芹が生育する [詩・俳句・エッセー]
1月5日~1月9日は、七十二候の「芹が生育する」で、二十四四節気「小寒」の初候にあたる。
古里の清々しきは沢の芹
陽を浴びて健康食の田芹かな
コラム 日本経済の四重苦➁ (コロナ禍による所得減少)
2020年から始まったコロナ禍で、企業も商店も大きな所得減少に見舞われた。部品供給などの遅滞による企業物価の高騰も困難を加速している。
政府は法人・個人中小事業者向けに、雇用調整助成金、持続化給付金、事業復活支援金、資金繰り支援などの救済策を実施したがすべて中途半端であった。
コロナ禍による売り上げ減少に苦しむ事業者を救済するには、粗利保障が一番公平公正である。すなわち売上から直接経費を差し引いた粗利に着目し、コロナ前の基準年との減少額の一定割合を給付する仕組みである。中途半端な救済策では国民は救えない。
タンチョウ 撮影:鳥好閑人さん
凍った泉が動き始める [詩・俳句・エッセー]
1月10日~1月14日は、七十二候の「凍った泉が動き始める」で、二十四四節気「小寒」の次候にあたる。
一面の氷を穿つ泉かな
一月の泉が動き始めけり
コラム 日本経済の四重苦③ (物価高騰対策)
ウクライナ戦争を機に、エネルギーや小麦の価格が高騰し、いわゆるコストプッシュ型のインフレが進行している。物価高騰分の所得は海外の所得となり、①のデフレと合わせて日本国民を貧乏にしている。
コロナと戦争の早期終結を望むが、我が国の対策としては、エネルギー自給率、食料自給率の向上のための積極的財政支出による新たな取り組みが必要である。
シロチドリ 撮影:鳥好閑人さん
雄の雉が鳴き始める [詩・俳句・エッセー]
1月15日~1月19日は、七十二候の「雄の雉が鳴き始める」で、二十四四節気「小寒」の末候にあたる。
国鳥の雉も鳴かずば撃たれまじ
雄雉はケーンとホロロを鳴き分ける
養殖の雉の万羽を放つ山
コラム 日本経済の四重苦④ (円安対策)
米国はコロナ禍対策として莫大な財政出動をして国民を救済したが、これにウクライナ戦争が加わってインフレが高進した。これを止めるためにFRBは大幅な利上げを繰り返し、日米金利差が広がった。現在は130円前後に戻したが、ドル高円安の進行で、一時は1ドル150円を超えた。
日本はコロナと戦争で物価は上がっているが、25年も続くデフレを克服していないので、FRBに追随して利上げができない。
円安のデメリットは、輸入物価が高騰して国民が苦しむこと。また、日本で働いてもドル換算の給料が減少して日本を去る外国人労働者が増えて、介護などの人材不足がひどくなる。
しかし、円安にはメリットもある。たとえば海外に工場を移した製造業が国内回帰するチャンスでもある。新自由主義で疲弊した日本の復活も夢ではない。
イルカチドリ 撮影:鳥好閑人さん
沢に氷が厚く張り詰める [詩・俳句・エッセー]
1月25日~1月29日は、七十二候の「沢に氷が厚く張り詰める」で、二十四四節気「大寒」の次候にあたる。
積み上げし男の誇りよ氷壁よ
袋田の氷瀑や筋骨は隆隆
コラム 日本経済の四重苦⑤(まとめ)
難儀なことに、スタッグフレーションとデフレーションは併存することがある。今の日本がまさにその状態である。
対策としては先行のブログ記事で述べたように、それぞれにかなった対策を同時並行的の実施する必要がある。要約すれば、
① デフレ対策では政府がデフレギャップを埋め、経済を活性化する。消費税廃止が最適
② コロナ禍による所得減少には所得補償
③ 戦争とコロナによる物価高騰にはエネルギー自給率、食料自給率の向上のための投資
④ 日米金利差による円安には、円安のメリットを使った製造業の国内回帰・国力増強
なお、それぞれの対策には金がかかるが、財源の心配は無用である。政府は貨幣発行権があるので国債を発行すればよい。唯一の制約は過度なインフレにならぬよう管理することである。
ウミネコ幼鳥 撮影:鳥好閑人さん
鶏が卵を産み始める [詩・俳句・エッセー]
1月30日~2月3日は、七十二候の「鶏が卵を産み始める」で、二十四四節気「大寒」の末候にあたる。
大寒や眉間に刻む皴の数
酷寒の川よ手の切れそうな水
コラム 防衛費倍増の財源
岸田内閣では防衛費倍増は既定路線としている。5年間43兆円の財源確保については、自民党内に赤字国債派と増税派がある。
防衛費を赤字国債で賄うのは、戦前、軍費調達に赤字国債を乱発したトラウマが気になるが、それは運用次第である。
安定財源を求める増税派にも一理あるが、デフレとスタッグフレーションの四重苦に陥っている現在の日本では、増税は死を意味する。
「赤字国債=国民の借金」という誤解を解き、国債は貨幣発行であるという正しい貨幣観を身に着ければ、正解は明らかである。それは防衛国債である。
欧米並みに、国債の60年償還ルールを廃止し、財政法4,5条の赤字国債禁止の条文を改定して、財源論に終止符を打ちたい。
国民を豊かにし、全員を救うのが政治の目的である。財政健全化やPB黒字化を目的にしては、デフレ深刻化―貧富の格差拡大―自己責任追及―日本没落の悪循環を抜け出せない。
ウミネコ 撮影:鳥好閑人さん
うぐいす鳴く [詩・俳句・エッセー]
2月9日~2月13日は、七十二候の「うぐいす鳴く」で、二十四四節気「立春」の次候にあたる。なお、うぐいすは春の季語だが、老鶯は夏の季語となっている。
うぐいすの声する方へ散歩道
老鶯に心預けて山路かな
