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地球環境⑤ 食料安全保障 [環境問題]

 食料安全保障は、国民に、安全で栄養価に富む食料を安定的に供給する仕組みを整備することである。

国連でも、持続可能な開発目標(SDGs)の2番目に「飢餓の撲滅」を掲げていて、飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態を改善するため、持続可能な農業を推進すると宣言している。

世界と日本における食料安全保障の取り組みについて考えてみよう。

 

1.慢性的な栄養不足の現状

アフリカ、東南アジア、西アジアの一部地域で悪化しており、合わせて8億人以上が飢餓状態にあり、20億人が断続的な欠食に苦しんでいる。こうした傾向は、紛争や、気候変動による干ばつ、洪水などが重なった状況下で顕著である。

 

2.食料不安の原因

飢餓を生み出す具体的な原因は、世界の人口増加、新興国の経済発展による食生活の高級化、バイオ燃料の生産増加、政情不安による紛争の勃発と長期化、気候変動異常気象の頻発、食糧輸出国のシェア奪取、価格変動リスクなどとなっている。

 

3.世界における食料安全保障上の主要活動

農家の生産性向上、農業の科学と技術向上、所有権の保護と融資保証、人的資本の向上などを目指して下記の支援事業を実施している。

 

世界の食料生産の促進と、農産物流通システムの形成

「責任ある農業投資」による当事者利益の調和と最大化を目指す活動の推進。

価格の乱高下を防ぐための、農業市場情報の収集と共有の仕組みを構築。

国際的支援・セーフティーネットの構築

FAO, WFPと官民が連携して、新興国・途上国を含む各国の栄養改善のための支援事業を実施。

気候変動や自然災害などへの緊急事態対応

不作や輸入の大幅減少などに備えて、緊急事態食料安全保障の指針を整備している。また、アジア諸国の間で、2011年に、緊急事態のためのコメの備蓄制度に関する協定が締結された。

 

4.食料安全保障に関わる主な国際機関 

 

国際連合食糧農業機関(FAO

194か国とEUが加盟する国連専門機関で、農林水産業に関する様々な業務を行っている。

国際連合世界食糧計画(WFP

国連の食糧支援機関で、世界最大の人道支援機関でもある。

国際農業開発基金(IFAD

176か国が加盟する国連専門機関で、途上国の農業発展を資金的に支援する活動を行っている。

 

5.日本における食料安全保障の取り組み

 国民に対して、食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務である。平成11年施行の「食料・農業・農村基本法」において、国内農業生産の拡大、安定的な輸入、備蓄の活用を適切に組み合わせて、食料の安定的な供給を確保すると規定している。図示すると下記の通りである。

 

食料の安定供給

国内農業生産の拡大(重要)

安定的な輸入

戦略的な備蓄

 

6.まとめ(筆者コメント)

 

2018年、政府は「種子法の廃止」を決定した。すべては、モンサント(現バイエル)など、ハゲタカ巨大企業の市場開放要求に屈した結果である。

 

②農業協同組合解体や、土地、教育、福祉、医療などの分野の過度の市場開放に反対する。ほくそ笑むのは、おいしいところを攫ってゆくグローバル多国籍企業で、新自由主義に基づくグローバリズムの行き着く先である。

 

③宴会等の食品ロス削減のため、「料理+レトルト食品」を提供し、再利用の機会を増やそう。


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地球環境⑥ 化石燃料の枯渇とCO2排出量削減策 [環境問題]

1.化石燃料がなくなる年

 

 化石燃料の埋蔵量等の最近のデータは下表のとおりである。ウランは化石燃料とは言えないが、参考のため記載した。

 

資源

確認埋蔵量

可採年数

枯渇年数

石油

1兆7,067億バレル

51

71

天然ガス

187兆㎥

53

98

石炭

1兆1,393億トン

153

220

ウラン

572万トン

102

220

 注)確認埋蔵量:現在までに確認された埋蔵量

可採年数:採掘継続可能の年数、枯渇年数:新規発見資源量を見込んだ可採年数   

 

2.パリ協定の枠組み

 パリ協定の長期目標は、「平均気温上昇1.5℃未満」、「21世紀後半までに排出ゼロ」である。日本は、2030年に、2013年比26.0%削減の中期目標を掲げている。

 

