地球環境⑨ 閑話休題 [環境問題]
2020年1月3日
あけましておめでとうございます
20世紀には、「石油」の争奪が戦争の原因になりましたが、
21世紀は、「水」が戦争の火種になると言われています。
地球は「水の星」と言われ、14兆㎥もの水が存在していますが、
淡水は2.5%に過ぎません。
しかも、淡水の70%は北極、南極の氷の状態なので、
人が使える「水」は全体の0.01%なのです。
すべての人々が「水」を使って、「衛生」的な生活ができるよう、
管理することが世界の課題になります。
2020年を、「水資源管理」元年にしたいものですね。
地球環境⑩ 森林破壊 [環境問題]
世界の森林は約40億㌶、森林率は30%とされている。森林はCO₂を吸収する「地球の肺」の役割を果たす貴重な存在である。森林の代表格である、アマゾン熱帯雨林の保護について考えてみよう。
1.アマゾン熱帯雨林の本来の環境
アマゾン熱帯雨林は、面積が19億㌶で、世界中の森林面積の半分近くを占めている。全世界の生物種の半数以上が熱帯雨林に生息し、大気中の酸素の40%は熱帯雨林によって供給されたものと言われている。
もともと、熱帯雨林には、図のように原住民が生活の場を築き、焼き畑で主食のキャッサバを栽培して、農家の暮らしと自然保護の両立を図っていた場所であった。
しかし、一旦植生を失うと多雨の影響で急速に土壌流出を起こし、砂漠化しやすく、火災の巣になりやすいとされている。
2.アマゾン熱帯雨林 止まらぬ破壊
アマゾン熱帯雨林は、急速に減少し、しかも年々減少が加速しているという。熱帯雨林減少の背景は、木材・紙生産のための商業伐採や、農地・牧草地への転換による森林破壊である。
かつて地表の14%を覆っていた熱帯雨林が現在は6%まで減少したという。
最近では、2019年に入ってから9月までに、放火などにより、およそ10万件の火災が発生した。火災現場は、図の通り、乾燥が進む道路沿いに集中している。すでに九州より広い面積の熱帯雨林が焼失したとされている。
3.ブレジルの大統領の経済開発
ブラジルのボルソナロ大統領は、「国土の半分以上を保護区域にしているなんて耐えられない、経済発展の妨げになる」として、積極的な熱帯雨林の開発を国民に呼びかけた。開発に前向きな大統領の登場で、森を焼く農民が増え、国際社会から懸念の声が上がっている。
批判の声にこたえて、少しばかり政策転換を図り、野焼きの制限と消火活動の強化に乗り出しているという。
4.望ましい熱帯雨林保護政策
SDGsの15番目に「陸の豊かさ」の目標が掲げられている。陸域生態系の保護・回復・持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・防止及び生物多様性の損失の阻止を促進することになっている。
フランスのマクロン大統領は「生物の多様性や温暖化対策のために、アマゾンを再生しなければならない」と述べた。
これらを勘案すると、熱帯雨林保護政策は下記のようになると思う。
①国連が予算を確保して、森林火災の予防と消火の拠点を整備し、強化する
②先住民族はアマゾンの森を守る最後の砦。国連が支援して、先住民族の保護を強化する
③ブラジルの畜産農家等の転地・転業に向けて、国連の支援が届くような仕組みを作るう
④CO2増加→地球温暖化→大気温上昇→森林火災頻発の悪循環を止める
5.まとめ(筆者コメント)
①「気候アパルトヘイト」という言葉がある。頻発する山林火災に、私設消防団を雇ってしのぐ富裕層と、それができない一般市民の絶望的な格差を現す表す言葉で、そんな富裕層に温暖化否定論者が多い。
②昨年後半から、オーストラリアで森林火災が続いている。25人が焼死し、延焼面積はすでに四国の4倍に達したという。日本は、大規模森林火災に備えて、消火活動を相互に支援する、国際的な消防組織の構築を主導しよう。
地球環境⑪ 人口爆発の抑制 [環境問題]
1.世界の地域別人口推計(国連推計)
国連推計によると、2100年の人口は109億人で、2019年比1.41倍になるとされている。地域別にみると、アフリカのサハラ砂漠の南に位置するサブ・サハラ地域の人口が、2100年に約38億人、2019年比3.54倍と爆発的に増加し、世界人口の35%を占めるとみられている。
人口の単位:百万人 |
2019年 |
2030年 |
2050年 |
2100年 |
2100/2019 |
世界全体 |
7,713 |
8,501 |
9,25 |
10,875 |
1.41倍 |
サブ・サハラ(アフリカ) |
1,066 |
14,00 |
2,118 |
3,775 |
3.54 |
北アフリカ、西アジア |
517 |
609 |
754 |
924 |
1.62 |
中央・南アジア |
1,991 |
2,227 |
2,496 |
2,334 |
1.17 |
東・東南アジア |
2,335 |
2427 |
2,411 |
2,334 |
0.99 |
ラテンアメリカ |
648 |
706 |
762 |
680 |
1.05 |
オセアニア |
421 |
479 |
573 |
749 |
1.78 |
欧米 |
1,114 |
1,132 |
1,36 |
1,120 |
1.01 |
2.人口爆発の問題点
国連推計によると、2100年の人口は109億人で、2019年比1.41倍になることは1項で述べた。地球の資源で養える人の数には限りがある。ネックは、水、食料、エネルギーになると思う。