コラム お願いベースの賃上げ要請
政府は経営者団体に物価上昇を上回る賃上げをするよう要請している。無駄とは言わないが、なんとも姑息な手段である。
答えは簡単である。政府にしかできないことをやればいいだけ。需要不足を政府支出で埋め、民間活力を促すことで、実質3%程度の高圧経済を実現すること。賃上げは黙っていてもついてくる。
政治家は財務官僚の口車に乗って、過去25年のデフレ期に、消費税増税や緊縮財政を採用し、民間の足を引っ張り、世界で唯一経済成長しない国にしてしまった。反省し国民に謝罪するべきだ。
オナガ 撮影:鳥好閑人さん
魚氷を出る [詩・俳句・エッセー]
2月14日~2月18日は、七十二候の「魚氷を出る」で、二十四四節気「立春」の末候にあたる。
この時期の関連語としては、薄氷(うすらい)、明日葉(あしたば)、ワカサギ、金縷梅(まんさく)、バレンタインデー、メジロ、などがある。なお、つがいのメジロに遭遇すると運気がアップするといわれている。
薄氷や飛び出しそうな魚の影
散歩道つがいのメジロ見つけたり
金縷梅は末(す)枯れの庭の立役者
コラム 国債60年償還ルールは偽計
政府は毎年、国債発行残高の60分の1(約20兆円)を歳出予算として計上している。これが国債60年償還ルールで、世界で唯一日本だけのやり方である。
満期の国債は、毎年「国債借り換え」で済ましているので、国債60年償還ルールは実態と異なる会計制度となっている。
財務省の狙いは、歳出を見かけ上膨らませて、歳出カットの圧力に使いたいのであろう。
国債は国民が負担すべきものではない。また、財政健全化は結果であって目的ではない。財政均衡は国民を豊かにする目標達成の結果、意図せずにもたらされるものである。
ムクドリ 撮影:鳥好閑人さん
霞初めてたなびく [詩・俳句・エッセー]
2月24日~2月28日は、七十二候の「霞初めてたなびく」で、二十四四節気「雨水」の次候にあたる。
春霞む「大」文字の妙義山
生き切って悔いを残さず遠霞
コラム 「ワニの口」の悪宣伝
日本の毎年の歳出と歳入を折れ線グラフで表すと、「鰐の口」のように年々差が開いていて、いずれ日本の財政は破綻する、ハイパーインフレになる、金利が暴騰するという言説がある。
現に、財務省の矢野康治事務次官(当時)が前回の衆院選を前にして文藝春秋に、「バラマキ合戦のような政策を続けていると、国家財政は破綻する」として「鰐の口」のグラフを掲載した。
コロナ禍の財政出動をバラマキと決めつけ、絶対に起こらない財政破綻を喧伝するのは、役人として絶対にやってはいけないことだ。
まして、鰐の上顎に、必要もない国債償還費20兆円(先週の当ブログ参照)を上乗せして歳出を多く見せる偽計に至っては言語道断である。
草木芽吹き始める [詩・俳句・エッセー]
3月1日~3月5日は、七十二候の「草木芽吹き始める」で、二十四節気「雨水」の末候にあたる。
天を指す木の芽は赤い萼を脱ぐ
放課後の兄と妹麦を踏む
コラム 国債発行は貨幣発行
高齢化社会になって高齢者の預金が取り崩されると国債発行ができなくなると、警鐘を鳴らす有識者が沢山いる。彼らは、金本位制時代の貨幣プール論にはまったとんでもない人たちである。
国債発行は誰かの預貯金を借りて発行するのではなく、信用創造によって発行されるものである。だから原資は事実上無限であり、唯一の制約はインフレ率であり、供給能力(国力)である。
早急に貨幣観を是正してもらいたい。
追伸:プロバイダーから提供された容量限度のため、画像の掲載はしばらく見合わせます。長い間写真を提供していただいた「鳥好閑人」さんに感謝します。
巣籠虫戸を開く [詩・俳句・エッセー]
3月6日~3月10日は、七十二候の「巣籠虫戸を開く」で、二十四節気「啓蟄」の初候にあたる。
啓蟄やパンデミックを乗り越える
啓蟄や巣籠癖を卒業す
コラム 国力とは、国の供給能力である
経済財政政策の目指すところは、国の供給能力の増強であり、それによって国民を豊かにすることである。にもかかわらず、今だけ、金だけ、自分だけの新自由主義に汚染された為政者は、デフレを放置して30年間も日本の国力=供給能力を毀損してきた。大型港湾設備で後れを取り、中国・韓国に置いて行かれたのは、海運業界ではなく政府の責任である。
国民の年間の成果(GDP)の内容を見ると、総生産(付加価値)、総所得(分配)、総支出(需要)の三つであり、すべて同額である。これを三面等価の原則という。
一番目の国内総生産は、国民が生み出した付加価値の合計であり、付加価値を生み出す生産要素の保有高が潜在供給能力(=潜在GDP)である。
重要なことは、潜在供給能力を100%発揮すること、さらにそれを増強して潜在GDPを増やすことが政治の仕事である。
一方、GDPを支出面から見た国内総支出は、消費+企業投資+政府支出+貿易収支(輸出-輸入)の和で、=総需要である。
総需要が潜在供給能力を下回る需要不足のとき(デフレ時)は、政府支出を増やして民間の投資や消費を刺激しないと経済が沈滞する。日本はGDPの6%、額にして30兆円程度の需要不足を毎年抱えて苦しんできた。政府の積極財政が必要なゆえんである。
桃初めて咲く [詩・俳句・エッセー]
3月11日~3月15日は、七十二候の「桃初めて咲く」で、二十四節気「啓蟄」の次候にあたる。
床の間や桃の一枝にまかせたり
古民家を借景として桃の花
コラム 税は財源か?