3.CO2排出量の削減策

GDPは国内総生産で、生活の豊かさの指標であるが、GDPを引き上げるにはエネルギー消費が必要であり、結果、温室効果ガスのCO2が排出される。

CO2排出量削減策を考えるにあたって、GDP単位当たりのCO2排出量を、次式のように分解すると、対策が考えやすい。「/」は割算の記号である。

 

CO2排出量/GDP = ①(CO2排出量/エネルギー消費量)✕ ②(エネルギー消費量/GDP

 

① CO2排出量 / エネルギー消費量

エネルギー消費量当たりCO2排出量は、自然エネルギーを導入したり、石炭火力から天然ガスに転換するなどで、CO2排出を減らすことができる。ところが日本は、震災による原子力発電所停止もあって、ここ数年でエネルギー消費量7.4%増加(逆行)しているのは問題である。

 

② エネルギー消費量 / GDP(生活の豊かさ)

経済活動のエネルギー効率をよくするため、省エネ機械を導入すると、エネルギー消費量を減らすことができる。日本は、LEDの導入、次世代自動車の普及促進などにより、ここ数年でエネルギー消費量15.5%削減となっている。

 

4.日本のエネルギーミックス

 2030年における総発電電力量を10,650KWHと見込み、電源構成を下記の通り計画している。この計画には、省エネによる17%削減を織り込み済みである。

 

石油3

石炭 26

LNG 27

原子力2220

再エネ2224

 

5.日本のCO2排出量削減策

日本は、革新的イノベーションの源泉となる経済成長を果たしながら、環境対策も進めるために、次の施策が期待される。

・排出されるCO2を資源としてとらえ、分離・回収して再利用する「カーボンリサイクル」の推進

・企業による省エネ機器開発のための積極的な技術投資と政府の財政支援

・家庭における太陽熱温水機の利用や、太陽光パネルの設置等による省エネの推進

 

6.まとめ(筆者コメント)

 

①ノーベル賞受賞で注目のリチウムイオン電池を活用して、大々的なイノベーションを起こそう。

 

② 熱帯雨林や森林はCO2の巨大な貯蔵庫であり、雨雲の発生源である。森林保護ファンドを設置して、森林火災を防ぐための緩衝地帯を作ろう。

 

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地球環境⑦ 再生可能エネルギー [環境問題]

 再生可能エネルギーは、太陽・地球物理学、生物学的な源に由来し、自然界で利用される以上の速度で補充されるエネルギーと定義される。具体的には、太陽熱、太陽光、風力、潮汐力、波力、温度差、水力、地熱、バイオマスなどが含まれる。最近の、日本の電力構成比は下表のとおりである。

エネルギー源

発電方式

電力構成比%

太陽エネルギー

太陽光発電

6.0

太陽熱発電

風力発電

0.7

水力発電、揚力発電

7.7

地熱

地熱発電

0.2

バイオマス

バイオマス発電

2.3

化石燃料

石油、天然ガス、石炭

76.9

ウラン

原子力発電

6.2

 

1.太陽エネルギー利用発電(発電割合6.0%)

①半導体で作った太陽電池(ソーラーパネル)に、太陽光を当てて電気を作る仕組み。夜間には電気を作れない欠点があるが、クリーンエネルギーの代表格。

②太陽エネルギーで水を酸素と水素に分解し、これを燃料電池に供給して電気を作る新技術もある。夜間の発電も可能になり、期待が大きい。

③太陽熱発電は、鏡で反射して集めた熱で蒸気を作り、タービンを回して電気を作る仕組み。雲が少ない砂漠に適した発電で、サハラ砂漠で作った電気をヨーロッパに送電する計画がある。

④家の屋根などに太陽熱集熱器を設置し、熱エネルギーで温水を作って給湯や床暖房に利用する。

 

2.風力発電 (発電割合0.7%)

風力発電は、風で風車を回し、発電機を動かして電気を作る。風車が回る時に風切り音が出るので、人が多く住む土地では設置できない。景観を損なう、鳥が衝突して死ぬなど反対意見があるが、対策はある。蓄電池と組み合わせれば、大きな戦力になる。

 

3.水力発電と揚水発電 (発電割合7.7%)

①水力発電は、ダムなどにおいて、水の流れ落ちる力を使って発電する方式である。

②揚水発電は、水力発電用ダムの下に受け皿ダムを作り、余った電気で水をくみ上げ、不足する時間帯に発電して電力を平準化するための発電方式である。太陽光発電による昼間の電力を夜間に利用する仕組みとして期待される。この揚水発電は、蓄電池の機能と同じである。

