業がのさばり、世界は過当競争に陥っている。企業は弱い立場の労働者の賃金を意識的、無意識的に抑制している。

 労働分配率を高めて、若者世代の実質賃金を向上するには、「労働分配率公表制度」を採用するのが望ましい。毎年新聞に発表して、業種別に比較できるようにし、是正を促す仕組みである。

 

(3)子育て環境の改善

 05才児のための幼稚園、保育園等の費用負担軽減。

 待機児童解消のため、保育施設拡充、職員待遇改善。

無償化は、国民の声をよく聴き、国会で十二分に議論して決めるべきである。

 

4.まとめ 

(1)少子化や生産年齢人口の減少をチャンスととらえ、一人当たりの生産性向上で乗り切ろう。 若者世代の実質賃金の向上こそ、少子化対策の肝。

(2)少子化や労働人口減少イコール経済衰退ではない。ジョージアなど東欧には、反証事例がたくさんある。

(3)少子化対策はフランスに学ぼう。(夫の産休制度、保育施設充実)

(4)財政再建は、経済成長による税収増で。

 

 

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国難突破③ 高齢化にどう対応するか [政治・社会]

 安倍首相は、北朝鮮の核脅威と並んで、少子高齢化を国難と位置付けた。本稿では、高齢化にどう対応するか考えてみよう。

 

1.高齢化の現状

WHOによると、高齢化率7%超を高齢化社会、14%超を高齢社会、21%を超高齢社会と定義している。日本の総人口は、2016101日現在、12693万人で、65才以上の高齢者は3459万人、総人口に占める割合(高齢化率)は27.3となっている。(内閣府の高齢社会白書) 

高齢者人口のうち「6574才人口」は1768万人、総人口比13.9%、「75才以上人口」は1691万人、総人口比13.3%である。なお、高齢化率増加の原因は長寿命化と少子化とされている。

ちなみに、2016年の生産年齢人口(1564才)は7654万人、60.3%、年少人口(15才未満)は1574万人、12.4%で、年々減少している。

 

2.高齢化の将来像

 将来推計人口でみると、高齢者人口は、2036年に高齢化率33.3%(3人に1人)、2042年に3935万人でピークを迎えるが、2065年には38.4%に達すると推計されている。

 ちなみに、2065年の生産年齢人口は4529万人、年少人口は898万人と推計されているが、賢い政策選択で、劇的に変えることはできると思う。

 

3.高齢化の対策

(1) 少子化対策(前回ブログ参照)が高齢化率の引き下げに役立つ。

(2) 働く意欲のある高齢者を増やし、自立を支援する。下表①、②、③参照

(3) 健康寿命を延ばし、高齢者に関わるコストを削減する。下表④、⑤参照

(4) 少子高齢化や労働人口減少イコール経済衰退ではない。高齢者増=需要増である。

(5) 先端技術投資による生産性向上と経済成長で、日本を元気にしよう。

 

<<高齢社会を活性化する先進的な事業>>

事業名称

事業目的

説明

  りぷりんと

神奈川県川崎市ほか

絵本の読み

聞かせと

世代間交流

シニアボランティアによる絵本の読み聞かせを通じて、世代間交流を進め、豊かなコミュニティーを構築している。高齢者の生きがいづくりになっている。

  葉っぱビジネス

徳島県上勝町

高齢農家が多い過疎の

地方創生

和食に添える「つまもの」を栽培し、パソコンやタブレット端末を駆使して、生産管理し、全国に出荷している。ICT(情報技術)の先進事例である。

  ネクスファ

千葉県柏市

高齢者就労

支援と、

世代間交流

高齢化率40%を超える豊四季団地で、高齢者の生きがい創造に役立つ、就労支援事業。農家、食堂、保育園、介護施設等に就労を斡旋している。

子どもの居場所・学び舎づくりにもなっている。

  ポケット

ドクター

遠隔診療

スマートホンを利用し、医師と患者がビデオ通話で繋がる遠隔診療サービス。高齢社会で医療の便益向上、コスト削減が期待できる。

  見守りサービス

高齢者の安否確認

老親の安全・安心を確保するため、通報機、通話機、ポットセンサー、ドアセンサーなどを使って、安否を確認する仕組み。セコム、ALSOKなどが有名。


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