租税には、所得税、法人税、資産課税(相続、贈与など)、物品税(タバコ、酒など)の国税と、住民税、事業税、固定資産税、不動産取引税などの地方税がある。
ここで税の機能を考えてみよう。
税の機能 |
説明 |
1財源調達 |
租税は、社会資本や公共サービスの財源に供される。しかし、多くの場合、歳出が先で、歳入は後になる。いわゆるスペンディングファーストである。 時間差を埋めるのは国債しかない。 |
2景気調整 |
所得税、法人税の累進課税は景気安定化装置として働く。また、好況時の消費税増税や、不況時の減税もスタビライザーである。 |
3所得再分配 |
所得税、法人税の累進課税と資産課税は、国民の所得格差緩和に役立つ。 |
4政策誘導 |
たばこ税は禁煙推進に、農業やベンチャー育成などのための補助金支給はマイナス課税となり産業保護育成に役立つ。 |
国債は貨幣であり、貨幣は信用により創造されることは当ブログですでに述べてきた。だから政府は現金が手元になくても財政支出ができる。いわゆるスペンディングファーストである。
税の財源調達機能を絶対視して、財政健全化・PB黒字化・緊縮財政を目的化にしてしまうと、それは結果的に永遠に達成できない目標になってしまう。不況期の積極財政、好況期の緊縮財政という適切な経済財政政策によって、国民を豊かにしたご褒美に健全財政は達成される。
税は財源ではないという議論があるが、「税は財源か」の結論は、結果としてはイエスではあるが、財源漁りをして国民を苦しめると、健全財政が吹き飛び日本は没落する。
菜虫蝶となる [詩・俳句・エッセー]
3月16日~3月20日は、七十二候の「菜虫蝶となる」で、二十四節気「啓蟄」の末候にあたる。
初蝶や詩人の心鷲掴み
初蝶の光芒となり消えゆきぬ
コラム 財源問題はない
GDPを収入面から見た、国民総所得(分配)は、個人所得、企業利益、政府の歳入(税など)の合計である。
不況期にはすべてが縮減して放っておくと悪循環を起こし、デフレスパイラルに突入する。だから政府は少ない歳入に赤字国債(実は貨幣発行)を足して、財政支出を増やし、デフレ脱却を図らなければならない。財源は増税ではなく、国債であって財源の心配はない。
需要牽引型(デマンドプル型)の好況になり、名目成長率5%、インフレ率2%程度が続くようになると、国民総所得が増加し、累進課税による税収も増えてくる。民間の活動が活発になるので、その分政府の歳出を減らさなければならない。歳入増、歳出減でPBは黒字となり、国債残高は減少する。
要するに、経済成長をしない限り、財源問題の解決はできない。政府の失政が恨めしい。
追伸:七十二候を題に俳句を披露してちょうど一年になる。目先を変えるため、来週からエッセーをメインにし、俳句をサブにしてブログを続けたい。引き続きご訪問ください。
脱成長論とその批判 [詩・俳句・エッセー]
1.セルジュ・ラトゥーシュらの脱成長論
ラトゥーシュによると、現資本主義国の成長至上主義は際限のない消費、自然収奪、環境汚染をもたらし、結果、地球の再生力を奪い、不平等が拡大している。
そこで、脱成長論者は、「簡素な生活が好循環する社会」「節度ある豊かな社会」を構想する。
具体的には、①人間が資源やインフラを共有する「コモンズ」の復権、➁「成長なきグリーン・ニューディール政策」、③「所得とサービスの保障」④「労働時間の削減」⑤「環境と平等のための公的支出」の5つ改革を提唱している。
2.脱成長論に対する主な批判
①コモンズの復権などの復古的な対応では世界が直面する気候変動問題を解決できない
➁現在の新自由主義的市場経済の浸透力にはあらがえない、と批判している。
ではどうしたらよいか次週以降のブログで述べる。
俳句 題:桜初めて開く
3月26日~3月30日は、七十二候の「桜初めて開く」で、二十四節気「春分」の次候にあたる。今年は桜の木の下に、マスクなしの素顔の花見客が団欒していた。
花見酒素顔の会話ここそこに
縁日の夜店の明かり花むしろ
温暖化ガス排出量削減 [詩・俳句・エッセー]
温暖化ガス排出量を因数分解すると、次の通り①、➁、③の掛け算になる。
温暖化ガス排出量=①人口 X ➁GDP÷人口 X ③温暖化ガス排出量÷GDP
温暖化ガス排出量を削減するには、3要素を減少させればよい。
① 人口を減らす
世界の人口は現在約80億人で、2080年代に104億人でピークに達するといわれている。人口の増加は温暖化ガス排出量の増加に直結するので、人口減少の効果は大きい。
脱成長論者は、人口減少は頭から無理と考えているが、アフリカなど発展途上国に対し、国連主導の貧困対策、教育、避妊具の供与などの施策は有効であると思う。人口推計は所与ではない。
➁ 一人当たりGDPを減らす