20世紀には、「石油」の争奪が戦争の原因になっていたが、21世紀は、「水」が戦争の火種になると言われている。砂漠化が広がって、食料不足が深刻になり、エネルギー資源の枯渇も迫っている。
人口の都市集中、移民の増加、貧困と格差拡大、若者のギャング化、治安の悪化で、内乱が頻発する恐れがある。
3.人口抑制対策
人口爆発の対策の基本は、教育レベルの向上、避妊具の無償配布である。具体的には、給付付き教育施設の設置、雇用の確保、保健医療体制の確立、乳幼児死亡率の改善、児童労働の抑止、インターネットの活用、独裁政権の抑止などである。
4.日本の少子化対策
日本は逆に少子化に悩んでいる。対策は、若者世代の可処分所得向上である。結婚したくてもできない若者に、未来への希望を与えることである。政府が、30年間の誤った緊縮政策を転換すれば、再び、日本を豊かな国にできると確信している。
5.まとめ(筆者コメント)
①世界の人口は、西暦元年に1億人、1000年に2億人、1950年に25億人、2000年に61億人、2019年に77億人になった。このままでは、2100年に109億人になる。早急に対策が必要である。
②トランプのような再選しか考えない大統領に、指先で支配されている世界は不幸である。アフリカの人口爆発を止めるためにも、世界政府のような多国間連携による公正な意思決定・執行機関が欲しい。
地球環境⑫ オゾン層破壊 [政治・社会]
1.オゾン層破壊とその問題点
大気中に放出されたフロン等が、地上10~50kmの成層圏に滞留するオゾン層を破壊する現象。フロンは太陽紫外線で分解され、放出された塩素分子によって、オゾン分子が破壊される。
その結果、有害な紫外線を吸収するオゾン層にオゾンホールが生じ、有害な紫外線が地表に到達して、生き物の健康や生態系のバランスに悪影響が出る恐れがある。
(下図参照・国立環境研究所作成)
2.オゾン層破壊原因物質
オゾン層破壊原因物質は、フロン、ハロン、トリクロロエタン、四塩化炭素、臭化メチルなどである。
そのうち、代表的なフロンは、冷蔵庫やエアコンを冷やす冷媒、電子部品などの洗浄剤、ヘアスプレーなどに使われてきた。
3.オゾンホールの現状
NASAの衛星観測によると、南半球では、8~11月頃(南極の冬から春)に、南極大陸の面積を超えるオゾンホールが毎年観測されている。
北極圏は、南半球より、もともとオゾン濃度が高いこともあって、オゾン層破壊は軽微とされている。
4.オゾン層破壊の防止策
1980年代に国連が中心になって、「オゾン層保護のためのウイーン条約」、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択された。
先進国は1996年以降、発展途上国は2010年までにフロンの使用を停止するという約束が交わされたが、オゾン層はまだ回復してはいない。
5まとめ(筆者コメント)
①地球の年齢46億年に比べると、人類が地球環境を壊し始めたのは、ごくごく最近のこと。すぐにも急ブレーキをかけないと、間に合わなくなる恐れがある。
②日本では、オゾンの脱臭力を利用した機器が出回っている。塩素型の使い捨て脱臭剤が不要になり、コストダウンにもなっている。オゾンを増やす意味もあり有効と思う。
地球環境⑬ 感染症 [環境問題]
1.感染症の感染経路
感染症の感染媒体と感染経路は図の通りである。(大幸薬品のHPより)
2.主な感染症の症例
人類の歴史が始まって以来、主な感性症の症例は表の通りである。
感染症 |
症例 |
時期 |
被害(概算) |
天然痘 |
天然痘 |
6~15世紀 |
人口減少 |
ペスト |
ペスト |
540年頃 |
死者 一日1万人 |
黒死病 |
14世紀 |
死者 2500万人 |
|
新型インフルエンザ |
スペイン風邪 |
1918年 |
死者 4000万人 |
アジア風邪 |
1957年 |
死者 200万人 |
|
香港風邪 |
1968年 |
死者 100万人 |
|
新型インフルエンザA |
2009年 |
死者 2万人 |
|
新興感染症 |
エイズ |
1985年頃 |
死者 2500万人 |
プリオン病 |
1996年 |
イギリス中心に被害 |
|
高病原性鳥インフルエンザ |
1997年 |
死者 249人 |
|
SARS(重症急性呼吸器症候群) |
2002年 |
死者 774人 |
|
MERS(中東呼吸器症候群) |
2012年 |
死者 628人 |
|
新型肺炎(コロナウイルス) |
2020年 |
死者170人(1/29現在) |
|
再興感染症 |
結核 |
1935年~ |
最盛期 死者年400万人 |
マラリア |
6世紀~ |
最盛期 死者年200万人 |
3.温暖化と感染症の脅威
地球温暖化による気温、降水量、海面、気象などの変化が感染条件に影響し下記の通り脅威となる。
①蚊、ダニなど媒介動物の生息域拡大、生息数増大による、マラリア、デング熱等の発症
②水の量や質が変わり、下痢などの感染症が深刻になる
③異常気象による、自然災害時の感染症拡大
④気温上昇による熱射病の多発
4.まとめ(筆者コメント)
①地球環境シリーズで述べてきた温暖化対策が、感染症の拡大・頻発を防ぐ助けなる。
②感染症の罹患を防ぐには、公衆衛生の徹底と、個人の衛生意識の向上しかない。