 

4.地熱発電は、火山国日本にあっている (利用割合0.2%)

地熱発電は、マグマで加熱された水蒸気でタービンを回して発電する方式である。家庭で、地中熱交換機を設置し、ヒートポンプを回して暖房する方式もある。

5.バイオマス発電 (発電割合2.3%)

間伐材、おがくず、わら、生ごみなどを燃料にしてタービンを回して発電する。CO2を増加させないクリーンな発電方法である。燃料の供給が不安定で、やむを得ず石炭等を混合利用する場合もある。

北海道の紋別バイオマス発電所は、総発電量5KWで、65千世帯分の電力を賄っている。

 

6.海洋エネルギー利用発電(発電割合は少ないが将来性はある)

①潮汐発電は、潮汐水車により発電機を回して電気を作る発電方式。満潮時に海水をため、干潮時に排出して発電機を回すので、規則性があり、優れた発電方式である。

②波力発電は波の運動エネルギーで電気を作る発電方法で安定性がある。振動水柱型、可動物体型、越波型、ジャイロ式の四つの発電方法がある。

③海水の熱でアンモニアなどの液体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回す海洋温度差発電もある。

 

7.まとめ(筆者コメント)

 

①国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)で、日本は、小泉進次郎環境大臣の消極的な姿勢を批判して「化石賞」が贈られれた。残念。

 

②日本政府と業界は、石炭火力発電所の新増設をし、海外輸出までしている。時代錯誤だ。

 

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地球環境⑧ 海洋汚染 [環境問題]

1.世界のプラスチック汚染の現状

 図のように、世界のプラスチック年間生産量は、1980年頃から急激に増えて、2016年に3億9600万トンに達した。世界人口一人当たりに換算して53キログラムとなる。

生産されたプラスチックの75%が最終的に「プラスチック廃棄物」となり、その3分に1が海洋、河川等の環境を汚染している。2050年には海のプラスチックごみは魚の重量を上回るとされている。

具体的には、20193月、フィリピンの海岸に打ち上げられたくじらの胃から40kgものビニール袋が出てきたというニュースがあった。くじらだけでなく、ウミガメ、イルカ、海鳥などもプラスチックごみを食べたり、網が絡んだりして死ぬ例が報告されている。

「捨てればごみ、分ければ資源」は至言。日本のプラスチック廃棄物のリサイクル率は28%で、あまり進んでいない。(図はWWFのホームページより)

 

2019-12-20.png

 

2.日本の海洋汚染確認件数 

日本における、2018年の海洋汚染確認件数は414件で、過去10年の平均423件からわずかに減少した。内訳は下表のとおりである。

 

汚染物質

確認件数

構成比%

備考

283

68

船舶から165件、漁船64件、作業船20

廃棄物

113

27

不法投棄109

有害液体物質

5

1

 

その他

13

3

 

合計

414

100

 

 

4Rを心がけよう(下表)

 

Reduce

ゴミになるものを減らす

(リデュース)

マイバッグを使う。使い捨て容器を減らす。

生分解性プラスチックを使う

Reuse

繰り返し使う(リユース)

詰め替え容器を使う。ボトル再利用

Recycle

再利用する(リサイクル)

ゴミの分別回収、原材料として再利用。

Refuse

レジ袋などを辞退する

(リフューズ)

ゴミになるものの受け取りを拒否する

 

4.海洋汚染削減への、期待される取り組み

 

政府

過剰包装規制、削減目標の策定、代替品開発政策支援、企業と市民の協働の仕組み、環境保全投資

産業界

リサイクル推進、代替品開発、ごみ管理システム構築への投資

家庭

政府の対策に協力、使用削減・分別・再利用(4Rの実践)

 

5.まとめ(筆者コメント)

 

①海洋汚染や温暖化防止のための投資は、政府が先導しなければ進まない。日本政府は、緊縮財政論の間違いを反省して、積極的に環境保全投資を推進すべきである。

 

②地球は2030年からミニ氷河期に入るという説がある。論者も自信はないようだ。氷河期の周期は5万年で、あと4万年は今の間氷期というのが正解とされている。温暖化対策逃れは許されない。

 

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