脱成長論者は、一人当たりGDPを増やさず、横ばいないし減少を企図している。これこそ脱成長論者の中心テーマであるが、問題の解決にはなっていない。
先週述べたように、現在の市場経済では世界各国の脱経済成長は進むはずがない。だだし、日本だけが意図せず政治の失敗で脱成長を実現し継続しているのはつらい。
③ 単位GDP当たり温暖化ガス排出量を減らす
GDP一単位を生み出すために、温暖化ガス排出量をいかに減らすかという問題で、これこそが最重要なテーマである。
生産技術、科学技術、人の生活技術などの向上によって排出量削減は達成される。そのためには、政府の財政支出による積極的な投資が望まれる。
俳句 題:燕
4月5日~4月9日は、七十二候の「燕来る」で、二十四節気「清明」の初候にあたる。
赤い口大きく広げる燕の子
南から春を連れ来る燕かな
脱経済成長論は敗北主義 [詩・俳句・エッセー]
1.斎藤幸平の脱成長論(人新世の「資本論」による)
現在の「資本主義」経済システムは、利益のみを追求する資本の論理によって、地球環境を破壊し、貧しい労働者を大量に生み出し、一握りの富裕層に富を集中するシステムになっている。
そこで、人間誰もが必要とする水道、電力、住宅、医療機関、教育施設などを共有財産にして、人々の手で管理し、無償・安価に提供する「コモン」化が必要だと考えている。
コモン化によって経済をスローダウンさせ、地球にやさしい脱成長経済を実現したい。
2.筆者の意見
①脱経済成長を言うなら、国連主導の国際的な取り組みでなければならない。日本は政治の失敗によって、四半世紀にわたって図らずも世界で唯一脱経済成長を実現し、日本国民を貧乏にした。
➁地球環境を言うなら、コモン化でなくても、経済成長の成果の一部を環境保全に回せば済む話である。成熟社会では経済成長はできないという論者は多いが、経済成長の種はいくらでもある。
③日本の政治の失敗は、政府が貨幣観と経済財政政策を間違えた結果である。政府にしかできない仕事を放棄せず、不況期には積極財政、好況期には緊縮財政という正しい経済財政政策に転換すれば日本は復活できる。
俳句 題: 春風
窓開けて卒寿の朝や春の風
春風やぽんと生まれし句の言葉
成熟社会と経済成長 [詩・俳句・エッセー]
日本のような成熟社会では、経済成長は望めないし、望むべきではないという言説がある。本当だろうか。成熟した日本社会の現状と、経済成長のための方策を考えてみよう。悲観は不要。
項目 |
成塾化した日本社会の現状 |
経済成長するためのキーワード |
人 |
少子高齢化、草食男子、チャレンジ精神喪失、貧富の格差拡大 |
少子化対策予算増と、非婚化対策の実施、人への投資拡大、所得税の累進強化 |
物 |
物余り、需要衰退、災害対応インフラの不備 |
公共投資、AI関連新製品開発、省エネ新製品開発、サービス経済へのシフト |
金 |
貨幣観の誤解、バラマキ=財政破綻の悪宣伝 |
国債は借金でなく貨幣発行、貨幣は信用創造、政府赤字=民間黒字、デフレ期は積極財政推進 |
技術 |
先端技術、情報技術の出遅れ、研究者の海外流出、投資先の選択と集中(大化け製品の不発) |
政府による長期技術投資計画の公表、食糧自給率向上投資、DX投資、GX投資、温暖化対策投資、 |
企業 |
工場海外移転、国内産業空洞化、金融経済偏重、チャレンジ精神喪失、今だけ・金だけ・自分だけの蔓延 |
海外工場の国内回帰、企業内ベンチャー奨励、株主資本主義是正(短期利益・配当)、 働き方改革、生産性向上投資 |
政府 |
PB黒字化目標に固執、政府の店じまい、地方衰退 |
PB黒字化目標を廃止、公務員を3割増強し大きい政府を志向、地方交付税交付金の増額 |
貿易 |
グローバリズムの蔓延、自由貿易至上主義、価格競争に敗退 |
新自由主義の弊害を総括、国際有志連合を作り脱グローバリズムへの転換を進める |
灰色と黄色は特に重要なキーワード。
成熟社会は欧米にいくらでもあり、日本だけの問題ではない。にもかかわらず、日本だけが衰退しているのは政府の失敗が原因である。
上記の表を見れば、経済成長の種はいくらでもあることがわかると思う。
俳句 題: 恋愛
「亀鳴く」は春の季語。亀は鳴かないが、鳴き声を聞いたような気がする春の長閑さを連想する。ゴルフ場の池では、亀が二匹甲羅干していた。
亀鳴くや5番ホールの蓮の池
初恋の思い出淡しれんげ草
少子高齢化はチャンス [詩・俳句・エッセー]
日本は少子高齢化が進んで労働力人口が減少し、経済成長できない国になったと思われている。しかし、この悲観論は2つの点で間違えている。
①少子高齢化が低成長の原因ではない。現に欧米で少子高齢化に向かっていて、ちゃんと経済成長している国は多い。政治の失敗が低成長の原因であって、少子高齢化はその結果である。原因と結果を取り違えてはだめだ。
だからデフレ不況期にデフレギャップを埋める積極財政をすれば、この問題は長い時間がかかるが緩和される。
➁少子高齢化は日本にとって逆にチャンスである。労働力不足に直面した企業は、デフレギャップさえ埋まれば、人への投資や労働生産性向上投資で切り抜けようとするはずで、成長と分配の好循環がもたらされる。
ところが、経団連は労働力不足に直面して、安易に移民に依存しようとしているが、移民は治安の悪化や労働者の賃金引き下げにつながる。国民を不幸にする、取り返しのつかない政策はやってはいけない。
俳句 題: 四十雀(しじゅうから)
せわしなく餌場に通う四十雀
四十雀遊ぶやバラの棘の中
投資先① 非婚化の対策 [詩・俳句・エッセー]
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50才時の未婚率は下記のようになっている。
|
2022年 |
2000年 |
倍率 |
男性 |
28.25% |
12.57% |
2.2倍 |
女性 |
17.81% |
5.82% |
3.1倍 |
結婚は個人の自由とはいえ、未婚化による人口減少を放置すべきではない。人への投資の一分野として、下記、未婚化対策が必要である
(4月21日の当ブログ参照)。
①デフレ期の積極財政で高圧経済を実現する。
➁非正規を減らし、正規社員を増やすため政府が企業に補助金を出す。
③政府の子育て支援を拡充する。
④東京一極集中を是正する
⑤家族に対する価値観を転換するため、イメージアップ作戦をする
投資先➁ 公共投資 [詩・俳句・エッセー]
成熟社会で経済成長するための投資先を考えてみよう。(4月21日の当ブログ参照)。
日本の公共投資は緊縮財政と新自由主義志向によって、1996年から2020年にかけて半減した。結果、日本の生産・供給能力の維持向上に欠かせない道路、橋、港湾などのインフラが老朽化し、災害対応も危機的状況にある。
岸田首相は外国経営者との会合で、「インベスト岸田」と叫んで、外国資本の導入を勧誘したが見当違いである。外国に頼らなくとも、国内に財源はいくらでもある。貨幣観の間違いを正して国債を財源とすればよい。
実質経済成長率3%程度を安定的に実現するまでは、政府が国債を発行して財政出動をすべきである。経済成長が継続すれば、国民が豊かになり、税の自然増収で歳入が増えるはずである。
要するに、財源は自然増収であり、経済成長の余禄である。成長なくして財政健全化はない。
俳句 題: 羅(うすもの)
羅や京の五条の夕まぐれ
羅や浮世絵美人の腰の線
投資先③ 食糧自給率向上 [詩・俳句・エッセー]
2021年の食糧自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで63%となっている。
成熟社会で経済成長するため、食糧自給率向上の投資先を考えてみよう。(4月21日の当ブログ参照)。
①生産性向上策: 農地の集約化、農業の工業化、スマート農業の普及、作物の多様化などに政府が補助金を出す。
➁食品ロスの削減策: 計画的食材調達。料理を少なめに作り不足したらレトルトを使う。大量に余ったらフードバンクやチャリティ団体に寄付する。
③労働力不足対策: 労賃の一定割合を政府が補助し、農業従事者の報酬をアップする
④農業協同組合の再活性化: 政府が農協を財政的に支援し、必要なら農地法を改正する
俳句 題: ファッション
流行は追わずいつもの夏帽子
出会いたる友は濃いめのサングラス
投資先④ DX関連投資 [詩・俳句・エッセー]
政府は成長戦略の一環としてデジタル庁を作り、デジタルトランスフォーメーション(Ⅾ✕)に力を入れている。
成熟社会で経済成長するため、DX関連分野への政府の投資先を考えてみよう。(4月21日の当ブログ参照)。
①自治体情報システム構築: 自治体間のシステム標準化支援、AI活用支援、テレワーク推進支援、セキュリティ対策支援など
➁地域社会のDX化: 地域団体と自治体を結ぶ情報システムの支援、デジタルデバイド解消支援など
③情報通信インフラ: 多数同時接続や超低遅延のための5G,6Gの技術開発、携帯電話料金低廉化、ブロックチェーン技術の開発などへの投資
④リスキリング: 人工知能(AI)の発達で無くなる仕事は運転手、小売店員、作業員、銀行員、ライターなど、AIで残る仕事は医師・看護師、弁護士、保育士、教師といわれている。
技術革新で失業者を出さないためには、リスキリングに対し政府の支援が必要である。
俳句 題: 蛍
闇の中手をつなぎ合う蛍の夜
幽玄の炎を燃やす蛍かな
投資先⑤ GX関連投資 [詩・俳句・エッセー]
成熟社会で経済成長するため、GX(グリーントランスフォーメーション)関連分野への政府の投資先を考えてみよう。(4月21日の当ブログ参照)。
①再エネ活用: 太陽光、風力、原子力、水素・アンモニア、バイオマス発電等
➁エネルギー効率改善: 蓄電池活用、省エネ機材の開発、断熱性能向上、地産地消の促進
③運輸システム改革: 次世代自動車、航空機、鉄道、物流、水素ステーション設置
④カーボンニュートラル促進: 企業、家庭、公共のCO2削減
⑤資源外交の強化: 省エネしても不足する資源を安価に調達するための外交
上記の投資には官民協力が必要だが、財源は奪い合うものでなく、作り出すものである。
俳句 題:南風
黒南風(くろばえ)は梅雨のころ吹く南風で、湿度が高い。白南風(しろばえ)は梅雨明けに吹く南風。
黒南風ややおら取り出す扇風機
白南風や雲の流れる富士の嶺
投資先⑥ 国内企業支援 [詩・俳句・エッセー]
成熟社会で経済成長するため、国内企業への政府の投資を考えてみよう。(4月21日の当ブログ参照)。
①海外進出の工場の国内回帰: 欧米が金融引き締めをし、円安になった今が国内回帰のチャンス
➁ベンチャー育成: 大学発ベンチャー、企業内ベンチャーへのファンド創設
③先端技術: 人工知能(AI)、ロボット工学、3Dプリンター、ブロックチェーン、IOT、量子コンピューター、バイオテクノロギー、ナノテクノロジー、ビッグデータ解析、
仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、宇宙開発など、失敗のリスクがあり民間企業では手が出せないが、成功すると日本の国際競争力を高める基礎技術分野
上記に対し、政府の長期・大規模・計画的な投資と、その周知が必要である。
俳句 題:万緑
万緑や天元に置く黒い石
万緑や木々の影なす散歩道
緊縮財政と積極財政の論点整理 [詩・俳句・エッセー]
国会では延々と不毛な財源論が飛び交っている。国債を大量発行して後世にツケを残すなというが、国債は貨幣発行であって後世へのツケではない。財政健全化・PB黒字化を目的化して、投資チャンスを逃し、後世に衰退国家を残すほうこそ悪いツケである。財政健全化一辺倒な財務省の省益は、好況期はともかく、不況期と横ばい期には国益と一致しない。
ここで、緊縮財政派と積極財政派の論点整理をしてみよう。
|
論点 |
緊縮財政派 |
積極財政派 |
1 |
成長不要論(脱成長論)は正しいか |
環境保護の立場から現状維持が精々で経済成長は望むべきでない |
日本だけ30年間も成長できないのは大問題。これは政治の失敗であって、絶対に容認できない |
2 |
成長不能論は正しいか |
人口減など、成熟社会に入った日本はもはや成長は望めない |
人口減で成長する国はある。また人口減少は政治の失敗で、解決策はある。インフラ整備等に政府の投資が必要 |
3 |
積極財政の効果はあるか |
政府が支出を増やす積極財政をやっても、成長するとは限らない |
政府支出はGDPの構成要素である。政府が財政をふかせばその分GDPは増える。支出の量が足りないだけだ。 |
4 |
積極財政一辺倒で大丈夫か |
国民の借金である国債残高がこれ以上増えると返せなくなり財政破綻する。 |
国債は国民の負債ではなく政府の貨幣発行だ。また積極財政一辺倒ではなく好況期には緊縮財政に転ずる。 |
5 |
国債は次世代へのつけか |
財源の国債依存を高めると、次世代に大きなつけを残すことになる。 |
国債は政府の負債となっているが、貨幣発行であって、次世代のつけではない。好況時の自然増収で残高は減る |
6 |
横ばいはデフレなのか |
デフレは経済の病気というが、日本経済は横ばいであってデフレとは言えない |
横ばいでは他国に負ける。人的物的資源を120%活用する高圧経済を実現するまで、政府は需要不足を埋めよ。 |
7 |
成熟社会で成長しにくい現場がある |
国民はモノ余り、工場は海外逃避の現状で衰退は必然 |
家電は行き渡っているが、イノベーションで需要は変化するもの。新規需要創出と工場の国内回帰はできる。 |
8 |
少子高齢化は止められないか |
家庭を持つコスト高騰で、非婚化、少子化は止められない |
教育国債を発行し、非婚化、少子化対策を厚くすれば少子化は止められる |
9 |
アベノミクスは成功したといえるか |
失業率を改善し、デフレとは言えない経済を作った |
非正規雇用を増やし、格差を広げて分断が深まった。2度も消費税を上げて、横ばいの経済を続けた。 |
10 |
非効率な中小企業は淘汰すべきか |
企業の競争力強化のため、規制緩和、構造改革が必要。 非効率な中小企業はつぶれてもやむをえない |
新自由主義者(アトキンソンら)がM&Aなどのビジネスで儲けている。 高圧経済を実現すれば自然淘汰で中小企業問題を小さくできる |
俳句 題:雷(別名 はたたがみ)
老木を燃やす力のはたたがみ
雷鳴やプレー急がすゴルフ場
財源は自然増収 [詩・俳句・エッセー]
国会では延々と不毛な財源論が飛び交っている。しかし、正しい財源論は、スペンディングファーストでまず国債を財源とし、経済成長による税の自然増収をもって埋め合わせることだ。
そのための政策の要点は下記である。
1.骨太の方針からプライマリーバランス黒字化目標を削除
国の政策課題は経世済民であり、国民を豊かにし幸せにすることだ。財政均衡一辺倒な財務省の省益は、好況期はともかく、不況期や横ばい期には国益である経世済民と一致しない。
2.奪い合いから富の創造へ
分配を先にし、デフレギャップを埋めて、成長とパイの拡大を実現しよう。歳出改革というパイの奪い合いは人を不幸にし、デフレ圧力を高めて成長を妨げる。
3.大規模、長期、計画的な財政政策、成長戦略の実行
アベノミクスは、金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢を掲げたが、ほぼ金融政策の一本槍で成功しなかった。
経済成長は需要が供給を上回った時に起こる。需要不足で民間が苦しんでいるときは、貨幣発行の主体である政府が需要不足分にプラスアルファーを載せて支出することで好況と成長が実現できる。
財政支出先と規模、成長する技術分野について、10年計画を公表し毎年見直しをしよう。政府の失政による失われた30年を取り戻すには20年はかかるだろう。
4.経済成長と税の自然増収についてシミュレーションを公表
成長すれば税収が自然にどれだけ増えるか試算できる。現行の累進税率を改定して、儲かって所得が増えた人からより多く納税してもらうのは無理がなく理にかなっている。
国民の99%が財務省の財政破綻のプロパガンダに騙されているが、シミュレーションの結果を見れば安心することができる。
俳句 題:ホトトギス(不如帰、時鳥)
亡き父の寝物語やほととぎす
老いてなお来年もまた不如帰
経済学者の財政意識調査 [詩・俳句・エッセー]
東京財団政策研究所が昨年末、経済学者(回答282人)を対象に財政意識調査を実施した。設問の一部を取り上げ、回答率を記載した。右の欄は筆者のコメントである。
設問 |
選択肢 |
回答率 |
筆者のコメント |
日本経済は将来成長できるか |
成長はできない |
50.0% |
経済は政治で動かせることがわかっていない。積極財政派は3%位しかいないことが分かった |
構造改革をすればできる |
36.9 |
||
大規模財政支出でできる |
3.2 |
||
財政赤字は問題か |
大変な問題である |
44.3% |
学者のくせに貨幣観を間違えている。不況期の財政赤字は当然のことである。 |
ある程度問題である |
42.2 |
||
問題ではない |
6.0 |
||
借金増加で何が起きるか |
増税と歳出カット |
44.3% |
いまだに財政破綻を言う学者が11%、ハイパーインフレが21%もいる。 |
高インフレ |
21.3 |
||
国債のデフォルト |
11.3 |
||
消費税の増税は必要か |
15%~20%への増税が必要 |
48.2% |
経団連や財務省の犬が大勢いる。消費税が日本衰退の原因であることを理解していない。 |
10%の現状維持 |
30.9 |
||
減税が必要 |
8.5 |
||
政策の優先順位は何か |
規制改革 |
60.3% |
角を矯めて牛を殺すような規制改革頼みはダメだ。財政再建を主目的にすると財政が硬直化し永遠に達成できない目標になる。 |
分配政策 |
18.1 |
||
財政再建 |
12.8 |
||
大規模財政出動 |
3.9 |
文藝春秋の5月号に斎藤次郎元事務次官が「財政規律至上主義」の記事を掲載した。日本経済のパフォーマンスより、省益が大事だという。人格が疑われる寄稿であった。政治家が財務省を管理できないと、日本経済復活の道は大変険しい。
俳句 題:七夕
七夕の短冊赤し我卒寿
願いより重き祈りの星祭
新自由主義とミルトン・フリードマン [詩・俳句・エッセー]
ミルトン・フリードマン: 1912年ニューヨーク生まれでシカゴ学派の重鎮。1976年ノーベル経済学賞受賞。
彼は自由市場、自由貿易を重視し、市場競争が経済の繁栄をもたらすとして新自由主義を提唱した。具体的には、規制緩和、官から民へ(民営化)、小さい政府、自己責任、福祉の切り捨て、緊縮財政等の政策が推奨された。
筆者の意見:
この政策は、インフレ時には弊害が少ないが、デフレ時にはデフレスパイラルを昂進し、経済的格差を拡大し、自然災害への対応力を損なって、社会の不安定化を助長すると思う。
また、国際金融資本が好むグローバリゼーションと合体して世界的な富の収奪に加担している。
俳句 題: 虹
運命の妻との出会い虹二重
父母の子に生まれきて虹の朝
グローバリズムの病理 [詩・俳句・エッセー]
1.グローバリズムとその経緯
①グローバリゼーション歴史: 1914年の第一次世界大戦を契機に終わった第一次グローバル化の後、現在は、1980年代に始まった第二次グローバル化が、2008年のリーマンショックをピークに転換期を迎えている。
➁主導者と勝者: ミルトン・フリードマンの新自由主義に悪乗りし、物・人・金の移動を自由化して、世界の富を独占してやろうというのが、国際金融資本・軍産複合体・戦争屋である。
2.グローバリズムの構造
①自由貿易
「モノ」「サービス」「ヒト」「カネ」が国境を越えて自由に移動すること。政府による産業保護、経済活動の規制が非効率の源泉であり、正義に反するとして、「小さい政府」・「規制緩和」、さらには「国境の廃止」を指向する。自由貿易は必要だが、程度や限度というものがる。
➁規制緩和
産業保護をはぎ取って、競争を促進し、国際金融資本に門戸を開放し、自由貿易を促進することになる。
これが過当競争を生み、国内産業を疲弊させ、勝者と敗者の経済格差を拡大させる。最後の勝者は国際金融資本だけという事態を招く。現に、アメリカなどの帝国主義国家が、軍産複合体や多国籍企業を操って、世界の富を吸い上げる戦略を実行している。
③緊縮財政
「小さい政府」は緊縮財政と親和性が高く、所得の中間層を減少させ、貧困層の大量発生につながっている。
俳句 題: 梅雨明け
コロンとカップイン梅雨明けの青空
完治せし口内炎や梅雨明くる
日本維新の会と身を切る改革 [詩・俳句・エッセー]
日本維新の会は「身を切る改革」を党是に掲げて勢力を伸ばし、今や野党第一党の地位を確保した。この党是は新自由主義の権化のようなスローガンで、国民の不満(ルサンチマン)を巧妙に掬い取り、党勢拡大に役立ててきた。
しかし、国力を失い衰退する日本にとっては毒薬である。
1.議員定数の削減はポピュリズムへ道を開く
維新の主導により、大阪府議や市議の定数削減が進んでいる。中選挙区制から実質的な小選挙区制への移行により、勢いのある維新の議席独占を狙っている。これは地方議会に多様な民意を届ける道を閉ざすものである。歳費はGDPの一部で全く無駄というわけではない。僅かばかり削っても割に逢わない。
2.大阪都構想は新自由主義の申し子
維新が過去2回、住民投票で敗れた大阪都構想は、新自由主義の小さい政府を志向している。こんな考え方の首長がいる地方都市は、GDPを減らし、行政サービスを劣化させる。現に大阪府はそうなっている。脱グローバリズムを模索する日本の現状に合わない政策である。
3.新自由主義バリバリの維新の公約
①身を切る改革 国会と地方議会の議員数と人件費について、国会は3割、地方は2割削減すると公約している。
筆者の意見:維新は改革至上主義の右派ポピュリズム政党で、不況を克服できない今の日本にとって全く相応しくない政党である。貨幣観を根本的に間違えているからこそ出てくる政策ばかりです。
➁経済成長戦略 市場競争原理を徹底し、民間の創意工夫でイノベーションを創出し成長産業を伸ばすと公約している。
筆者の意見:需要不足に喘ぐ産業界に自由競争を強いるだけでは成長産業は作れない。不況期には政府と自治体が積極財政で需要不足を解消するのが先だ。
俳句 題: アイス
おやつ時赤いアイスをじゃんけんで
駄菓子屋のアイス売り切れ子らは悲鳴
脱・グローバリズムの動き [詩・俳句・エッセー]
貿易は必要ではあるが、移民の増加などのグローバル化の行き過ぎで、国民の間に分断が生じ、「米国第一」のトランプ大統領出現、英国EU離脱、フランスの黄色いベスト運動などの反・グローバリズムの動きが起きている。
日本では、「令和ピボット」のような運動が始まった。経世済民の精神を放棄し、緊縮財政と「小さな政府」に固執し、日本を長期低迷に導いた自民党政権に対し、「反・緊縮」、「反・グローバリズム」、「反・構造改革」へと政策の転換(ピボット)を促す国民運動である。
国民の一割がこの運動に理解を示せば日本は変わることができると思う。しかし、多くの既成政党は、与党も野党もグローバル化を信奉し、規制改革、構造改革、緊縮財政を採用して、日本の衰退に加担している。
れいわ新選組だけが、グローバル化の行き過ぎを自覚し、反・緊縮など国民の方を向いた政策を掲げていると思う。
俳句 題: 酷暑
極暑日や木陰であえぐ牛の群れ